Ep.50 激戦の始まり
少し時は戻り、クロト達が北京迷宮に入って3日目、地上で。迷宮付近の谷に、30万の大軍が押し寄せていた。
「………」
「ついに…来たな。」
「大丈夫でしょうか…」
「うふふ…きっと、大丈夫よ。リノちゃんは安心して見ておいてね。」
ヴィザールがジッと地図を見つめる。
「………作戦開始だ。」
『オオオ!!!』
同時刻。”ある場所”にて。
「……始まったようですが、いかがなさいますか?」
「………全てアイツに任せている。私が口を出す所では無い。」
「分かりました。」
「………」
「本当にあのチビだけで出来るのか?どうせシクるだろうぜ。」
「ギャハハハ!」
「黙れカス。殺すぞ。」
「…喧嘩はよせ……。ハァ……」
カミュ視点
魔人や魔獣を含めた30万の軍が、こちらの本拠地に向かって谷間を進む。やはり内通者……というか、人間になりすましたヤツが居たようで、こちらの位置を把握している様子。
いや、「把握出来ていると思っている」様子だ。
ヴィザールの作戦通り、谷を進む30万を、先頭から5000ずつ波状攻撃する。アルマの部隊から魔法が使えるものも置き、ここで大軍を抑える。
押さえ込まなければ、立てた作戦がパーになるので、頑張って貰わなければならない。
そして、魔人共の別動隊。これも予定通り。
だが……
「うーん。想像以上に数が多いな…。ティア、数はどのくらいか分かるか?」
「う〜ん…う〜ん……10まん?くらいかな〜?」
「多いな……これを私の3万ちょっとの軍で抑え込めと……なかなか無茶を言う。」
「がんばろーー!おー!」
「フッ……まぁ、やるだけやってみるか。」
眼前に広がる、10万の大軍。谷の30万とは違い、平均的なレベルはB+にはなるだろう。だが、舐められると困るな。
「ティア!!『狼』だ!」
「わかった!!」
ティアの髪が伸び、体がドンドン大きくなっていく……
そのまま、体長2メートルはゆうに超える、黒光りする狼になった。
「ガルルル……カミュちゃん、いつでもいけるよ!」
「よし…行こうか!!!!」
10万の大軍に、こちらから打って出る。正面から突撃すると、風圧で魔物が消し飛んでいく。後ろの3万の兵も全員出陣だ。こちらが崖上ではあるので、かなり優位だ……
が、果たして数の差を巻き返せるか。
私はS、ティアはS−。だが、私がティアに乗って戦えば、S+にも匹敵すると自負している。
ものすごい勢いで突撃し、大軍の正面を抉り取って行くが…
私の剣が、ガン!と止められた。
「バハハハハ!!!何かと思えば、女と犬っころじゃねぇか!!」
「フン。臭い魔人だ……どけ」
「良い加減調子に乗ってっと……」
男が大きく斧を振り上げる。
「殺すぞっ!!!!!」
「グッ……」
なんとか剣で受け止めたが、ティアと一緒に吹き飛ばされる。
「へえ……俺の斧を止める女が居るたぁな……。少しは楽しめそうじゃねえか」
「黙れ。死にたくなければ、命乞いでもするんだな…」




