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異世界ランジェリー・メーカー ~女性下着会社の社長と社員が転移したので、極上の下着で異世界の美女たちをコーディネートします~  作者: フシサバ


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第5話 秘密のレッスンと、魔導研究所からの刺客

ショーの興奮が冷めやらぬ中、店舗の奥にあるVIPルーム――元は貴族の応接間だった個室には、甘く濃密な空気が立ち込めていた。

豪奢なソファには、まだどこか夢見心地なミナとリリが並んで座っている。

二人は緊張と期待、そしてほんの少しの不安が入り混じった瞳で俺を見つめていた。


「さあ、始めましょうか。ショーでの君たちは本当に素敵でした。ですが、まだ『殻』を破りきれていない」


俺は優しく微笑むと、まずはリリの背後に回った。


「リリさん。貴女はまだ、無意識に自分の身体を隠そうとしていますね。もっと自信を持ってください。このランジェリーは、あなたの華奢な背中を一番美しく見せてくれるように設計したのですから」


俺は彼女の背中に手を添え、ゆっくりと背筋に沿って指を滑らせた。

ひやりとした指先の感触に、リリが「ひゃぅっ!」と可愛らしい声を上げ、小動物のように身体を震わせる。


「力を抜いてください……。そう、ここをこうして……」


俺は彼女の肩甲骨周りの凝り固まった筋肉をほぐすように、親指で円を描きながらマッサージを施す。

これは断じてセクハラではない。

姿勢を維持するための筋肉を目覚めさせる、プロの施術だ。


「……鏡を見てごらんなさい。今の貴女は、王都のどの貴婦人よりも美しいですよ」


「は、はい……。ソウイチロウ様に触れられると、なんだか奥の方から熱いものが……。私……もっと、綺麗になりたいです……」


リリの瞳から怯えが消え、代わりに妖艶な光が宿り始める。

次に、俺はミナに向き合った。彼女は俺と目が合っただけで顔を真っ赤にし、モジモジとスカートの裾を握りしめている。


「ミナさん、貴女の武器はその健康的な柔らかさです。恥ずかしがることなどありません。世の男性たちは皆、貴女のその豊かさに触れたいと願っているのですよ」


俺は彼女の顎を指先でクイッと持ち上げ、視線を絡ませる。

そしてもう片方の手で、彼女のウエストからバストサイドのラインを、形を確かめるように撫で上げた。


「あ……っ、だめぇ……。そんなに見つめられたら……私、おかしくなっちゃう……」


彼女はとろんとした目になり、自分から俺の手に寄り添うように身体を預けてきた。


「いい表情ですね。その『潤んだ瞳』と『紅潮した頬』……。それこそが、我が社のランジェリーを完成させる最後のピースなのです」


俺は二人に、視線の配り方、魅力的な唇の開き方、そして男性をその気にさせる仕草を、手取り足取り(そして密着しながら)叩き込んだ。

指導が終わる頃には、二人は単なる町娘ではなく、俺の手によって「女」の喜びと自信を知らされた、妖艶なモデルへと変貌を遂げていた。


 ◇


数十分後。個室から出てきたミナとリリは、先ほどまでの緊張が嘘のように、自信と色気に満ち溢れていた。

二人はそのまま店頭に立ち、接客を始めた。


「いらっしゃいませ♡ 『トリップ・トラップ』へようこそ。このランジェリー……着心地、最高ですよ?」


ミナが男性客の腕に自然と触れながら、豊満な胸元を強調して微笑む。

男性客は鼻の下を伸ばし、即座に財布を取り出した。


「貴女にはこれが似合いますわ」


リリは背筋をピンと伸ばし、凛とした立ち振る舞いで女性客に商品を勧める。

その説得力のある美しさに、貴婦人たちが次々と商品を手に取る。


その目覚ましい変化――というより、明らかに「何かあった」雰囲気に、社員たちが反応しないはずがない。


「社長……あの子たちに何をしたんですか? なんか、フェロモンだだ漏れになってるんですけど」


チサが呆れたようにジト目を向けてくる。

ミサキも眼鏡を光らせ、手帳に何かを書き込んでいた。


「『特別指導』、ですね。社長のその教育熱心なところ、尊敬はしますが……ほどほどにお願いしますよ?」


「ミサキさん。私はただ、彼女たちの潜在能力を引き出しただけですよ」


俺は爽やかに答え、賑わう店内を見渡した。しかし、その時、カランカランッ! と、ドアが壊れんばかりの勢いでベルが鳴った。

店内の賑わいを切り裂くような、冷ややかな空気を纏った女性が入ってきた。

年齢は二十代後半だろうか。

銀色の髪をきっちりと結い上げ、王立の研究機関を示す、白いローブを着ている。

その整った顔立ちは野暮ったいほど分厚いレンズの奥に隠されているが、隠しきれない知性が滲み出ている。


「……ここが、噂の店か」


彼女は鋭い視線で店内を一巡し、楽しげに商品を手に取る女性客たちを見て眉をひそめた。

そして、カウンターにいる俺へとまっすぐに歩み寄ってくる。


「貴様が、ここの責任者か?」


正面に立つ女性を、俺は「職人の眼」で瞬時に解体する。


(……ふむ。アンダー72、トップ95。推定Eカップか。厚いローブで隠しているが、相当な逸材だ。だが、度の強い眼鏡のせいで眉間に皺が寄り、肩のラインが不自然に上がっている。深刻なストレスと、長時間のデスクワークによる血行不良……。彼女こそ、我が社のランジェリーで『救うべき』対象だな)


「ええ、代表のソウイチロウです。何かお探しですか?」


俺が営業スマイルで応対すると、彼女は懐から身分証を取り出し、俺の目の前に突きつけた。


「客足を止めて悪いが……。私は王立魔導研究所、所長のエリザ・フォレストだ。貴様らの店に対し、『違法魔導具販売』の容疑がかかっている」


店内が静まり返る。


「……誤解があるようですね、エリザ様。我々の商品は、魔法など一切使っておりません。すべて職人の技術による縫製品です」


「信じがたい話だな」


エリザはショーケースの中にあるブラジャーを指差して叫んだ。


「魔法も使わずに、あれほど胸の形を変えたり、姿勢を矯正したりできるわけがない!」


エリザは手に持った魔力測定器を俺に突きつけた。


「私の研究所の理論では、肉体の形状を維持するには常に一定の魔力供給が必要なのよ! 反応が出ないということは、既存の法則を無視した『禁忌の技術』を使っている証拠だわ。……認めなさい、貴様は何を企んでいる!?」


なるほど。

彼女は科学者(魔導研究者)だ。

自分の理解を超える現象を目の当たりにし、それを「不正な魔法」だと結論づけたわけか。

頭が固い。

だが、こういうタイプほど、一度真実を知れば脆いものだ。


俺はカウンターから出て彼女と対峙した。


「ならば、証明いたしましょう」


「証明だと? どうやって……」


「簡単です。エリザ様、貴女自身にお試しいただきます」


俺は彼女の白衣の下――味気ないシャツに隠された身体を一瞥した。

彼女もまた、重い肩こりと、締め付けによるストレスを抱えている。


「貴女のその凝り固まった身体と疑り深い心を、私のランジェリーで解き放ってみせましょう。……もちろん、検査(フィッティング)には協力していただけますね?」


エリザは顔を真っ赤にして激昂した。


「いいだろう! その化けの皮、私が剥がしてやる!」


エリザの叫びに、店内の客たちが固唾を呑んで見守る。

俺は優雅にフィッティングルームのカーテンを開け、手招きした。


「後悔しないでくださいね、所長。私の技術は、貴女の『理論』よりもずっと、貴女の身体に忠実ですから」


――堅物な魔導学者の仮面が、ソウイチロウの指先で剥がれ落ちるまで、あと数分。

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