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クロト  作者: 白玉
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Ep.45 ヴィザールの作戦

上空にて。



「ヒェー、危なかったなぁ。てか、あんなん持ってたんなら早よ使えば良かったやろ。」

「周囲に糸が張られていたら逃げられないだろう。」

「2個目も糸で止められたらどうするつもりやったんや?」

「関係無い。」


「…は?」

「どちらもブラフだからな。あそこに行った時点で数種類、煙幕の魔法は発動させていた。あのカプセルはただ魔力を込めただけのゴミだ。」


「なんやねんそれ…。てか、あの煙幕、魔力阻害やろ?俺の魔法も使えんくなるとは思わんかったんか?」

「ここに来る前に茶を飲ませただろう。」

「茶………あー!あれか、あのクソマズい茶。」


「あれが魔力阻害を無視出来る薬だ。」

「なんやそうやったんか……。あんた、ホンマ賢いなぁ……」





「…………待て、速度に大きく緩急をつけろ。」

「え?…ホイよ。」



すると、フッ…と何かが切れる音がした。


「………やはりか…」

「え?なんやったんや?」


「糸だ。つけられていた…特に効果は無かった様だが」

「マジかいな」







「…あっ、ヴィザールさんたち戻って来ました。」

「何をしに行っていたんだ?」

「………何も…いや、魔人どもの本軍を見に行っていた。あと2日もせずに到着するだろう。」


「あら…思ったより早いわね。」

「さて…どうしましょうか。一応、通達しておきますか。」

「やめろ。通達はギリギリまでするな。」

「え?どうしてですか?」

「……念の為だ。」


「…分かりました」





「……なぁ。」


様子を見ていたカミュが口を開いた。


「作戦なら、せめて幹部のみんなだけにでも説明したほうがいいだろう。本番でいきなり説明されても、多分連携が取れないぞ。何故こんな配置にしたのか、下に通達しないのか、説明しろ。」

「………構わんが、絶対に下には洩らすなよ。防音結界を張れ。」



そう言うと、ヴィザールは机の上にここ一帯の地図を広げた。


「……私が見て来た魔物の軍勢はおよそ30万だった。」

「さっ…30万?そんなに居たんですか!?」


「だが、あれは噛ませだろう。おそらく本命は別にある。あの軍の平均的なレベルはC+、高くてもB−と言ったところだ。谷に誘い込めば、2万でも抑える事は出来る。」



ヴィザールは地図に指をさした。


「この谷に入り込んだ所を2万で叩くわけだが、奴らは当然そうなると分かっているだろう。叩こうとした2万をさらに背後から襲うのかもしれないが、もっと効率的に我らを殺すことが出来る方法がある。」

「…と、言うと?」

「食料を消す事だ。……つまりは、食料を持っている人間、アルマを殺せば良い。」


「アルマさんが食料を持っているなんて、どうして分かるんですか…?」

「簡単な話だ。10万の兵の中に、魔人が紛れ込んでいるのだろう。全員を完全に把握するなど不可能だからな。これが、作戦を下に通達するなと言った理由だ。」

「ふむふむ…」


「問題は奴らの別動隊だ。30万の軍の中には、率いている数名のS−程度の者が居たが、こちらを脅かす程では無かった。あの程度でこちらを倒すことが出来ると思うほど、奴らは馬鹿じゃない。」

「なるほど、大体分かりました。その別動隊を警戒して、バラバラに隊を配置したという事ですね。」


「特に、精鋭をアルマの周りに固める。やられても捕まっても終わりだ。」

「私がそう簡単にやられるとでも?」

「普通はな。だが、軍勢の中に魔王が居れば話は別だ。」


「なっ………魔王が居たんですか!?!?」

「知らん。居たとしても気づける筈が無いだろう。あくまで可能性の話だ。」

「魔王、ね……」


「空からの奇襲か、地中からの奇襲か。複数体ドラゴンが居たのに加えて、飛行魔法を使う魔人もいるだろう。」

「……かなり、キツくないか?撤退という案はどうなんだ?」


「撤退は出来ないわね〜。国に大量のお金を出して貰っている以上、何もせずにノコノコと帰ったら死刑よ。」

「ハァ……」



ヴィザールがパッと立ち上がって船の方へ戻っていく。



「関係無い。何があろうと、勝つまでだ。」

ヴィザールカッコいい…!

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