10.一ヶ月後の風景 2
「そういえばさ」
黙々と弁当を食べていた愛川が唐突に声を掛けてきた。
「なんだ?」
「和久井君のお弁当って、いつも誰が作ってるの?」
む、中々難しい質問だ、自分で作っていると言っても良いのだが、それはそれで”料理を教えてくれ”とか言われそうだ。
あぁ、メンドくさい、どう答えようか、こうなったら…..
「叔母が作ってくれてる」
「叔母?お母さんとかじゃなくて?」
「家庭の事情ってヤツだ、詳しくは聞くな」
「ご、ごめんなさい…..」
まぁこれで大丈夫だろう、コーコさん、勝手に使ってごめんなさい。
「…..よし、決めた」
「あ?」
愛川が不意に呟いた。
「明日から、私が和久井君のお弁当をつくる!」
…..…..は?ナニイッテンダコノアマ。
ついカタコトになってしまっているが、この際どうでもいい、コイツほんとに何言ってんだ?
ほれ見てみろ、クラスの連中もポカンとしてるじゃないか。
「……….理由を聞こうか」
「いや、その、えっと、だめかな?」
「理由になって無いぞ」
「うぅ…..だめ?」
上目遣いなんかするな、他の奴なら効果はあるかもしれないが、俺には効かない、するだけ無駄だ。
「駄目だ」
「理由は?」
「今のままで充分に満足しているからだ、それを変えるつもりは無い」
「で、でも私の作ったお弁当の方が美味しいかもしれないじゃん!」
「それはないな」
「なんでそう言いきれ…むぐぅ!?」
メンドくさいから玉子焼きを愛川の口の中に突っ込んでやった。
「·············」
途端、愛川が黙り込んだ。
「お前はこれ以上の玉子焼きをつくる自信はあるのか?」
「······ない」
だろうな、玉子焼きは俺の十八番なのだから、そこら辺の女共に負けるわけないだろ。
「わかったなら、もうそんなこと言うな」
「はい……」
その後、なんの会話もなくただ弁当を食べ終え、愛川が去ったあと、読書に勤しんでいたら、昼休みが終わった。
自分、スマフォが新しくなりました。




