9.一ヶ月後の風景 1
4限目が終わり、休み時間になった。
「ふぁ〜あ」
窓側の後ろから二番目の席、つまりは自分の席で鞄の中から弁当を取り出しながら欠伸をひとつ。
入学式から、かれこれ一ヶ月が過ぎた。
この一ヶ月を省いた理由は、特にそれといってなにも無かったから、というのは建前で、ただメンドくさかっただけだ。
だが一つだけ厄介な事が増えた、感の良い読者なら察しはついているだろうが、そう、あれだ。
いや、あれというか、あいつという方が正しい。
「和久井君」
そう、たった今、俺に声を掛けたこの女子、名を、愛川 奈江、我がA組の出席番号一番、入学式の日に俺が助けてしまったヤツだ。
肩ぐらいまで伸ばしている少し茶髪がかった髪、平均より低いがロリという訳ではない背丈、出るところはちゃっかり出ている体型、やや幼い顔立ち、明るい性格、非の打ち所がない美少女である。
クラスでも、男子からは当然の様に人気があり、女子からは妹やマスコット的な立ち位置にある。
あの日の翌日、学校内でお礼を言われてから、それ以来なんだか、その、なんて言えば良いかよく分からないが、懐かれてしまった。
頻繁に話しかけてくるようになり、その度に頬を染められるものだから、俺に好意を寄せてることがクラスの何人かにバレている(らしい)。
全くもって迷惑、もとい、メンドくさい事である。
理解者がいないなら兎も角、いるのがタチが悪い。
話していると嫉妬満ちた視線を送ってくる男子(時々女子)がいるもんだから、たまったもんじゃない。
俺の声を掛けられた時の反応は大抵決まっている。
「何か用でもあるのか」
目線を合わせずそのままで棒読みで話す、それが俺のスタイル、異論は認めない。
「うん、お弁当一緒にどうかなって」
またか、これで何回目だっけか、あ、十回目からメンドくさくなって数えるのやめたんだった。
毎度毎度、飽きないなコイツ、断りたいのは山々なんだが、断る理由が無いのでOKせざるを得ない。
「別にかまわんが」
「えっへへ〜、ありがと」
愛川は俺の前の席の椅子に座り、俺の机に自分の弁当を置いた、そして手をパンッと合わせ、それはまぁ元気な声で一言。
「いただきます」
そう言って弁当を食べ始めた。
俺も自分の弁当を広げ、心の中でいただきます、とつぶやき、自分の弁当に手をつけた。
更新遅くなった割には短いorz




