Ep.52 迷宮探索6
クロトが……死んだ?
「う……嘘だ…そんなの……」
私がそばに居たのに。絶対にアメリカに連れて帰ると約束したのに。
助けられなかった。
なんで…………
シュネーが、クロトに触れて何かしている。
「ッチ……耐死の魔法が壊れてる………『死なずに復活する』という結果ごと書き換えてくるか…………」
声が、出ない。
息もできない。
汗も出ず、心臓がギュッと締まったような感覚に襲われた。
「おい!!」
バン!!と背中を叩かれた。オルカだ。
「お前が諦めてどうする!!連れて帰るって約束したんだろ!どうにかして……どうにかしろよ!!」
そうだ。私が、クロトを助けなければ。
「そう…だな。すまない。」
クロトの体に触る。死因は、大量出血と臓器不全。……の他にも、何かあるだろう。シュネーの耐死の魔法を潜り抜けるということは、体内の魔力回路を引き裂いたという事か。
これでは体に魔力が通らないので、回復魔法も機能しない。この場所で医学的な蘇生は出来ないから、今出来ることは……
「ひとまず、魔力回路の復旧だな。」
「ああ………ナイフを刺すと同時に、魔力回路を引きちぎったのか…?とても真似できる者では無いが………。しかし、やってみれば出来るかも。」
傷口に手を触れ、んー、と目を瞑るシュネー。
「ここから……ああ、ここがぐちゃぐちゃになってる………うーん……」
1時間ほど作業をしていた。私もシュネーを手伝い、魔力が流れるかどうかの確認や、体の回復など。魔力回路は触れないので、そこは任せっきりだ。
「………よし…。これで……多分繋がった。あとは回復魔法をかけて…蘇生すれば………多分生き返るよ。」
「!!本当か!」
「多分ね」
「シュネー…!ありがとう…。」
クロトの傷口に回復魔法をかける。体内もかなり崩されているが……輸血も含めて、数日もあれば完全回復するだろう。
クロト…。
「すまんな、何度も危険な目に合わせて」
クロトの手を、強く握った。
一度作戦会議を行う。
「このまま迷宮の探索は続けたい。だが、クロト君を連れて行くのは厳しいし、残りのメンバーもここから先に潜るのはキツイと思う。どうしようか?」
「そう……だな。私は出来ればクロトの側に居てやりたいが。」
そう言いながら、クロトをギュッと抱きしめる。もう2度と、目を離して失うなどは御免だ。
「じゃあ、ルミナスとクロト君は、一度地上に戻るか?ここから先は、私とシュネー君、焉麒、オルカ君の4人でも攻略出来るだろう。」
「半分くらいまで来たしな。」
「ワシは構わんぞ!」
「だが……一応、一度迷宮に入った事のある人間は、1人は居た方がいいんじゃないか?」
「大丈夫だよ。それに、以前とは全く構造が変わってたんだろう?」
「ああ。それに……あの魔人が迷宮の主というのが本当なら、主まで変わっている事になる。」
「何っ……本当なのか!?」
「そんな事あるんだな」
「いや、私も長い間、色んな迷宮を見て来たが、迷宮の主が変わったという話は聞いた事が無い。そもそも、主というのは迷宮が生まれると同時に出る物だ。中で湧き出るのか、魔王なんかに主にさせられるのかもしれないが……。これまでの法則が変わる事になる。」
「そうだな。じゃあ、こうしよう。君はクロト君と、A以下の者達を連れて、上に戻ってくれ。その後、もし上で手が空いている者が居れば、ここに来る様に言ってくれ」
「……わかった。そうさせて貰おう。」
そう言い、私はクロトを背中に担いで、A以下の者を連れて地上に向かったのだった。
タジ君が言っていた、40階層まで行ったことがある人達というのは、ルミナス(+数名)の事です。




