Ep.49 迷宮探索5
もぐもぐとお肉を食べながら考える。
もしオルカさんが帰って来て、何も無かったらどうしようか。キッカケが無いなら、キッカケを作る?
でも、特に魔力を流してどうこうなりそうなものは無いし、何かのキーになりそうな魔物が居るわけでも無い。
「ねぇ、どう思う?」
「どう……分かんないっすね……。もう地面を掘るしか思いつかないっす。」
「上に戻るとかでもなさそうだもんね〜。階段にも特に何も無かったし。」
「そうだね。となると、やっぱりこの広い場所から階段を探し出すしか無いのかなぁ…」
3人で話し合っていると、オルカさんが帰っていた。
「お〜い」
「オルカ、何か見つかったか?」
「何も無かったぜ。端にも全然辿り着かねぇし、景色も変わり続けて、ループしてる感じも無かった」
「それは……困ったな……」
「どうしたものかな。道を間違えたとも思えないんだが。」
「……視点を変えてみよう。もしこの空間が何かの魔法で作られているとしたら、どこかに限界があるはずだ。それは距離かもしれないし、人数かもしれない。でも、私たちが簡単に行ける距離では、歪みの一つも生まれなかった。」
「ということは、他の………あっ!魔力だ!」
「ああ。これだけ魔力を薄くしているということは、中に入れる事が出来る魔力量が少ないから…とも考えられる。とりあえず、出してみようか。」
魔力を持っている人たち、私も含めて、体内の魔力を沢山出す。
半分くらいまで出していくと、だんだん周囲の空間が歪んできて……
パリーン!と、魔法が砕けた音がした。
そのまま、周りの景色がボロボロと崩れていき、外が見えてくる。
私たちは、小さな部屋の中に居た。
床、天井、壁にぎっしりと魔法陣が詰め込まれているが、魔力で歪んでいる。複雑すぎて目が痛くなるが、迷宮の主はこれを書いたのだろうか?
部屋の奥に階段があり、おそらくそこから下に下がることが出来る。
「うわぁ……やっと外に出れた…」
「………凄まじい魔法陣だな。書き上げるのにどれだけかかるか。」
「そうだよ〜。どれだけ時間かかったと思ってるの〜」
ドス。
背中に痛みが走る。
「……っ…え?…ッゲホッ……ゴホッ……」
口から血が吐き出る。
………な…何が……?
後ろを振り返る。
そこに立っていたのは、いつも通りニコニコした、ユニちゃんだった。
「えへへ〜」
彼女はまた私にウインクをした。
「クロトっ…!」
1番近くにいたルミナスが走ってくる。
「貴様ァァァァァァァ!!!!」
ルミナスがユニちゃんを切ろうとするが、首筋ギリギリの所でピタリと止まる。
「あなたの剣は、届かないよ〜。残念だけど。」
ズブッ…と、私の体からナイフを引き抜くと、ふわりと浮き上がり、衣装が変わって行く。
「あ〜あ。この空間で引き返してくれると思ったのに、まさか欠点に気づかれちゃうとはな〜。折角新しく作った魔法が壊れちゃった…。まぁいいや、バイバイ!」
「そうはさせるか」
ギルマスがユニちゃんを斬り殺そうとするが、するりと避けられる。
「あっぶな〜い!でも、君の攻撃も届かないね!」
「お前は…誰だ…!」
「私はユニバースのユニちゃん!この迷宮の主だよ。また私に会いたかったら、50階層まで来てね!」
「ゆ……ユニちゃん……なん…で……」
「ん〜。クロトちゃんとは仲良くしたかったけど、ちょっと面倒くなってさ〜。今の人間の事も詳しくは知らなくて、ちょこちょこボロが出ちゃったし。メンゴ!それじゃあバイバイ!」
ヒュン、と何処かへ消えるユニちゃん。
だが、私が見れたのはそこまでだった。
大量の出血、臓器の欠損。
2326年9月5日。クロト、死亡。




