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【恋人物語】 «男女比が狂った地獄みたいな世界で頑張ります»   作者: 三代目焼きそば定食


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黒い狼



シロト・リュート

齢は俺と同じ、身長も俺と同じ、体重は……今、どれくらいなんだろう、あんまり知りたくない。

肌は白、髪もホワイト、目の色はレッド、凄く綺麗なルビーのような瞳だ。


シロトは、教室で暮らしている俺達40人の男子のリーダーだった。

いや、俺達40人の男子の兄だったの方が、きっと、正しいのだろう。



「…もう、夕陽が沈む時間になってるのか」


ゲーム室を退出した俺は、自分の部屋がある宿舎と呼ばれる、施設に帰る気になれず、とぼとぼと何処に行くわけでもなく、ただ歩き続けた。


単純に考えを整理したかったし、何より、今は誰にも、自分の情けない面を見せたくなかった。


だけど、歩きはじめて20分もしないうちに、目の前に高くて白い壁が現れる。

ウンザリしながら、左右を見ても、ずっと先まで緩いカーブを描きながら、同じ壁が綺麗に並んでいる。


この壁は、俺達が暮らしている「教室」と呼ばれる複合施設を、ぐるりと一周囲むように、立ち並んでいるのだ。


円にそって歩いても、半日もあれば同じ場所に辿り着いてしまう、経験者は語るだ。


まるで刑務所のつくりそのものであり、この狭い世界に俺達男子40人+シスター13人が暮らしている。

全部で53人、少なくとも、俺が俺であると認識してから、12年間、この数字が変わることはなかった。


新しく入ってくる人間も、出て行く人間もいない…

…いなかった…


思いっきり深呼吸をして、肺の中だけではなく、心の中まで、空気を入れ替える。

ついでに、両手で自分の頬を挟むようにして、叩く!


パァン!


と軽く乾いた音がした割には、めちゃくちゃ痛くて、割に合わねえと、少し馬鹿らしくなった。


「よし!俺がイジイジしてても、可愛くない!殴りたくなるだけだな!」


と顔を上げて、教室に帰ろうとすると、

その方向から、背の高い人影が、こちらにゆっくりと、近づいてくるのが見えた。



「何をしているんですか?こんな所で?」


よりにもよって、コイツかい…と、またもや、ため息が出そうになるのを、ぐっと堪え。

俺は目の前の、夕日に照らさられて、いつもより更にギラギラした金色の瞳と目を合わせながら、ナガレ・リュートに向かって口を開く、


「なんでやねん」


「くっ、君というクズは、それしか言葉を知らないのですか?ああ、あまりにも知能が低くて、私が何を言ってるのか、分からないという可能性もありましたね」


「いや、なんでやねん」


「…それとも、午前中に頭を殴られすぎて、とうとう痴呆が始まりましたかねえ」


「だから、なんでやねん」


「ああ!殴られた事すら、覚えていないんですね、可哀想に!」


「ふーむ、なんでやねん」


「っっ!」


「あっ!」


「!何ですか?」


「なんでやねん」


「いい加減にしろよ!この野郎!!」


と、夕日に照らされた赤い顔を、更に赤くして、俺の胸ぐらに掴みかかるナガレ。

キレるの、早!

流石、この狭すぎる閉鎖空間に生まれた、奇跡のロックンローラー、今はいない取り巻き連中とは生きる速度が違う。


このまま、また殴られるのかぁ、と覚悟をしていたが…


「…お前も、カイも、いつも私を馬鹿にした目で見る」


「………」


「それだ…今のお前の目だ!憐れな奴みたいに…下に見やがる!」


「………」


「そんなに可笑しいか?そんなに似てないか!?」


「………」


「そんなにオレは、シロ兄になんて、全然なれていないって、言いたいのかよぉ!?」


ああ、殴られていたほうが、ずっとずっとよかった。



シロト・リュートは俺達男子全員の兄だった、

それは、つまり、

シロト・リュートがいなければ俺達男子は家族になんてなれなかった、

という意味になる。


40人全員が「リュート」なんて、同じ名字をしていても、

40人全員が同じ齢どころか、同じ誕生日だとしても、


俺達は彼がいなきゃ、何処まで行っても、他人にしかなれなかった。



俺の胸ぐらを掴む手を見る。


夕日に照らされても、白くなるくらい、力が入り固く震えるナガレの手を、優しく握ってやりたいと強く思う。


もう、シロトの真似なんて、頼むから止めてくれと、俺より高い位置にある頭を叩いてやりたいと強く思う。


お前は「私」なんて使うキャラじゃねぇだろ!バーカ!と肩を抱いて笑い合いたいと強く思う。


こんなクソ狭い世界で、それでも、知るかよ!って一緒に馬鹿をやっていた頃の、俺が好きだったナガレ・リュートに会いたいと強く思う。


だけど、それらが全部、全部、今のお前を凄く傷付ける事になるのが、わかるくらいには、お前の事がわかるから、


結局また、俺は目を逸らして、肝心な所では黙って、

それでも「オレ」って使うナガレは、まだいるんだと安心したくてお前を怒らせる。


なぁ、カイ、やっぱり俺はお前の事を、庇ってなんかいないんだよ。



「……もう、私には関係ない……」


「?」


「…お前も、カイも、私には関係ない…」


「…ナガレ?」


「私は!絶対に!!諦めない!!!」


「っ!」


ナガレは急に大声を張り上げると、俺を突き飛ばし、走って行ってしまった。

俺は情けなく尻もちをついたまま、彼が遠ざかっていくのを、馬鹿みたいに、ぼうっと見送る事しかしなかった。



俺はこの時、ナガレを追わなかった事を、



一生



後悔する事になる




ー2年前ー


教室内におけるゲーム室にて



「なぁ、オレさ、思ったんだよ」


「おぉ、また、ナガレが世界の真理に到達したのかー?今度は何だ?言ってみ、言ってみ」


「ヤマトくん、真面目に聞いてあげようよ、もしかしたら凄い事かもしれないでしょ?」


「ヤマト、カイ、お前ら二人とも、オレのこと本気でバカにしてないか!?」


「そ、そんな事ないよ!全然!ねっ?ヤマトくん!」


「当たり前だろ!前回のは、めっちゃ速く走りながら掌で空気を掴めば、その抵抗値は、女性のお胸の感触と同じ値であるだっけ?マジの天才じゃん!」


「あはは…」


「あれはなぁ、オレとしても、いい線いってたと思ったんだけどなぁ」


「二人とも、エクスカリバーまで使って計算したって言ってたもんね…」


「必要な速度が時速◯kmとはな、ナノマシンで強化しても流石にキツイわ」


「その速度を維持して感触を確認するための距離もなぁ、ココじゃキツイんだよなぁ」


「でも、ナガレくんも、ヤマトくんも、諦めないで、壁をずっとグルグル走ってたよね…一周しちゃってたよね…」


「ふっ、やっぱり挑戦する事からだけは、逃げたくなくてよ…」


「でも、俺もナガレも一周してから、そもそも本物を触ったことがねぇから、証明のしようが無いって気付いたんだわ」


「「あっはっはっは」」


「シスター達も、他の男子達も、2人がオッ◯イ、オッ◯イ叫びながら走ってるから、本気で頭の病気を心配してたよ…」


「いやぁ、なんか途中から、めっちゃ楽しくなっちゃってな」


「外で思いっきりオッ◯イって叫ぶのが、あんなに気持ちいいとはなぁ、このヤマトの目を持ってしても気付かなんだ…」


「2人とも、シロト兄さんが、シスター達を上手く誤魔化してなかったら、普通に保健室行きだったよ!」


「いやぁ、シロ兄には頭が上がらないっすわ」


「……いや、そもそもシロトは、一体どうやって誤魔化したんだ?…自分で言うのもアレだが…一発アウトだろ…あんなん…」


「「「………」」」


「ナ、ナガレくん、それで何を思いついたの?」


「あ、ああ、もし、本当に男同士で星力を使ったらどうなんのかなってさ」


「はあ?」


「何も起きないんじゃないかな、シスター達は皆そう言ってるし」


「でも、それで共鳴が、もしも起きたらさ」


「互いに共鳴し合って、星力がとんでもない事になる…か?」


「…止めた方がいいよ、なんだか怖いし…」


「俺もパス、男に星力を使うって、なんかヤダ」


「んだよー、じゃあ、シロ兄に頼むよーだ!」




「ナガレ、今ワタシの事を呼んだかな?」




我慢出来ずに書いてしまいました。どうしよう…とりあえず、ぼちぼちやってみます

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