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姫姉さまが成敗します!! 〜勇者の剣を継ぐ女帝、身分を伏せて闇を討つ〜  作者: 柴犬乃ぐんて
【女帝初陣ノ章】 「狙われた米と麦。少女が見た帝都の闇」
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ⅩⅡ「成敗」

 虹の大剣を地面に刺し、両手で柄を持ち、グリフの前に悠然と立つ陛下に、グリフは恐れ慄きます。


「しかしそれでは死罪に」

「お前が犯した罪の重さ、理解しているのではないか」


 ひれ伏したまま、歯を食いしばるグリフ。まさに苦虫を噛みつぶしたような表情で、脂汗がポタポタと床に染みていきます。


「……陛下が、こんな場所に来るわけない」


 グリフは、立ち上がり、ポルポたちを陛下の方へと蹴り出し


「そうだ!!陛下の名を語る悪党だ!!!!殺してしまえ!!!!!!」


 と嗾《けしか》けたのです。


「モモ……参ります」


 イリデスケンティア陛下は、虹の大剣を両手で持ち、構えます。


 ポルポ達以外のグリフが雇っている用心棒達も集まり、剣を抜くと陛下を囲みます。

 細腕の陛下が持つには重々しく見える大剣ですが、彼らは陛下のスキを見つける事が出来ません。


 斬りかかる事が出来ずジリジリと、陛下の周りを回る事しか出来ない用心棒達。


「行けよ!ほら!!」


 ポルポが用心棒を陛下へと突き飛ばすと、陛下は虹の大剣の刃ではなく、面の部分で、用心棒を叩き、気絶させます。

 それを皮切りに、大勢の用心棒たちが陛下へ斬りかかりますが、陛下は舞うように斬撃を避け、大剣の面や柄頭を使い、一人また一人と、バッタバッタと気絶させていくのです。


「てめぇ、遊んでるのか!!」

「殺しはしない…………彼らは、命を軽んじた貴様達とは違う!!」


 陛下は、大剣を回転させ、刃をポルポに向け、睨みつけます。


「ひぃぃ、こ、殺すのか!?俺を!!俺だって儲け話を聞かされなきゃこんな事はしねぇよ!!出来心ってやつだよ、女帝陛下。殺さないでくれぇ」


 ポルポは、ガタガタと震え、命乞いをしたのです。


「レティちゃんの家族の命乞いを、お前は許したのか!!」

「レティ、そんなやつは知らん!!知らない!!!!」


 ポルポにとっては、罪から逃げたいだけの他意はない簡単な言葉だったのでしょう。

 しかしそれは陛下の逆鱗に触れたのです。



 一方モモは、用心棒たちを相手にしながら、あの盗品の指輪の魔道具を使うゲニスと戦っていました。


 モモは格闘術の蹴りや投げ技で用心棒たちを陛下の様に気絶させていくのですが、ゲニスにはなかなか近づけません。ゲニスの指輪の炎の魔法は、ただ放つだけではなく、放った炎を、自由に動かす事が出来るので、常に炎を避けながら、用心棒たちと戦わなければいけないからです。


「メイドの嬢ちゃんよ。お前は避け続けられるかな」

「放った魔法を自在に動かすのは、魔導使いランク10の実績解除の条件、ランクの低いあなたが使える魔法ではないはず」

「おうよ、この指輪の魔道具はメンザーコール製の高級品。特殊な加工がされているのさ。本来の力以上の魔道制御が出来るのさ、武道家のメイドさんには避けるのが、精一杯だろ?」


 ゲニスは炎を操ると、モモの横にいた用心棒に直撃してしまい、その者は、炎に巻かれて大火傷で倒れてしまいます。


「ミスったぜ、避けろよクソが、邪魔くせぇ」


 そう言って、また指輪に魔力を込めて、炎を発生させるゲニスを、モモは冷ややかな目で見るのです。


「本当に、どうしようもない奴」

「俺様に勝つ気でいるのか、メイドの嬢ちゃんよ。酒場で脅した事、忘れてねぇからな。たっぷり可愛がってやるぜ」


 モモは、腰を落とし、腕を伸ばし、左手で右手首に装備している白い小さな魔石の填められたブレスレットを持ち、右手の人差し指と中指はゲニスを指しています。


「炎弾」


 モモがそう言うと、ゲニスの炎と同じ大きさの炎が、モモの指の前に出現するのです。


「お前、武道家じゃないのか!?」

「あなたがそう思い込んでいるだけです。僕は武道家でもないし、メイドでもない……忍だ」

「忍!?」

「撃つ」


 モモの炎は放たれ、ゲニスに向かって行きます。

 それをゲニスは指輪の炎で相殺させるのですが、モモは次の炎弾を既に放っており、ゲニスは炎弾から自分を守ろうと、目の前にいた用心棒を乱暴に引き寄せ、盾代わりにしてしまったのです。


 しかしモモの放った炎弾は、用心棒に当たる直前で、上に方向を変え、用心棒を飛び越えて、ゲニスに直撃しました。


「あじぃ、熱い!!なんで、指輪も持たずにコントロールを」

「僕は忍、魔導使いのランク10は到達済みだ」


 衣服が燃えるゲニスは、近くにあった池に飛び込み消火すると、屋敷の奥へと逃げて行きます。




 ハッシャーとグリフの隠れていた部屋に、飛び込んでくるゲニス。そしてその後に、陛下の剣圧に圧倒されて、ジリジリと後退し部屋に入ってくるポルポ。


 たじろぐ4人の前に、陛下が大剣を片手で構え、やってきます。


「貴様たちの悪行の数々、そして人の命を、軽んじた行動、つぶさに見せてもらいました」

「この小娘がぁぁ、俺は帝国裁判官だ、お前が女帝になる前からな!!」


 グリフはハッシャーを蹴り飛ばし、陛下にぶつけようとしたのですが、モモが間に入りハッシャーを受け止め、ポルポとゲニスへ返すと、3人はもつれ絡み合い倒れました。


「もはや、容認出来る部分などない……帝国法 第99章 3条、皇帝は、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で処罰することができる……そして」


 陛下は大剣を両手で持ち、引き絞るように構える。


「4条、場合によっては、極刑に処す権限を持つ!!」


 陛下が持っておられた虹の大剣の魔石が一段と輝き、虹の刀身が揺らめきます。


「成敗!!」

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