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第99話 巫女対忍①

「浄化なさい!」


 シャンッ! と先生は忍に向けて神楽鈴を大きく振った。すると、忍の周りを囲うように、またまばゆい光が振り注ぐ。


「もう食らわない!」


 だが忍は目にも留まらぬ速度でかけだし、光の中から抜け出す。そして先程のように光が破裂する頃には、先生の背後に回りこんでいた。

 そしてすぐさま、忍は片手のクナイを投げつける。だが、先生の瞬発力もやはりすさまじく、高速でターンをすると共に、神楽鈴でそのクナイを薙ぎ払った。


 間髪入れず、忍は逆手に持ったもう片方のクナイで斬りかかりながら、蹴り攻撃も同時に行う。先生はクナイを神楽鈴で塞ぎながら、蹴りが来るときには距離を開いて避け続けた。 


 忍は僕を守るために戦ってくれている。正直あの忍は、うちのベランダに侵入したり電車の中で痴漢をしてきたりと、わりと先生に負けず自分の欲に忠実で良い印象はないのだが。しかし僕は先生に、愛ゆえに殺されそうになってしまっているため、今は素直に忍を応援しよう。


「離れなさい!」


 先生の神楽鈴が光り、先生の周りで光の破裂が起こった。忍はすぐに危機を察知し、光が破裂するより前に先生から距離を開いた。


「その光の爆発、貴様や木野さんには効かないのでござるか」

「そう、この光は聖なる力、邪悪なものにしか効かないの」

「誰が邪悪でござるか。普通に彼を殺害しようとするそっちが邪悪じゃないか」


 浄化の光とでも言うのか。なんだか、巫女と言うよりはシスターが使いそうな能力だが、先生の巫女のイメージは光属性の聖職者なのだろう。そしてあの光は邪悪なものにしか効かない、とは言っているが、僕が思うにおそらく、敵視しているものにしか効かない力なのだろうな。


「だから、先生は彼を神様として敬おうとしているだけよ」

「だからでまかり通らないだろそれは!!」


 忍は懐からもう一本クナイを取り出すと、両手に持って、腰を低くして構えた。それに対し、先生も神楽鈴を正面に構える。 


「貴様は、止めなくてはいけない。ここで絶対に倒す!」 


 忍は先生に向かって、真正面から飛びかかった!


「浄化なさい!!」


 だが、馬鹿正直に正面から飛びかかってしまえば、先生の浄化を食らってしまう。


 先生は忍が飛びつく寸前に神楽鈴をふるうと、即座に光は忍を包み。

 パーンッ!! と破裂して、忍はあっけなくそれに飲み込まれてしまった。


 だが、破裂した光の残留から、忍が飛び出した。


「なっ!?」 


 完全に不意を突かれた先生は、クナイを突き刺されそうになる。が、ラバーズの瞬発力だ、クナイの剣先が目と鼻の前まで近づいたところで、先生は自分の身体を背後に勢いよく倒して、飛びつく忍を避けたのだ。


 忍は先生を飛び越えるとすぐに着地して、クナイを構えて襲い掛かる。先生も直ぐに、しなやかに起き上がって防御した。


 飛びかかった忍を、先生は光の破裂に巻き込んだ。先生の目線では、そういう風に見えていただろう。実際、先生は忍を光の破裂に飲み込んでいる。だがそれは、もう一人の忍の方だ。


 角度的に僕の目線からは、忍が飛びかかる寸前、飛びかかろうとする仕草をしたとき、忍が分身したのが見えた。まるで幽体離脱をするかのように、ふわっと身体から分身が飛び出たのだ。


 その分身が先に飛びつく。その後ろに隠れるように、本体の忍も縦に並んで飛びかかって、先生の不意を突こうとしたのだろう。


 さすが忍といった戦い方だ。


 忍は素早い動きで先生に猛攻を仕掛ける。先生は防御を続けるが、それに押されている。

 そこで先生は神楽鈴を大きく発光させると、「えい!!」と横に振り払った。すると、輝く衝撃波のようなものが発生し、忍は軽く吹き飛ばされて距離を開いた。


「貴様、巫女と言うにはなんか呪文的なことを唱えないんでござるな」

「あなたも、忍者のわりに忍法とか言わないじゃない」

「そんなものいちいち口にしてたら、その隙ができてしまうでござる」

「同じよ。いちいち、かしこみかしこみなんて巫女らしく祝詞や祓言葉みたいなことを唱えていたら、時間がかかって攻撃され放題よ」


 先生は白く輝き続ける神楽鈴で殴り掛かった。

 さっきから神楽鈴で攻撃を防いだり、こう殴りかかったりしているが、神楽鈴って、そういう武器ではないだろ。というかそもそも神楽鈴は武器ではない。先生の認識では、神楽鈴は魔法の杖のような役割と、鈍器のような武器としての役割を持っているのだろうか。


 忍は先生の神楽鈴による物理的な打撃を回避したが、先生が鈴を振るう度に、周囲には波紋のような光が発生し、忍は自分から近づくことができない。


 そこで忍は距離をとると、両手のクナイをグッと強く握った。すると、クナイがピンク色に輝きだした。


「くらえ!!」


 片方のクナイを、ビームのような速度で投げつけた!


 先生は神楽鈴で防ぐもクナイの勢いは強く、身体が後ろに持っていかれてしまった。そこへ忍はまた間髪入れず、もう片手に持つクナイを突き刺しにかかる。


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