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第2話
少女からの予想外の提案に、青年は言葉を失った。
少女はそんなことなど気にも留めず、淡々と続ける。
「……ただし、お手伝いするには条件が二つあります。」
「…条件…?」
「はい。ぼくがこれから消す人間、そしてあなたが消したい人間。その人間の記憶と存在は、あなたの中にだけ残します。」
「……存在を…?なぜ…消せるんだろう…」
「なんとなくです。」
青年の返事を待たず、少女は言葉を継ぐ。
「もう一つ。あなたの住処に、ぼくを置いてください。」
「…は? 家に?」
「はい。お家に。その方が…早いです。」
短い沈黙のあと、青年は口を開いた。
「……わかった。死神さん。二つとも、飲むよ。」
少女はにっこりと青年に微笑んだ。
「交渉成立ですね。人間さん。」
「…人間さんはやめてほしいな。気持ち悪い。」
「では、お名前は?」
「朔だ。」
短く答えた青年を見て、少女は目を細める。
「朔。ぼくも“死神さん”はくすぐったいです。ぼくはマオと呼ばれています。よろしくです、朔。」
「よろしく、マオ。」
二人の生活が、ここから始まった。
世界が回り始めた。




