怪獣『出目金』と遭遇すること1
翌日、さすがに学校は休むことにした。
そもそも警察の現場検証が終わってないとのことで、学校自体も休校になった。母親が用意してくれた朝食は、パンとコーヒー、そして簡単なサラダとハムエッグだ。家の中で手持ち無沙汰になった美穂は朝食を食べながら、同じく朝食を頂いている穂花に話しかける。たわいない会話をするつもりだったが、彼女の名前を呼んだところで何を話せばいいのか思い浮かばなくなっていた。
「どしたん、美穂」
「名前呼んだだけ。何話す?」
「え、それこっちに訊く?」
「よし、テレビでも観ようテレビ。何か思い浮かばなかった時はテレビが話題になるんだよ」
「あー、まーそーかもだけどさ。それよりめっちゃおいしいね、朝ご飯」
「うん、おいしい。おかーさんに感謝ぁ」
そう言いながらテレビのリモコンを操作する。するとちょうど朝のニュース番組が流れており、ちょうど動物園の中を紹介する特集となっていた。
「……。ねぇ、カメレオンと鳩と続いたら、次は何が来ると思う?」
「……や、わかんない」
「だよねー。大体何なんだっつーの、アレは」
わけわかんないよね、意味不明すぎる、と軽口にしているが、実際にはこうして心の中を誤魔化しているに過ぎない。美穂も穂花もお互いにそれを理解しながら、しかしそうでもしないとあんな現実は少々受け容れがたくなっていた。
一晩が経過した今、二人は昨日の興奮も冷め止み、蓋をしていた恐怖に取り憑かれたのだ。現実的ではない巨大な生物に襲われ生きたまま喰われる寸前までいってしまったのだ。その心理的負担は計り知れない。
美穂はその状況にチクリと罪悪感を覚える。
「ねー、さすがに今日は一度家に帰ろうと思うんだけどさぁ」
「あ、そりゃそうだよね。とりま着替えが乾くまで家にいてもいいんじゃない?」
「あー、制服……洗ったんだっけ。乾くの?」
「最高の陽当たり物件なめんなよ~?」
「まぁ……うん、確かに陽当たりいいわ、ここ」
窓から差し込む燦々とした陽射しを見つめながら、穂花はぼやく。
「私もついてこっか?」
「ダメ。家に居て。ついてくんな」
「そこまで拒否するかぁ!」
うっ、と視線を逸らした穂花は、それでもと言葉を続ける。
「一人で大丈夫だから。美穂は家に居てよ」
「変な気ぃ使ってんじゃないのー? そんなのいらないってのにさー」
「んなわけないじゃん。でもさ、美穂は今日一日家に居た方が良いっしょ。親御さん心配するだろうしさ」
「う、それ言われると、まぁそうなんだけど」
「じゃ、準備したら帰るから」
「……うーん」
「つか、帰ってる最中も、昨日の……河合だっけ? あの刑事の仲間が守ってくれてるんでしょ。なら何の心配もないじゃん」
そこまで言われると引き留めるのも妙な話だ。美穂は渋々と納得したのだが。
できるだけ二人一緒に行動をしてほしい。
穂花が家を出ようとしたタイミングでやってきた二人組の男女がそんなことを告げてくる。見た目からしてあの河合の仲間の刑事だろうことはすぐに分かったものの、警察手帳を見せてこないのは少し不安だった。
「え、といわれても」
「二人一緒に行動をお願いします」
黒髪を後ろでまとめている女性が穏やかな笑みをたたえたまま、そう告げてくる。さすがに美穂と穂花二人だけで対応することはできないと判断したのか、美穂の母親が間に割って入ってくる。
「まずどちら様ですか? それから話をしましょう」
「すみません、こういうものです」
そこでやっと警察手帳――とは何かが違う、観たことのない名称の機関が記載されていた。
「ち、超……法規的……特殊、現象? 対策機関……?」
「はい、通称アマテラスです。警察と特殊な事例を扱う専門家を集めた政府の組織です。今回は熊よりも厄介な巨大不明生物の相手となるため、こちらとしても専門チームによる対応を求められることになりました」
「もちろん我々は警察にも所属しております」
と、隣の男がそう付け加える。
「もしそちらの西城穂花さんがご自宅に戻られるのを希望するのなら、かならず小此木美穂さんも一緒に移動してください」
「なぜ?」
「……どちらに反応してあの巨大不明生物が現れるか、それがまだ分からないからです。かといってそれらを警戒して行動を制限する権限はこちらにありません。二人一緒に行動をしてほしい、というのもあくまで頼み事であり、強制ではありません。ですが」
「……あーあー、わーったっつーの」
盛大な溜息を吐いてから、穂花が状況をまとめるように喋る。
「つまりさー、バラバラに分かれてたら守りきれないっつーわけっしょ。ちゃう?」
「――仰るとおりです」
なぜかこういう時になると頭が異様に回るのだと、美穂は穂花に対して思わず感心してしまった。普段の会話からして彼女の頭のキレっぷりは十分に味わっていたのだが、状況を問わず彼女は割と冷静に物事を判断するのかもしれない。
とはいえそれはあくまでも平常時であってこそだ。巨大不明生物が現れた時に頭が回ってもどうしようもない時がある。。
(私達どっちかが怪獣に狙われてると思ってるってことだよね……? つまり怪獣は私達の前に現れることは確定ってこと……?)
なぜ? どうして? 何が原因で?
考えることが沢山あり過ぎてめまいを起こしそうになる。何もかもが身に覚えのないことだ。そもそもあんな怪獣に襲われるような悪いことをしたのか? していないではないか。それでまた穂花に被害が及んだら一体どうしてくれるというのだ。
「なんか腹立つ……」
「わかる」
「いえ、そこで二人で同意されても……」
「お母さん!」
振り向きながら母を呼び、母は驚いて娘に目を向ける。
「ちょっと行ってくるわ! 穂花の家!」
「だめ、といいたいけど……穂花ちゃんの家、電話が繋がらないのよね」
「……まぁ……」
小さく答える穂花に、母は小さな溜息を吐く。恐らく家に居て欲しい気持ちと、しかし穂花をずっとこの家に置いておくにも一度家に戻ってもらって説明をしなければならない、という様々な事情が絡んだ気持ちが籠もっていた。
「じゃあ私も一緒にいくから――」
「いえ、奥様は家に居てください。我々が二人を護衛しますので」
「ちょっと待ちなさい。見知らぬ大人に子供を預ける親がいると思いますか」
「護衛対象が増えると、それだけ守れなくなります」
「……ッ! それはそちらの都合でしょう!」
「現実的な話です。それなら家から一歩も出ないで頂きたい」
「自由を奪われる権利はありません」
「はい、我々は頼むことしかできません。頼むしかないのです。だから可能な限り危険性を下げる提案を何とか飲んで頂けないでしょうか?」
「……ッ」
それはいつまで。
それはどこまで。
終わりはあるのか。
そもそも将来的に解決される事象なのか。
そんな疑問が浮かんでくるものの、それについて誰が答えられるというのだろう。
「大丈夫だよ。この人達が守ってくれるっていうなら、下手に家にいるより危険じゃないでしょ」
「美穂ッ……いえ、それはそうね。けど――」
「それにたまたまあんな怪物のターゲットが私になっただけで次もそうとは限らないっていうか、あんなの三度も出てこないでしょ、さすがに」
「――ダメに決まってんでしょ」
母は、そうはっきりと告げる。
「あのね、親の目の届かないところで未成年が危険な目に遭うかもしれないなんて、そんな無責任なことするわけないでしょ」
「ちょっとしつこいよ、お母さん」
「あんたねぇ……」
「大丈夫だって。さすがにどー考えても三度目はないっしょ、三度目は。でしょ?」
美穂は玄関でどうしたものかと悩んでいた大人の男女二人にそう声を掛ける。
「……そうですね。まずこんなことは立て続けに起こりません」
「そういう意味では現在お嬢さんは国家公務員に守られている、恐らく世界一安全な方とも言えるでしょう」
「だってさ」
「……ん~っ!」
短時間だが、相当悩みに悩んだのだろう。母は最後に一つだけ大きく息を吐いた。
「わかったわ。けど一時間で帰ってきなさい。いいわね。それと穂花ちゃん、もし家に誰もいなかったら美穂と一緒にまたウチに来なさい。必ずよ。一人には絶対にならないこと。いいわね?」
「は、はい」
「美穂も返事!」
「はい!」
「よし、いってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
何も起こるはずがない。そうだろうと分かっているし、そう信じたい。あんなことが三度も起こるわけがないからだ。
それに何より自分達は守られている。
家で怪獣が暴れてしまうより、対処可能な大人が集まっているところで怪獣が現れてくれたほうがずっといい。
そういう自己犠牲とも呼べる精神ははっきりいって好きではないのだが、美穂は思わずそう考えてしまう。そんな自分が本当に嫌だったし、できるなら楽しいことだけをしていたい。
放課後は穂花と喋りながら、ダラダラしながら、寄り道しながら帰りたい。たまには勉強をして、たまにははっちゃけて、そんな楽しい人生を送りたい。
――鳩の嘴が目に入る。
ただそこに飛んでいる、どこにでもいる鳩。玄関の外で、ただ歩いているだけの鳩。
背筋が寒くなる。
だけど、と奮起して、美穂はとにかく取り繕った。
河合が魔術協会に連絡を取るとき、必ず松沢という人間を介すことになっている。――とはいえあくまで魔術協会向けは、という話であり、河合が魔術師という立場にない時は結構自由に伝手を使うことにしていた。
が、今回ばかりは松沢に筋を通すべきだろうと、まったくらしくないことを考えて彼の携帯電話に連絡を取る。3コール程度で出てきた素早さと、実際に彼のぼよんとした中年体型があまり結びつかずに驚くものの、松沢のやんわりした口調ですぐに意識は仕事のほうへと引き戻された。
「うん? なんだい、河合君。何か重要なことでもあるのかい?」
「いや、ちょーっと松沢さん個人に頼みたいことがありましてね」
「……」
電話の向こうで沈黙が流れる。
松沢なりに色々と考えているのだろう。何しろ彼の立場は実に微妙で、絶妙なところにある。魔術協会における彼の役職を一般的に訳すなら『課長』といったところだ。実際隠れ蓑にしている建設会社でも課長をやっているらしいのでまさにということだろう。
「……あのね、こちらは協会の人間だよ? あんまりそういうこと言われるのは困るなぁ」
「あー、大丈夫です。こちらもアッチの立場で言っているわけじゃないんで。でもなるたけ松沢さん個人の胸にしまっておいてほしいなーと」
「交渉ならもうちょっと上手くやろうよぉ……」
「捜査協力っす。うっす。よろしくっす」
「あのねぇ……はぁ、話ぐらいは聞くよ。なんだい?」
「助かります。今度ビール一杯驕りますんで。で、ちょっと調べて欲しい人間がいるんですよ。恐らく魔術師。協会に登録があるかどうかを調べてもらうだけでも助かります」
「野良魔術師だと把握しきれてないよ?」
「ええ、そりゃぁまぁ。――で、名前は『トオル・ヤマヅカ』です」
「……」
松沢が沈黙する。
(あ、これビンゴだ)
沈黙すること自体に意味を求めるなら、いくつか候補が挙がる。松沢が相手の真意を測りかねているのか、あるいは言えない事情があるのか。
どちらにしろ意味はある。
「知ってます?」
「――一応、ね。魔術協会には所属していなかったよ」
「野良ってことです?」
「ああ、いや、そういうわけじゃないんだ。こちらでもきちんと彼の事は把握していた。彼はね、魔術師じゃあないんだ」
「魔術を知る人間ですか……」
「いや、そうではない。単に魔術師としての才能が無かったが故に魔術は使えなかったが、魔術師の家系ではあったよ。魔術が使えない故に協会には所属していなかった、というのが正しいところだね」
「なるほど、それはなんというか――」
幸運だな、と口が滑りそうになった。さすがに魔術協会の人間相手に言うべきことではない。
「で、なんで彼のことを知りたがっているのかな」
「まぁ、色々ありまして。今どこにいるかとかご存じです?」
「いや、二十五年以上前に姿を暗ましたままだ」
「……。え、二十五年も前のこと知ってたんですか、松沢さん!」
「これでも一応ね、管理職だからね。ここ百年ぐらいの出来事は全て頭に入れてあるよ」
「シゴデキっすね……すげぇ……」
「彼は……まぁ、難しい扱いだね。魔術協会へは直に影響しないから、ある程度の情報共有は構わないけどねぇ」
「何か問題でも?」
「姿を消した理由が、ね。彼がまだ生きているのだとしたら相当高齢であられるだろうが、果たして今も正常でいるだろうか」
「……ホントに居場所が分からないんですか?」
「……………………はぁ……それ、『今回の事件』に関わりがあるぅ?」
「えー、まぁ、はぁ、あるんですよね。たぶん。まぁそれをはっきりさせるためにもってことで、ついでにその人が何をしていたのか、経歴も後々ちょっと送ってくれません?」
「図々しいねぇ……今度の呑み、全部驕りだよ?」
「げっ、経費で落ちるかな……」
「『どこの』経費を使うつもりだい? 魔術協会は出さないよ?」
「そ、操作なので、警察から……無理? あ、そう……」
それからいくつかやりとりをして、河合は通話を切る。松沢という魔術師は優秀だが、それでも今すぐ資料が届くということはないだろう。
後は松沢に敢えて伝えなかった『トオル・ヤマヅカ』が残した住所に向かうことだ。土御門家が渡してきたメモ帳は、まるで彼が誰かに読んで貰うことを願っているような意思すらあった。最後の最後に住所を記載していたのは、つまり彼自身が人生を賭した何かを誰かの中に残したいと思ったからではないか。
「柄にも無く感傷的なこと考えちまってるよ」
そこの住所は都心から離れた埼玉県の住宅地が並ぶ、その中に建つアパートの一室だった。
最寄り駅から徒歩十五分程度の静かな住宅地の中を行くのは少々気が引ける。少なくとも平日真っ昼間からスーツ姿の人間が不釣り合いだと思うぐらいには平和でのどかだ。
そのアパートは二階建てで、二回へと続く階段もさびた鉄のそれだ。少しだけ魔術を使い適当な電気メーターを覗き見ると一応回っていることから、まだ誰かしら借りているアパートなのは間違いない。
――ここの二階だったか。
踏むと鈍い音を鳴らす階段にちょっとした恐怖を覚えつつ、河合はゆっくりと昇っていく。そして目的の部屋に着いてすぐさまインターホンを鳴らすものの、幾ら待っても反応が返ってこなかった。
「そこの人、しばらく見かけてないねぇ」
「おわっ……と。こ、こんにちはー」
「はい、こんにちは」
やたらと丸っこい中年の女性が軽く頭を下げる。エプロン姿ということはこのアパートの住人だろうか。
「そこの部屋の人とお知り合いで?」
「え、ええ、まぁ、ちょっと仕事関係で用事がありまして……」
「あら、そうなの。困ったわねぇ」
「困った? 何か困ったことでも?」
「だって」
女性は「やれやれ」といった風に首を振ってから、こう告げてきた。
「もう何年も夜中にすら電気が付いてないんだもの。お金は振り込まれているから文句はないけれど、夜逃げしたんじゃないかしら。あ、そうそうアタシはここの大家ね」
「……」
大家というのにも驚いたが、もう何年も部屋に灯りが付いていない。
つまりこの部屋は既にもぬけの殻ということだろうか。
「電気は!」
「そっちは電力会社の管轄だから知らないけど――」
「後で弁償するから許してくださいよ!」
すぐさま頭の中で魔術構成を組み、玄関の取っ手を握る。
「壊れろ!」
張り上げた声と共にドアノブの根元から破裂音がして、その取っ手がボロリと落ちる。
「ちょっ! 何してるの!」
「弁償するって! 新品のドアにしてやんな!」
部屋の中に踏み込むと、閑散とした見た目のアパートからは考えられない熱気が肌を撫でる。
「なんだ、この熱さ……!」
部屋の奥から、日本のアパートからは聞き慣れない音がする。いくつもの星の輝きの如き瞬く光、流れる風は一定で、部屋はカーテンを閉め切っているから暗かったものの、それでもそこにあるのが何かまではすぐに理解できた。
「サーバラックって……こんなところにかよ……」
十九インチラックが組まれており、そこにいくつかのサーバーとUPS、さらに大容量の外部ハードディスク装置。古いモニターとキーボードがサーバーの上に申し訳程度に置かれている。
「……なんだこのサーバー……」
背面を見るとLANケーブルが挿されており、それがルータを通じて最終的にONUへ、インターネットへと接続されているのは確実だった。
(つまりトオル・ヤマヅカは今もどこかでここのサーバへと繋げている……?)
「ちょっと! 不法侵入ですよ!」
「すみません、これでも警察なもんで!」
さっと警察手帳を見せると、女性はあっさりと信じたようだ。
「ええ、警察ッ! え、山塚さんがいないのと関係してるんですか!」
「それは事情があって言えないんですが!」
それっぽいことを言いながら、河合はモニターの電源を入れる。すぐさまついた画面はロックすらされておらず、ただただひたすらにログ収集の画面が映っているだけだった。
(機密情報じゃないってことか。じゃあこれは何だ)
最低限ロックぐらいはかけておくだろう。とりあえず何のサーバーか、起動しているサービス等を確認する。
(見た感じサーバーは三台か。これは……WEBサーバーか? 残りはDBサーバーと……何だ? 三台目は何のサーバーだ? 全部にモニターつけたら中身見えるか? いや待て、先ずはこのサーバーが何のWEBを公開しているか、だ)
アクセス数はさほど多くなく、サーバー自体の負荷も少ない。そもそも家庭用の回線で構築しているようなサーバーだ、大したことはできないだろう。――と思うのだが、一番下にある前面に大量のファンが付いたサーバーがどうしても気になった。それだけ風量を求めるということは、それだけ高度な処理をしているということだろう。
(こういうのはインフラ系の人間に調べさせてぇわ! 俺ぁただの低級魔術師なんだけどよ!)
とりあえずスマートフォンを片手に色々と調べてみると、そのサーバーが動かしているページをローカル環境で閲覧することが出来た。
「なんだこりゃ……掲示板……?」
古い掲示板の形式で、そこにはいくつかスレッドが立てられている。目を惹くのは『最強の怪獣を考えるスレ』というのが結構な回数となっていることだろうか。恐らくマニアックな人気のある掲示板ということだろう。
「最強の……怪獣……」
過去ログを見るには何かしら鍵となるものが必要で、そこまでの知識はさすがに持っていなかった。とはいえ、現在進行形で記載されている内容と一つ前のスレッドは見ることができる。まず一つ前からざっと流し読みしていくと、そこには巨大なは虫類や巨大な平和の象徴の鳥について好き勝手な設定と解釈、楽しそうな議論が繰り広げられていた。
――巨大カメレオンと巨大鳩の出来事が思い浮かぶ。
(待て待て、たかが掲示板に書かれたことが現実に現れることなんてあるわけないだろ)
さらに進めていくと、今度はデメキンの怪物や、人型の怪物等もある。さらに色々と書かれており、最後の1000番となる書き込みには、こう書かれていた。
『やっぱり怪獣といえばゴジラでしょ』
「それはない」
思わず口に出していた。
ゴジラはただの架空の生き物だ。魔術学的にもあんな生命体は存在できない。できないのだが。
(……じゃあ、今までの巨大不明生物は、『トオル・ヤマヅカ』が産み出した……例の実験で、か……?)
情報源の出所は口が裂けても言えないが、ここで発見したことについてはさすがに情報共有すべきだろう。その前に土御門家への連絡が先となるだろうが、もしここの掲示板が例の巨大不明生物騒ぎのきっかけとなっているのなら、これから起こることもある程度予想ができるかもしれない。
(……次は巨大なデメキンってか? そんな馬鹿なことあるわけないだろ――)
出目金。
金魚の一種であり、両目が大きく突き出ているのが特徴である観賞用の琉金の一種だ。突然変異により生まれた種と言われており、日本では明治頃にはすでに中国より渡来していたとされる。
鰭が長い故に泳ぎは速くなく、また突き出た目玉からはあまり想像し難いのだが、視力も高くはない。
とはいえ人間に改良されてきたからか比較的慣れやすい魚でもある――




