14話
ようやく夏休みまであと一日となった日、意を決して海に声をかけた。
「あのさ、紹介したい子がいるんだけど……」
「紹介? どこの学校?」
「いや、同じ学校だけど」
「え、まじか。誰?」
「五十嵐ユウリって知ってる?」
「知ってるも何も、学年一位のあの五十嵐さん?」
「そう。どうかな?」
「いやいやいや、俺じゃ荷が重いでしょ。何しゃべっていいか分かんないよ」
「お願い! 今度、私の彼氏も一緒に遊びに行こ?」
「ただでさえ気まずいのに、ふゆこの彼氏も来るの?」
こめかみを押さえ、海は空を仰いだ。
たしかに私は仲の良い男友達だと思っているけれど、友達の多い海にとってはクラスメイトの一人でしかないのかもしれない。
嫌だったかな……。
申し訳ないとは思う。それでも、ユウリに大見えを切った以上、どうにか実現させたかった。
「三月に卒業した進藤先輩って知らない? 向こうは海のこと知ってるっぽかったけど」
「えっ、進藤先輩!? 知ってる! 部活でめっちゃ世話になったし!」
……海ってバスケ部だっけ?
言われてみれば体育館で見かけたことがあるような、ないような……。
進藤先輩の最後の試合は応援に行ったけれど、海も来ていたのかな。
「バスケ部だったんだ。知らなかった」
「選手じゃなくて、マネージャーだけどね」
「へぇ」
「先輩と付き合ってるの?」
「うん……まあね」
「まじか。先輩が来るなら行こっかな」
「ほんと? 良かった。ユウリはさ、男の子とあんまり話したことなくて……だから慣れてもらいたいの! 仲良くなればテストのヤマ当てしてくれるかもよ」
「それ最高」
海はグッと親指を立てて笑った。
良かった。思っていたほど嫌そうではない。
「じゃあまた連絡するね」
放課後、ユウリを家に呼び出した。
理由は、お盆休みのダブルデートについて説明するためだ。
「――と、いうわけで、八月八日から十五日あたりで空いてる日ある?」
「お盆か……」
「なにか予定ある?」
「お盆は海へ行って、検証したいと思っていたんだ」
「なにを?」
「お盆の海水浴場の危険率だ」
「……ん? どういうこと?」
ユウリは淡々と説明し始めた。
「お盆に海へ入ると幽霊に足を引っ張られる」
たしかに、そんな言い伝えがある。
だけど、それは子どもを危険から守るための戒めだと言われている。実際には、人が増える時期であることに加え、クラゲの発生や天候の変化など、お盆の海は事故の危険が高くなる。
「だけど、本当に霊は関係ないのか。いや……霊がいる可能性もゼロとは言い切れない」
「ちょっと待って。まさか心霊現象を検証するつもり?」
「そうだ」
「霊感なんてないでしょ」
「朝八時から夕方五時まで、海に浮かぶつもりだ」
「普通に体力削られて沈むからやめなさい!」




