十七泊目♪ 麗しのプリンセスが興味津々♪
「そんなことしてる場合じゃないと思うけど!?
お姫様を連れ返さないとダメじゃないかしら!?
そして御礼はもらっておきましょうよ!?」
「そうかなあ? 大通りは大混乱だよ?
すぐに戻ると危なくないかな?
まだ襲撃者がいるかもだよね?」
もふもふ感覚の鋭いケモみみに大通りの喧騒が聞こえてる?
「陽和がまともなことを言っている!?
なんだかわたしの方が間違っているような気がする!」
「久遠ちゃんそれにね……
変に御礼をもらうよりも貸しを作っておいた方がいいかもだよ?
長〜いお付き合いをできるようにね?」
謀略家を思わせるようなキュピ〜ンと光る怪しい瞳!
最後の言葉は久遠ちゃんのけも耳にぼそぼそ♪
「陽和が貸しを作るなんて腹黒いことを!?」
「久遠ちゃん? 声が大きいよ?」
困り眉で小首を傾げてみたり?
お姫様はにっこり微笑んで気にしてないかも?
危ないことを耳にしてもにっこりスルー的な?
「あまりのびっくりに内なる心が制御できなかったのよ。
ま、まあ陽和の言うことも一理はあるわね。
だけど温泉てどうなのよ?」
そんなやりとりもなんのその?
二人の間にぐいっと割って入るお姫様!
「わたくし! 天然露天温泉にとっても興味があります!
毎日毎日第一王女としての激務と王女スマイルを崩せない精神的疲労!
たまには公務をほっぽらかしてのんべんだらりと過ごしたい!
ぜひお連れください!」
瞳をキラキラ輝かせて力説する麗しのプリンセスが興味津々♪
「つまり! 命の洗濯だね!」
「命の洗濯! はい! まさにその通りですわ!」
意気投合したそっくりさんがお互いの両手を握りしめてぶんぶんぶんぶん♪
衣装と髪色が同じならどっちか分からないかも?
「……なんだか陽和と同じ空気を感じたのは気のせいかしら?
でもまあ。本人がいいならいいわよね?」
「それなら〜。先生はお風呂上がりの冷たいスイーツを作ってきますね〜」
「「「冷たいスイーツ!」」」
「それはなんでしょう!? そちらもとっても興味がありますわ!」
「ふっふふ〜!
それはね! アイスクリームというものなのだよ!」
「アイスクリーム! 氷菓子の一種でしょうか!
ぜひ一口だけでも!」
「一口と言わずに〜。いっぱいあるからたくさん食べてくださ〜い」
みんなの期待の眼差しにしっかりにこにこで応える夢楽ちゃんはゆさゆさ余裕かも♪
「わたしはシャーベットがいいかしら?」
「シャーベット! なんて魅惑的な響きでしょう! そちらもぜひ!」
お姫様の甘い夢が膨らんでピーチなスイーツもドキドキ止まりません♪
「みんな! スイーツの前にお風呂だよ!」
「先生は厨房に行ってきますね〜。皆さんはお風呂へどうぞ〜」
「先生ありがとう!」
ゆっさゆさ夢楽ちゃんは割烹着姿でゆらゆらもふもふ大移動!
いっちゃん以外の三人はきゃっきゃきゃっきゃとテンションMAX大はしゃぎ♪
「いっしっし!
それはいいけどよ〜。
お前らいろいろ忘れてねぇかあ?
まあ俺は食っちゃ寝するだけだから別になんでもどこでもいいけどよ?」
口元に両手を当てていたずらっぽく含み笑いをするいっちゃん♪
「なんのことぽん?」
口元に人差し指を当てて困り眉で小首を傾げてみたり♪
「は!? そうよ! なんでわたしたちったらこんなにのほほんとその場の勢いに流されてるの!? わたしたちどうなってるの!?」
隣で絶叫気味に頭を抱える久遠ちゃん♪
「久遠。お前も大概だよな。
いっしっし!」
「そうよ! いっちゃんはなにか知ってるんでしょ! どういうことか教えて!」
「そいつを見な」
いっちゃんの指差す先には?
渾天儀のような不思議な世界時計がカチコチカチコチ穏やかなひとときを刻んでる♪
「ん〜? ちょっと変わってるけど時計だよ?」
「なに言ってるのよ陽和! さっきこの札をセットしたらおかしなことになってたじゃない! それで外に出たらモンスターがいた大自然じゃなくて中世みたいな場所になってたのよ!?」
「そうだったぽん?」
口元に人差し指を当てて困り眉で小首を傾げてみたり♪
「ぽんじゃないわ! お前の頭はたぬきじゃなくて鳥頭か!」
たぬき頭をガシッとつかんで前後左右に振ってみたり♪
「久遠ちゃん。目が回るよ〜」
ぐるぐる世界が回ってる?
「こいつはな異世界時計ってんだ。文字盤をよく見てみろよ」
「文字盤? 普通は1から12まで……
は!? 数列が変わってるわ!?
数字だけじゃなくてアルファベットや不思議な文字まである!」
「地球じゃ緯度、経度、高度に時間だけ表示してあったんだよ。いまは次元軸と時間軸を数列で表してんのさ。つまりな? その金属の札は次元座標特定札って言ってよ? それに記録された異次元座標にこの宿の表玄関を繋げることができるんだよ。
いっしっし!」
「異世界時計!? 異次元座標!?
ということは……ここは地球じゃないってことかしら!?」
「久遠ちゃん? いまさらだよね?」
「は!? もしかして陽和はもう分かってたのかしら!?
わたしだって大自然な場所を目にしたときに異世界って言ったわよね!
だけどそんなこと簡単に信じられないじゃない!?」
心臓がドキドキバクバク!
不安な気持ちが爆発しそう!
「久遠ちゃん? 落ち着いて? あんまり思い詰めると体に悪いよ?」
口元に人差し指を当てて困り眉で小首を傾げてみたり♪
「落ち着いていられるか!
元の世界にちゃんと帰れるか心配じゃないの!?
わたしはのんびり休暇のつもりでジャパ〜ンの女子学園に転入したのよ!
過酷な正義の殺し屋稼業で疲れた心を少しでも癒やすために!」
うっかり本業の切ない思いを暴露してたり♪
たぬき頭をガシッとつかんで前後左右に振ってみたり♪
「久遠ちゃん。よしよし。
わたしが久遠ちゃんの心も体もゆっくりもふもふ癒やしてあげるからね?
心配はいらないよ?」
久遠ちゃんの揺れる心と震える体を凝縮された極甘ストロベリーでよしよしなでなで♪
「でも帰れないとどうしようもないわよね!?」
それでも心配な気持ちは消えないかも?
よしよしなでなでを振り切って!
たぬき頭をガシッとつかんで前後左右に振ってみたり♪
「ん〜? 帰れないのかな?
いっちゃん?」
ぐるぐる世界にもう慣れた?
「んあ? 裏玄関から帰れると思うぜ?
陽和が一人前の女将になったらな。
いっしっし!」
いままでで一番の含み笑いかも♪
「陽和が一人前の女将!?
未来永劫永遠に無理な気がする!
それこそどういうことかしら!?」
「陽和。先代女将からの便箋に書いたにあったろ?
山査子の水彩画のやつ。
異世界人をもてなして立派な女将になれってさ?」
「ん〜? なんだっけ?
読んだけど読んでないから覚えてないよ?」
陽和のために綴られたあったかい言葉の数々と?
希望に満ちた未来への想いは?
陽和の心に届いてなかったり♪
「ママの想いをちゃんと読まんか!
その手紙はどこにあるのよ!?」
「どこだっけ? 捨てちゃったかも?」
「ママの大事な手紙を簡単に捨てるな!」
「え〜」
「え〜じゃない!」
困り眉で小首を傾げる陽和のたぬき頭をガシッとつかんでぶんぶんぶんぶん♪
「お取り込み中を失礼いたします。
わたくし。まずは天然露天温泉をいただきたいのですが!」
再び二人の間にぐいっと割って入るお姫様!
その瞳に感じる意志は有無を言わさぬ大迫力♪
「このお姫様も大概ね!?
わたしたちの切羽詰まった話を聞いていたのかしら!?」
「はい。聞いてましたが聞いてませんでした♪
第一王女という立場上とぼけている方がいいこともありますので♪」
にっこりにこにこな営業王女スマイル♪
「重責を耐え抜く第一王女の鍛えられたメンタルの香りがする!?
陽和とは違った路線でゆるいのかしら!?」
くんくんくんくんしたらそんな匂いがするかも?
「ねえねえ久遠ちゃん?
細かいことをぐだぐだねちねち言ってないでいまを満喫しようよ?」
諭すような問いかけるような眼差しは迷える子羊を導く聖母の眼差し?
「ぐだぐだねちねち!?
誰のせいだと思ってるのかしら!?」
「久遠ちゃんがお札を入れろって言うから入れたんだよ?」
それはほんの少し前のこと。
『……陽和。女将のあんたがやんなさいよ』
なんてことを久遠ちゃんが言ってたり♪
「は!? たしかにそんなことを言ったわ!
そうね!
いまさらあれこれ言ってもしょうがないわ!
なるようになるしかないわ!
北欧の気高い狼の誇りを舐めるんじゃないわ!
気持ちを切り替えるためにもひとっ風呂浴びるわよ!
みんな着いていらっしゃい!
せっかくだから新鮮なロイヤルピーチを楽しんじゃおうっと〜♪」
結局。堕ちました♪




