First story〜始まりの冬〜[1]
First story~始まりの冬~
薄暗い部屋での中、1人眠る少年がいた。
『ジリリリリリリリリ━━━━━━』
目覚ましの音が、けたたましく鳴り響く。
「ん・・・うるっさ・・・・・」
それまで、気持ちよさそうに眠っていた少年が、もそもそと起き上がり、目覚ましのスイッチを叩いて、音を止める。
「ん・・・んん〜・・・!」
少年は、大きく伸びをして、ベッドから降りると、黒いブカブカのスリッパを履いて、部屋を出る。
「おはよ、雷吟。」
少年は、部屋を出たところにいた男に声をかける。
「あぁ、おはよう。怜。よく眠れたか?」
「うん。雷吟は?眠れた?」
「あぁ、怜のおかげでよく眠れたよ。」
そう言って、雷吟は怜の頭を撫でる。
「へへっ。良かった。」
「怜は天才だな。低反発素材が欲しいなんて言い出したときは、何を始めるのかと心配になったが、まさか、安眠枕を作ってくれるなんてな。」
雷吟は、嬉しそうに笑う。
「だ、だって、雷吟が最近眠れないって言ってたから。」
目線を下にしながらいじけたように言う。
「ふっ・・・かわいいな、怜は。」
そう言って雷吟は、また、怜の頭を撫でる。
「か、かわいい言うな!僕は男だ!」
「はっはっはっ。」
雷吟は、怒って拳を振り上げ追いかけて来る怜から逃げながら、楽しそうに笑い、
「捕まえたぞ!雷吟!かわいいって言ったこと、後悔させてやる!」
「あっはっは。」
そして、頬を膨らませながら、ポカポカと雷吟を殴る怜を楽しそうに笑いながらなだめる。
「・・・でもな、怜。」
「ん・・・?」
「私にとって怜は、いつまで経っても変わらず、私のかわいい子だよ。」
「・・・雷吟・・・」
怜は少し嬉しそうに目を細め、雷吟を見上げる。
「さ、怜。朝食にしよう。」
雷吟が思い出した、と言うように手を打つ。
「うん!今日は何食べるのー?」
怜は、幼子のような口調で雷吟に問いかける。
「ん?そうだな・・・じゃあ、トーストにするか。」
「やったぁ!」
雷吟の言葉に、怜はバンザイをし喜ぶ。
「あ、そうそう。怜、今日から新しい子が来るから、その子の世話をしてやってくれないか?」
「いいよ。雷吟のお願いなら、何でも聞いてあげるから。」
怜は嬉しそうに、目を細めて笑う。
「ありがとう、怜は優しいな。」
雷吟も、怜の顔を見て嬉しそうに笑った。




