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クロト  作者: 白玉
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43/72

出航

そして。北京へ出発当日。



ワシントンD.C.郊外に設置された巨大飛空艇に乗り込む。


周囲には見送りに数十万の人が集まっていた。私はともかく、今回出る10万人の中には、家族を残して行く者も多いだろう。今回はあくまで募集形式だったが、死ぬ可能性が高いのは皆分かっている筈だ。


それでも、自分の身内や友達を殺した魔物たちと戦いたい。苦しい生活を終わらせたい。皆そういう思いを持っている。


船の内装は、豪華客船のような感じだ。当然プールや劇場があるわけでは無いが、一般兵にもある程度の大きさの個室が着いていて、食事を楽しむ事も出来る。小さなシアターもあるし、想像以上に充実していた。


指定された部屋に入り、荷物を整理する。私は個人部屋を除く施設の全てを出入り可能にしてもらっているので、とりあえず船長室へ向かった。




入ると、アルマ君が寛いでいた。


「あらギルドマスター、ご機嫌よう。」

「今回の移動は全部アルマ君が担うんだろう?大丈夫なのか?」

「大丈夫よ〜。視認妨害結界と防御結界も張るし、途中魔物に見つけられる事も減ると思うわ。もちろん、完璧に防ぐことは出来ないから、警戒するに越した事は無いけどね。」

「ありがとう、十分だ。」


そうしてしばらくアルマ君と雑談していると、扉を開けて誰か入ってきた。


「お楽しみ中悪いけど、入らせてもらうで。船操縦するんは俺やからな。」

「お楽しみ中って……。というか、シャル君は船の操縦が出来るのか!?」

「モチのロンや。ちなみに、飛行機も出来るで。」

「凄いな…」

「リノちゃんにアシストはしてもらうけどな。ずっと見張っとくわけにもいかへんし。」

「ああ、頼りにしている。」




1時間ほどかけて全員が3つの船に分けて乗り込んだ。空間系の魔道具に大量の食料、武器を詰め込み、遂に、飛空艇が出発する。


ボオォォォォォォ……


と船が汽笛を鳴らす。


上空に飛んでいるアルマ君が、


「それじゃあ、行くわよ」


と言って、船3つを囲い込む超大型魔法陣を展開した。想像を絶する量の魔力を消費している筈だが、まるで誤差と言わんばかりだ。


超重量の船が嘘のようにふわりと浮き、そのまま上空へ上がる。下で見送っている人々から、歓声と見送りの声が上がった。



出発だ。





離陸から1時間ほど経った。

今は、上空10000メートルを時速125キロで飛んでいる。アルマ君が言うにはこの数倍の速さを出せるらしいが、


「そんな事したら船がぺちゃんこになりますよ!?」


とリノ君が叫んでいたので、この速度のまま進む。

さてさて、3日の旅だが、何も無い事を祈るしか無いな…

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