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春泥
ぬるい風。湿った土。靴の裏に貼りつく小石。
柔らかい雨は恐らく霧雨。冷ややかに頬に貼りつく滴。
取れたまつ毛が眼鏡に貼りつき、視界が黒くぼやけている。
はげたレンズ、薄い傷。弦の部分も色は薄め。
靴の甲を汚しながら、傘をさして歩き続ける。
軒先で傘を閉じる。
頭上に水滴、うなじにも冷たさ。
喉が渇いて、水を一口。
跳ねた飛沫がペットボトルにぽちゃんと落ちる。
春泥。
柔らかい季語。
温かい印象。けれど、何処か冷たいような。
春の中で、土の温かさと雨の冷たさを両方孕んだ言葉。
その響きをずっと口の中で遊んでいる。




