表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIonline  作者: オズ
11/12

AIonline 11 遭遇

ゴブリンの皇帝を殺す(やる)とすっきりした。

相手の土俵で戦う事はない。

簡単な事だった。

会話に意味なんかなかったんだ。

世界情勢は全く分からないが捕虜が玉座を運ばされ、拷問をされているのを俺が見ているだけなんてあり得ない。

助ける選択肢しか思い浮かばず体が勝手に動いていた。


ショートソードはゴブリンの皇帝の体の中に深く入ってしまったので引き抜く事はできないだろう。

力加減を完全に間違えた。


周りを見渡すとタマコさんが上機嫌にゴブリンの首をポンポンと刎ねていた。

やはり只者ではない。

マモルは小さな石を操り敵の頭を正確に破壊している。

2人とも凄い破壊力だ。

この2人だけで場を制圧している。


玉座から降りると奴隷達はまだ玉座を担いでいた。

皇帝が亡くなっているのに騒いだり動く気配もない。

顔は虚ろで体は鞭の跡があり血が滲んでいる。

ほとんどが男性だが中には女性もいた。

皆、筋肉質で歴戦の戦士の風格がある。


俺は奴隷達から御輿を奪い取るとゴブリンが固まっている場所に投げつけた。

奴隷全員がポカンとした顔で見つめてくる。


「戦え。お前ら戦士だろ。自分の仇は自分で取れ」


俺はそれだけ言うと近くに落ちていた質の良さそうなロングソードを拾い戦いに参加する。

気の利いた言葉は言えないから戦う事によって示すとしよう。

騒いでいるだけのゴブリン達を片っ端から切って行く。

初期に持っていた剣とは大違いで骨まで簡単に切れていく。


『それは魔法の剣だ。タマコが殺した将軍が持っていた剣。鋭滑剣(えいかつけん)


初めての魔法の品(マジックアイテム)だ。


『特定の硬さ以下の物は抵抗なく切れる効果が付いている。特定の硬さ以上の物を切る時は普通の剣と同じだから気を付けろよ』


この精霊は疑問に思った事はなんでも教えてくれるのか?


『程度による。こんなマジックアイテムの説明なんか大した事ないだろ?』


例えばどんな事までわかるんだ?


『理解という点では全てを理解している』


最強の装備や最強の能力とかもわかるのか?


『何を持っての最強かによるが理解している、がお前に教えるかどうかは別だ』


やはりそういう能力か。

勿体ぶるやつだな。


『このゲームのアビリティとしてお前と話しているのでシステム側から制限がある。少し先の話は出来るが遠い未来の話やこの世界に関わる重大な情報は基本話せない。手掛かりを見つけたり情報を見つけたら話せる事も増えて行く』


メタい発言もあったが、このゲームをやっていけばおいおい分かるだろう。

次の疑問は、タマコさんの事を知ってる様な口ぶりだった事だ。

ゲーム内のキャラじゃなくてプレイヤーだぞ。


『俺はお前らのリアルの情報も知っている』


怖いよ。

今までで1番。


『事実を言ったまでだ。一応、言っておくがリアルの情報は何も教えないぞ。知りたかったら本人に聞け』


タマコさん、あなたやばいんですか?って聞けるか!


『言えない事も多いが、俺は使える能力だぞ。そこに居る奴隷10人の能力も生い立ちも現状も理解している』


その情報は言えるのか。


『ああ。全員ゴブリンに家族を人質に取られている。もちろん逆らうと殺される』


まずい事になったな。

俺が暴れたせいで殺される可能性が高くなるのか・・・


『なんのフォローにもならないが、どのみち家族は殺されるしほとんどが殺されている』


ゴブリンの皇帝が生きていたとしても約束は守らないのか?


『確実に守らない。この世界でのゴブリンはそういう種族だ。いい例があの自分で首を切った奴だ。あの一族は、皇帝の名前を呼ぶ為だけに生きている役人だ。同族でもそんな扱いになるのに格下だと思っている奴らの約束が守られる筈がない』


選択肢はないな。

奴隷の家族を助けに行く。


『言っておくが既にほとんどの家族が殺されているぞ』


それでも助けに行く。

ゴブリンの皇帝を倒したら敵が浮き足立ってきたのでここを突破する事は簡単そうだ。

強そうなゴブリンはタマコさんやマモルがあらかた片付けた。

問題はここから奴隷の家族がいる場所と距離。

離れていたら間に合わないだろうし行っても無駄になる可能性がある。

精霊、そんな疑問には答えてくれるのか?


『言える範囲でなら答えれる。まずこの問題はクエストになった事を伝えておこう』


クエスト?

なんの表示も出てないぞ。


『このゲームはユーザーインターフェースは出てこない。特殊な能力で見えるプレイヤーもいるが基本はないと思っていい。話を進めるぞ。クエスト:人族の家族を救い出せ』


人族だけってことはつまり、獣人やエルフの家族は殺されているって事か?


『そうだ。それも人族も1家族だけ生きている。男2人女2人が南西の方角に逃げている。近いぞ』


俺はその情報を聞くとすぐに叫ぶ。


「タマコさん、俺について来て下さい。マモルはここで敵を引き付けてくれ」


「無茶いいやがって。この数を1人で倒せると思ってるのかよ」


「頑張れ」


「あいあい。わかったよ」


それだけを言うと俺は南西に走り出す。

タマコさんも敵を倒しながらついて来てくれた。

走りながら簡単に説明する。


「奴隷の家族が人質に取られていて救出に向かいます」


「分かりました」


タマコさんはすごく楽しそうだが返り血で右半身がどす黒くなっている。

その姿はかなり不気味だ。


『奴隷の家族はゴブリンに追われているぞ。監禁場所から監視役を殺して脱出したから躍起になって探している』


「タマコさん、少し速度を上げましょう」


ゴブリンを斬りながら素早く走る。

敵陣から離れて行くと森が見えて来た。


『あの森の中にいる』


すぐにタマコさんと情報を共有する。


「森に入ります。この中に奴隷の家族が隠れています」


「分かりました」


『この森は安全だ。危険な生物はいない。なので注意するべきはゴブリンだけだ』


「ゴブリンが進行方向にいます。倒します」


タマコさんはそれだけを言うとゴブリンの真っ只中に躍り出る。

視認出来ない程の速さでゴブリンの首を飛ばし直ぐに合流する。

この人は戦い慣れている。

それも多人数相手でも遅れを取らない達人だ。

ゲームをやったことがないのが本当なら現実世界では武道の経験があるんだろう。

それぐらいは聞いてもいいよな。


「戦闘音が聞こえます。オメガ君急ぎましょう」


俺には何の音も聞こえなかったのでタマコさんに着いて行く事にする。

ほどなくすると戦闘音が聞こえて来た。


「すぐに参戦しましょう」


人族が4匹のゴブリンに囲まれている。

戦っているのは1人だが後ろにいる3人を庇いながらなので思うように動けないようだ。


「助けに来ました」


大声を出して注意をそらす。

俺が1匹を倒す間にタマコさんは3匹倒していた。


『やばい。逃げろ』


本当にお前はやばいしか言わないな。


「へー。強い奴がいるって聞いて来たが1人だけか」


声を聞いただけで総毛立った。

いつの間にか助けに来た人族が殺されていた。

4人とも横に真っ二つになって地面に転がっていた。


「おい、女。殺し合おうぜ」


俺の事は無視でタマコさんに話しかけている。

声を発した主は大男で三つの目があり肌は濃い青色でハルバードらしき長い武器を片手で持っていた。

全身筋肉質でズボンだけ履いていて上半身は裸だった。

種族は分からない。


『あれは・・・魔族だ。何故ここに、ゴブリンしかいなかった筈なのに』


色々な創作物で魔族は出て来るが、設定はまちまちで共通しているのは強いと言う事。


『戦う気じゃないだろうな。ゴブリンを倒して気持ち良くなっている所で悪いがお前が死ぬ未来しかないぞ』


お前、だんだん口が悪くなってるぞ。

勝てないのは分かってるし眼中にないから逃してくれるのもわかるが、そんなの楽しくないだろ。

滅多に会えないレアキャラなら戦わないと損だ。


「タマコさん、俺にやらせて下さい」


一瞬驚いた顔をしたがすぐにいつもの笑顔に戻った。


「楽しんでください」


とそれだけを言うと後ろに下がった。


「はぁ。舐められたもんだ。力量も分からないとは・・・」


「勝てないのはわかってるんだよ。それでも試すのがゲーマーだろ」


「よく分からないが死ね」


物凄い速さでハルバードが真横に振るわれた。

一切の予備動作がない軽く振った一撃。

それでも避けるのは不可能だ。

俺は剣を逆手に持って右から来る一撃を防ぐ。

剣は粉々になり右腕は切り落とされた。


「おいおい、防ぐのかよ」


防いでねーよ。

致命傷だ。

腕の感覚がない。


「甘く見てすまなかった。魔王軍6武人が1人ブラウ。御命頂戴する」


次の瞬間、俺の首が飛んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ