Ep.39 不穏な忠告
荷物を置いて、脱衣所でシュネーさんの服を脱がせる。ティアちゃんもまだお風呂に入っていなかったようなので、入れてあげる事にした。
「おふろーー!!!」
バッシャーーン!!とティアちゃんがお風呂に飛び込む。
思っていたより大きい。20平方mくらいはありそうだ。シュネーさんの髪の毛を括って、お風呂に浸けた。私も一緒に入る。
「ふわあぁぁぁぁ……」
バーデンバーデンでお風呂に入ってから、水浴びだったり、列車内の簡易風呂などでまともにお風呂に入っていなかったので、凄く気持ちいい。
「お風呂…!初めて入る。」
「ちょっと熱いけど、大丈夫だよ。」
魔人ちゃんはお風呂初めてなのか。魔族にはお風呂に入る習慣は無いのかな。
「きゃははは!」
「あっ、ちょ、ちょっと。ティアちゃん、バタバタしたらダメだよ。」
「クロトちゃん、えい!!」
バシャ、と顔に水をかけてくる。
「この〜。やったな〜?」
私もバシャバシャと水をかけ返した。2人でお湯を掛け合っていると、シュネーさんが起きた。
「ん…お風呂入れてくれたんだな。ありがと…ゴフッ」
シュネーさんが、ティアちゃんにお湯をかけられた。
「な…何をする…」
「あ〜そ〜ぼ〜!」
「嫌だ……」
「シュネーさん、いつも寝てますけど、なんでなんですか?」
「私はまぁ……強い魔法が使える代わりに、いつも寝てなくちゃいけないんだ。」
「へ〜」
「強過ぎる魔法は脳の負荷が大きいから……。でも、お風呂はリラックス効果があるし………。起きていてもいい。」
「だから起きれてるんですね。」
「…うん………。普通は、1日に1時間くらいしか起きられない。それで、君に伝えたいことがあって、お風呂に連れて来て貰った。」
「えっ……何ですか?」
「君、今回迷宮に入るだろ。」
「は、はい。」
私が迷宮に入るのは、ルミナスから聞いていた。ルミナスのアシストとして、中に入ると。
「死ぬぞ。」
「……え?」
し…死ぬ…?
「どういう…事…ですか?」
じっと私の目を見つめる。透き通ったガラスのような目だ。綺麗なのに、何処か深くを見通されているような感じがある。
「君は……。」
しばらく見つめ続けた。
「クソッ…遮られるな……」
ボソッと、シュネーさんが何か呟く。
「え?どうしましたか?」
「いや……とりあえず、死か、死に近しいことが君の身に降りかかるだろう。行かない方がいい。」
「………」
死。迷宮に行くと、私が死ぬ、と?でも、ルミナスもいるし、SSだというギルマスも一緒に行くらしい。確かに私は大して強くは無いけど、そんな簡単に死ぬだろうか。
「なんで…分かるんですか?」
「未来くらいは、見える。」
「じゃあ、どうやって死ぬとか、誰に殺されるとか…」
「それは、見えない………」
せっかくのお風呂が、暗い感じになった。私とシュネーさんが話している間、魔人ちゃんがティアちゃんの相手をしていてくれたが、そろそろ限界そうだ。
「まぁ………私に出来るのは、君に迷宮に行くなと忠告する事だけだ…………。それじゃあ、好きなだけ浸かったら、私をお風呂から上げて、着替えさせてくれ。」
「あっ…はい。」
そうして、不穏な忠告を受けつつ、お風呂からあがった。
お風呂から上がると、シュネーさんはまた寝てしまった。
お金を返して、服を着せると、目をこすりながら話しかけてきた。
「そうだ……君に、魔法をかけておこう……。」
そう言うと、私に向かって手をかざす。
『耐死』
耐死…!めちゃくちゃ強いんじゃないだろうか。
「………ムニャムニャ………効果は……君の魔力量による…」
そう言うと、コテン、と寝てしまった。私の魔力量による、かぁ……
とにかく、部屋に戻るとしよう。
シュネーさんを担ぎ、魔人ちゃんとティアちゃんを連れる。部屋に送り届けるのは無理そうなので、私の部屋に連れて行く事にした。畳と、棚に布団の予備があった気がするし。
私とルミナスの部屋に戻る。ルミナスはまだ帰っていないみたいだ。畳に布団を引いて、シュネーさんを寝かせる。一応、私のパジャマも着せておいた。魔人ちゃんにはビンに戻ってもらい、ティアちゃんを寝かせた。
そういえば、ジンさんから貰った書類を書いておかないと。
書類は、「民間ギルド試験応募書」。民間なんだ…
名前はクロト。住所は無し、かな。連絡先は無いな。希望するランク、これはそうだな……今Aだとルミナスに言われているし、A+になりたい。
次に、希望する試験体系。一つ目、基本的な実技&筆記試験。A−より上は筆記が求められるようで、実技50点、筆記50点満点らしい。二つ目は、1ヶ月間の戦闘演習。これは無理、というか嫌だ。次。三つ目は、S以上のランクからの推薦&筆記試験。
三つ目がいいな。ルミナスの推薦は貰ってるし、筆記試験を取るだけだ。ちょっと勉強は苦手だが、まぁ何とかなるだろう。三つ目にチェックをつけた。
その下、希望する試験日及び試験官、これはわからない……というか、試験官を希望出来るのか。
そんな感じで用紙を書いて、私も寝たのだった。




