三泊目♪ 人生初めてのお姫様抱っこ♪
「私立だから大丈夫〜?
お給料もっとほしいから〜。
推し活もっとしたいの〜。てへ〜」
腐を感じるうちわを手にパタパタゆらゆら♪
缶バッジが光ってる♪
どこから出したのかな♪
「教室にまでグッズを持ち込む魂が尊い!
ふわっとしてそうで目的がはっきり!
そこはわかる!
がんばれ先生!」
ホームルーム終了後!
部活やサークル♪
久遠ちゃんは帰宅♪
きらりと輝くローファーの歩みを進めると?
「バイトしませんか〜!
旅館、九十九で楽しく働きましょ〜!」
「ぶふっ!?
帰ってなかった!
正門でチラシ配ってる!」
元気いっぱい勧誘活動♪
「あ! チラシを手に取ってくれてありがとう!
できるあなたはいまから正社員!」
「いまからじゃないわ!
すっごい戸惑ってるから握った手をブンブンしないであげて!」
久遠ちゃんの登場でピューっと逃げる女子高生!
「あ〜! 久遠ちゃん!
久遠ちゃんにもあげるね!」
チラシを一枚ばさっと久遠ちゃんの顔面に貼り付ける勢い♪
「別に働かないからいらないけど!?
……手書き! 連絡先載ってないし!
募集の意味!
ちょっと見せてみなさいよ!」
チラシの束をひったくってみると?
「え? こっちは内容が違う!
ちょっと貸しなさいよ!
全部手書き!
しかもチラシの裏!」
「素敵なデザインでしょ〜!」
胸を張って得意げな表情は天下一品?
「どこが!? なんで魔法少女の絵が描いてあるの!?」
「それ動画見ながら描いたんだ!
上手でしょ!」
「画伯!? 旅館で着ぐるみショーでもする気!?
こっちは欲しいものリストになってる!?」
「うん! いま一番欲しいのは最新型の愛フォン!
あとね。ボロボロのほうきを使ってるおじいちゃんの玄さんのために150インチのテレビが欲しいかな!」
身振り手振りでボディランゲージ♪
「それ絶対、自分のためよね!?」
「二人で魔法少女キラキュア見るんだ!」
「おじいちゃんキラキュア見るの!?
たぶん苦行にしかならないから見せないであげて!?
……温泉旅館かあ。
ジャパ〜ンの文化に触れるのも楽しそう?」
ふっと和の世界に想いを馳せる乙女心は油断の元?
「ほほう」
キュピ〜ン!
「は!?
その目はなに!?」
獲物を狙う獰猛な野生の目が光ってる!
その実態は引きこもり♪
「久遠ちゃん、うちで働きたいんだね!
それなら早く言ってくれればいいのに〜!
さっそく今日から働こう!
レッツゴー♪」
獲物に飛びつく鷹のように!
シュピンと密着する手と体勢がまるで王子様とお姫様♪
百合が咲き誇る脳内ビジュを背景に優しくふわっと抱き上げて?
「え!? ちょっと!?
うわ!?
人生初めてのお姫様抱っこ!?
わたし重くない!?」
「ふふふ。甘〜いイチゴよりも軽いさ」
まるでイケメン騎士のような甘い囁き♪
「なによその口調!?
甘いイチゴってなに!?
パンツもイチゴだったし!
きゃっ!?」
あっという間に学校の外!
「足、早!
登校の時は遅かったわよね!?
どんだけ力強いの!?
体が浮いてるみたい!
え? なにこのトキメキ?
ドキドキする?
曲がり角のドリフト感!
対向車すれすれ!
これって死を感じるドキドキよね!?」
吊り橋効果ドキドキ♡
そんなこんなで!
高層ビルに囲まれた趣のある石畳の細い小道。
九十九と彫られた趣のある天然木の看板が下げられ、歴史を感じる古びた木造の建物の前に佇む二人。
やさしい穏やかな陽が差している♪
「ようこそいらっしゃいました〜!」
「ようこそじゃないわ!
死ぬかと思った!
わたしって拉致されたのよね!?」
「そんなことしないよ〜!
ほら! あれがわたしの旅館、九十九だよ!」
ゆるっとふわふわに指し示すおててに太陽の輝きがキラン♪
「これがジャパ〜ンの旅館……
なにかしら?
不思議な気配を感じるわ?
なんだか遠い血脈に感じて懐かしいような?
……趣のある和の佇まいが素敵ね」
「そうでしょ!
ママが唯一残してくれた大切な旅館なの……
ずっと休業してたんだけどね!
ママのためにも営業再開して、人気旅館にしたいんだ!」
「陽和さん……
それで従業員の募集をしてたの。
そう。そんな想いがあったのね……
がんばって!
それじゃあ、わたしは帰るわね!」
シュタっと歯切れよく手のひらを掲げてる♪
「あれれ?
深〜い同情心から一緒に働く!
って言ってくれるんじゃないの?
陽和でいいよ!」
「陽和。別に働きたくはないから!」
「いまなら、そこにいるお掃除玄さんの手作りサンドイッチ付きだよ!」
綺麗な小道をいつまでも掃き掃きしてる♪
つまりヒマ?
「バッタは食わん!
そこはお給料でしょ!?」
「お給料?」
心底不思議そうな純粋な瞳が無垢だったり?
「首をかしげるな!
無給!?
そんなんじゃ誰も働かないし!」
「そっか!
ん〜と? じゃあこれならどうかな?
玄さん、集めた葉っぱちょうだい!」
こんもり落ち葉から葉っぱを一枚、二枚、三枚。手にとって広げてる♪
「もしかして、葉っぱがお金って言うの!?
おままごとじゃないからね!?」
「はい! これでいい?」
「ぶはっ!? 札束!?
千円札に五千円札に一万円札!
どっから出した!?
葉っぱはどこいった!?」
札束を受け取った手がぷるぷる震えてる♪
「こんなにお金あるなら働かなくて良くない!?
ん?
んん?
んんん?
お札の顔が陽和になってる!?
偽札か!」
札束をめくるとどれもお間抜けな顔がずらり♪
「これならいっぱいあげるよ!」
こんもり落ち葉が札束の山になってたり♪
「どっさり!
どっから出した!?
警察に連行されること間違いなし!
ジャパ〜ンに来日早々、刑務所暮らし!?」
「いっしっし!
いっそのこと捕まっちゃえばいいのに!」
「嫌に決まってるわ!
んん? 誰の声? いま誰がしゃべったの?」
キョロキョロ見回しても姿は見えず♪
「陽和と玄さんしかいないわよね?」
「あれ〜? 姿を消してたのに俺の声、聞こえんだ!」
久遠ちゃんの目の前にぼふんと現れてくるくる空を泳ぐいっちゃん!
「なにこの生き物!?
オコジョが浮いてる!?」
白いもふもふ。尖ったお耳。ギザギザふかふかしっぽがするりと久遠ちゃんの首元をくすぐって♪
「ひゃわ!?」
「俺はオコジョじゃねぇ!」
くるんと変身魔法少女っぽく、かわいくぼふん♪
かわいいオコジョがかわいい美少女に大変身♪
「俺は飯綱だ!
あんなかわいいだけのオコジョといっしょにするなよな!」
「か、か、かわいい〜〜〜!
ジャパニ〜ズ着〜物が東洋の神秘!
なんてプリティな女の子!」
黄色地の正絹着物。鼬萩と千代萩の花鳥風月な和文様がとっても風雅♪
「うちの無駄飯食らい、いっちゃんだよ」
「いっちゃん! オコジョなお耳がなんてかわいいの!」
頭の上についたとんがりふわふわお耳と先っちょ黒い真っ白もふもふギザギザしっぽに触りたい♪
「だからオコジョじゃないって!」
かわいいお顔がぷんすこ♪
「無駄飯食らいは否定しないのね?」
「もちろん!
俺はイタチだから!
ふざけんなよな!
この! 目つきが悪いマフィアみたいな顔しやがって!」
ぎっく〜!
冷や汗たらり♪
「め、目つきが悪いって失礼ね!
《《わたし》》はマフィアじゃないわよ!
(世界を股にかけた正義の殺し屋だなんて万が一にもバレるわけにはいかない!
でないとせっかくの休暇がなくなっちゃう!)
イタチっていうか……
ええ!?
オコジョが女の子になった!?」
とか言いながら♪
いっちゃんに抱きついてもふもふしてる久遠ちゃん♪
「イタチ! しつけぇな! 暑苦しいから離れろよ!」
やっぱりぷんすこが止まらない♪
「いっちゃん、どこからどう見てもオコジョだよ?
いまは口悪ケモみみしっぽな女の子だけどね!」
「ほんとだ!
長いしっぽが着物から生えてる!
ケモみみしっぽ?
コスプレ?
そういえば、どこから現れたの!?
さっきのオコジョはどこよ!?」
キョロキョロ目の前の現実からはそらしてる♪
「まじムカつく!
俺だよ! さっきのオコジョは俺!
オコジョって言わすな!
俺はイタチだからな!」
ぷんすこにぷんすこが重なってさらにぷんすこ♪
「はい? もしかして……変化した!?」
驚愕の事実にやっと気づいてる。
「そうだよ! もっかい見せてやるからな! 変化!」
くるんと変身魔法少女っぽくかわいくぼふん♪
ついでに隣の陽和もくるんとぼふん♪
「ほら! わたしはタヌキだよ!
たぬき耳にしっぽが悩殺かわいいでしょ!」
きゅるんと悩殺ポーズをしてみたり♪
かわいいオコジョがくるんと襟巻き状態♪
「あんまり変わってないし悩殺ではないわね?」
「久遠ちゃん、どこ見て言ってるのかな?」
視線の先は乙女の神秘♪
「なによそれ!
あんたたち人間!?
どういうこと!?」
人差し指が二人に交互に何度も行ったり来たり♪
「むはは〜!
なにを隠そう!
この旅館、九十九は!
妖怪の妖怪による妖怪のための隠れ宿!
わたしはここのプリティ女子高生な女将なのだ!」
自信たっぷり声高らかに。初夏の青空と静かな小道に響いてる♪
「まだ女将じゃねぇだろ」
呆れた声が対照的?
「ジャパニ〜ズモンスター!
獣族ってことよね!
やっぱり日本にもいるのね!」
「日本にも? 獣族? わたしは妖怪だよ?
久遠ちゃん、妖怪を知ってるの?」
とっても興味津々♪
頭の上とあごの下に指をツンツン小首を傾げてみたり♪




