表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/31

18

エマーリエに面会できる人数はかなり制限されており、毎日顔を見に来るアラン王子を抜かしては、エマーリエの母とベアトリス王妃、限られた侍女のみだった。

医者にもお墨付きをもらい、エマーリエは数日で床払いをした。

自由の身となったエマーリエは城で与えられた自室でソファーに座ってお茶を飲んでいた。

毒の後遺症もなく、体調不良もなくなってからもエマーリエの行動が制限されており、部屋から出ることができず少し不便であったが今は制限が取れて自由の身だ。

テレッサ姫関係で外に出られないというアラン王子やベアトリス王妃が言っていたが詳細はまだ知らされていない。

何処かに行きたいとは思っていないが、行動が制限されるとかなりストレスを感じていたことに気づく。

ソファーに座りながらエマーリエは窓の外を見た。


「意外とこの部屋の窓のから見える景色が好きなのよね」


薔薇が咲いていた庭園はすっかり花無くなり庭師が剪定をしたおかげか葉も無くなり寂しい景色が広がっている。

裏庭から続く山も紅葉は終わり、葉を落としている木々が見えすっかり冬景色だ。

ドアがノックされてエマーリエが返事をすると入ってきたのはアラン王子。

今日は王子らしいきらびやかな衣装だ。

エマーリエが療養していた部屋にお見舞いに来たときは黒い質素な騎士服だったので久々に見る王子様の恰好にエマーリエは目を見開いた。


「珍しい恰好ですね」


「やっとあの女が居なくなったからな」


「えっ、まだいらっしゃったんですか?テレッサ姫。だから今日から私は部屋からでてもいいんですね」


アラン王子はテレッサ姫を思い出したのか顔をしかめながらソファーへと座った。

エマーリエはポットからお湯を注いでお茶を淹れる。

蒸らし時間を正確に測り、アラン王子と自分の分も淹れなおす。

時計とにらめっこしているエマーリエを見つめてアラン王子は口を開いた。


「お前は、テレッサ姫に恨みはないのか?」


エマーリエは少し考えて首を傾げた。


「恨みというより恐怖の方が強いですかね。私に毒を入れて殺そうとする意志が怖いです。そうしてもアラン様と結婚ができるわけではないのに」


「頭が可笑しいヤツに常識を言っても仕方ないとは思うが、俺がますますあの女を嫌うとは考えていないところが恐ろしいところだな」


「自分の事しか考えていないんですかね」


エマーリエは侍女に教わった通りのやり方でお茶を淹れて机の上に置く。

何度教えてもらってもアラン王子の入れたお茶には敵わないのが悔しいところだ。

今日こそはアラン王子のお茶を超えているだろうと一口飲むが美味しいがアラン王子の淹れたものには及ばなかった。

少し残念に思いながらお茶を見つめているエマーリエにアラン王子は少し微笑んだ。


「あの女は昨日、自分の国へと帰って行った。兄の王太子が自ら迎えに来てな」


そう言って机の上に書類の束と手紙らしきものを置いた。


「何ですかこれ」


「エマーリエに毒を入れた事件の調査書とあの女の兄からの詫び状だ。読む必要も無いだろうが、妹の無罪の主張と侍女が勝手に毒を入れてすまないという手紙だな」


薄い手紙を持ち上げてエマーリエは顔をしかめる。

アラン王子が言う通り読む必要はないだろう。


「その書類の束は、あの女と侍女の尋問をした詳細が書かれている。あの女は俺と結ばれないことを知った侍女が勝手にお前を殺そうとしたと言っている。侍女はワインに毒をいれるように言われたが最後まで拒否をしたと言っていた」


「なるほど。たしかにあの侍女はやっていない気がします」


テレッサ姫の後ろでオドオドしていた侍女の姿を思い浮かべてエマーリエは頷いた。


「そうだろうな。身体検査の結果、侍女と姫からワインに入れられた毒が見つかった。量はテレッサ姫の方が少なかったので姫が入れたのは間違いない。が、国際問題になるから姫が否定している間は犯人にはできなかった。すまない」


頭を下げるアラン王子にエマーリエは慌てて手を振った。


「アラン様が謝る必要なんてないですよ」


「お前を守ることもあの女を断罪することができなかった」


「そんな、私の体が元に戻りましたし。それにアラン様が毒を飲まなくて良かったです」


エマーリエが視た未来ではアラン王子が倒れていた

どうして未来が変わったのかは分からないがエマーリエはそれだけで十分だ。

アラン王子はエマーリエの手を引っ張り自分の隣に座らせた。


「な、なんですか?」


不意な行動にドキドキするエマーリエの両手を握りアラン王子はエマーリエの茶色い瞳を覗き込んだ。

「エマーリエが俺を守ると言うのなら俺も命を懸けて守ろう」


「えっ?」


突然のアラン王子の言葉にエマーリエは驚いて固まる。


「実は、エマーリエが母親に言っていた言葉を聞いて俺は自分でも驚くほど感動をしたんだ」

「えっ?」


いつの事だろうかと固まったままエマーリエは考えるとアラン王子は口元を歪ませる。


「つい先日だ、盗み聞きしていた俺も悪いが。ただ、俺を助けるためにお前が犠牲になることは止めてほしい。それは誓ってくれるか」


「そりゃ、私だって怪我はしたくないですよ。今回は、本当に助けるためではなく思わず飲んでしまっただけで・・・」


言い訳するように言うエマーリエの指先に口付けてアラン王子は言う。


「自分の命を第一優先にしてほしい」


「は、はい」


指先にアラン王子の吐息を感じてエマーリエは目が回りそうになりながら、か細く返事をした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ