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【恋人物語】 «男女比が狂った地獄みたいな世界で頑張ります»   作者: 三代目焼きそば定食


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青い空



「……空が、青いなぁ」


なんとなくそう呟いてみる、青春の1ページのような台詞だ、気分は清涼飲料水のCMに出演しているアイドルだ。笑顔が素敵だね。


まぁ、その出演者がボコボコのアザだらけ、鼻血を出していたら、とたんに気分は火曜サスペンスに早変わりだが…


「ひっく…ぐす…ぅう」


隣ですすり泣く声も合わせれば、立派な修羅場の誕生だ。いつの間にか昼ドラに突入していたらしい。泥棒ネコは何処かな?


現実逃避はここまでにして、状況を把握しよう。念のため殴られた頭の機能の確認もしなきゃならん。


俺の名前は「ヤマト・リュート」

ヤマトが名前で、リュートが名字になる。

齢は15歳、身長172cm、体重58kg、ヒョロヒョロ?放っといて。

肌は、白と黄の中間、髪は、くすんだアッシュブラウン、目の色はヘーゼルグリーン。


おいおい、日本男児みたいな名前で、何じゃ、その容姿とツッコミしたくなったかな?安心してくれよ、俺も毎朝、鏡を見てそう思っている。


「ごめんね…いつも…僕のせいで…ぐす」


隣で泣きながら、ハンカチで俺の鼻血を、優しく拭ってくれている少年は、

「カイ・リュート」だ。

齢は俺と同じ、身長は160cmくらい、体重?俺が知るわけもない。

肌は白、髪はブロンド、目の色はブルー。

フワフワな猫毛な事もあわさって、見た目は完璧に星の王子様だ。ヘタをすれば星のお姫様にも見えなくもない…いや、マジで面がいいなぁ、この野郎。


「別に、お前が謝る事はねーでしょ、アイツらが絡んでくんのも、俺がそこにしゃしゃり出るのも、皆、勝手にやってる事だしな」


「でも…」


ちょっとカッコつけてみた俺の台詞に対して、何か言いたげに返してくるカイ。

…その、うるうるしたお目々は止めてくれないか、俺に効く。


「俺はアイツらみたいな、ダル絡みを見てると、思わずツッコミたくなるだけだよ、自分がやりたくてやってるだけ、ほれ、お前さんは何にも関係ないでしょ」


起き上がりながら、尚もカッコつけてみる。ちょっと苦しい言い回しか?いや、でも、これ以上、美少年のうるうるお目々は勘弁して欲しい、あっ、鼻血止まってるわ。


「うん…いつも、ありがとう、ヤマトくん」


やっと泣きやんでくれたカイが、ぎこちない笑顔でそう言ってくれた。うん、やっぱ、友達には笑顔でいて欲しいわ。泣かれるとこっちも泣きそうになる。


「大丈夫?まだ痛いところある?」


「うんにゃ、もうあらかた治ってきたみたいだわ、鼻血もアザも、もう大丈夫」


顔に触ったり、肩を回したりして痛みを確認してみるが、何処にも不調は感じられない。ほんの十数分でボコボコにされた俺の体は、何事もなかったかのように回復していた。

ははっ、本当に気持ち悪いくらい便利だな、この体…


「でも、やっぱり、念のためシスターに見てもらった方がいいよ、一緒に行こ?」


「いや、本当に大丈夫だから、ほら!」


カイのその言葉に反論するように、俺は立ち上がってバク転を決めてみせる。我ながら綺麗なフォームや。


「わ!」


「な?大丈夫だろ」


手に付いた土を払いながら、俺はカイに笑ってみせた。ここは勢いが大事だ、何とか押し切らんと…


「それより、ハンカチ汚しちまって悪かったな、ちゃんと洗って返すから貸してもらえるか?」


「えっ?そんなのいいよ、僕を庇ってくれたんだから、ハンカチくらい全然!」


「だけど…」


「本当にヤマトくんは気にしなくていいから!大丈夫!」


そう言いながら、俺の血で汚れたハンカチを何故か大事そうに、いそいそとポケットにしまうカイ。

この世界ではハンカチ一枚でも、結構な貴重品だ。俺みたいなガサツなヤツに預けるのは不安に感じたのかもしれない。いや、洗濯くらいは俺にだって出来るからね、カイくん。


そんなやり取りしている俺達の間を、涼やかな微風がさぁと流れていく、木漏れ日も気持ちよく、自分達が今いるのが施設に併設された綺麗な庭園の片隅であると改めて教えてくれた。


「とりあえず、地べたじゃなくて、あっちのベンチに座らん?」


「あっ、うん」


俺の提案に頷くカイ、よしよし、シスターの話は流れてくれたみたいだ。カイくんはチョロくて、カワイイね。


「しかし、アイツらも本当に暇だよなぁ、毎度毎度飽きもせずに、あのダル絡み、他にやる事ないんかねぇ」


「…僕がグズグズしてるのが、悪いのもあったのかもしれないから…」


「いやいや、単純に嫉妬だろ」


「嫉妬?」


「ほら、カイは星力量が教室でぶっちぎりで1番なわけじゃん、シスター達からもすっげぇ期待されてるし、それが羨ましいんだろ」


「でも、星力量が多くても体育もゲームも全然だよ?」


「勉強も1番じゃん、いつも!お馬鹿な俺の勉強も手伝ってくれるし!」


「ヤマトくんは馬鹿なんかじゃないよ!勉強頑張ってるもん!体育だって、ゲームだって凄く頑張ってるよ!」


「お、おう、褒めてくれて、サンキュな」


あれ?何の話だったっけ?

そうそう、アイツらの話だ。

アイツらとは俺らと同じ教室の「ナガレ・リュート」とその取り巻き連中の事である。


「ナガレ・リュート」

齢は俺達と同じ、身長は180くらい、体重?知りたくもないわ。

肌は黄と黒の中間、髪はブラック、目の色はゴールド、いや、本当に金色なの、めっちゃギラギラしてるの。

どこか黒い狼を連想させる、シャープなイケメンだ。


だが…

性格は慇懃無礼で嫌味で皮肉家、プライドも高い。

向上心が強いといえば聞こえは良いが、目上であるシスター達にはめちゃくちゃ媚びを売るが、自分より格下だと思う相手を前にすると途端に仮面が剥がれてしまう。

そんな少年がナガレなのだ。


「ナガレは、シスター達に褒められるのが、生きがいみたいな奴だから、カイが羨ましくて堪らないんだろうな」


「ナガレくんだって、シスター達にいつも褒められてるし、周りの友達からも、いつも凄いって言われてるのに…」


「それでも不安なんだろうなぁ…そもそも、むっさい男に褒められるのと、綺麗な女の人に褒められるのは、全く別物だろ?」


「え?…うーん、そうなの?」


「そうなの」


偏見に満ち満ちた、男と女の持論は置いておくとしても、


一つのどうしようもない現実として

この狭すぎる俺達の世界においてシスター達は、

絶対的な教師であり、

絶対的な母親であり、

絶対的な異性であり、

彼女達こそが俺達の価値と在り方を定める、


絶対的な裁定者である


だから、ナガレの在り方は、本当は正しいのだろう。

カッコウという鳥が、巣で生まれた瞬間からそう動く様に、

親に認めてもらい生きるために、媚を売り、味方を増やし、ライバルを蹴落とす。

そうするしかないから、そうしているだけなのだろう。


まぁ、だからといって、ボコされた事を許す気は微塵も無いけどね!覚えてろよ、あの野郎…次は三倍返しにしちゃる。


「カイもさ、シスターには、やっぱ言いにくいだろ?」


「…うん」


「なら次からは、すぐ俺に頼ってほしいよ、だって友達だろ、俺達、助け合おうぜ!」


「うん!…ありがとう…ヤマトくん」


おお、おお、綺麗な笑顔だ。この笑顔で白飯3杯はいけそう、なんちゃって。


そうやってお互いに笑いあっていた時に



「ヤマト様、カイ様、こんなところで何をしていらっしゃるのですか?」



どこまでも甘くて、蕩けそうに優しく、だけど何故か寒さを感じてしまう、




女性の声が響いた。




我慢出来ずに書いてしまいました。どうしよう…とりあえず、ぼちぼちやってみます

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