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クロト  作者: 白玉
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42/72

出発前夜

出発前夜。



あの会議の後、仕事を終えて会議室に行ってみれば、もうめちゃくちゃ。


アルマ君とオルカ君は大喧嘩して建物がぼろぼろだし、焉麒とカミュ君は呑み比べをしてベロンベロン。ヴィザール君はそもそも居なくて、まぁ元から期待はしていなかったが、案の定話は進んでいなかった。


結局作戦は決まらず、船上で決める事に。手紙でルミナス君も来れるのが分かり、少し安心した。


今日は、前回集まった、軍を率いる「幹部」の役割をするメンバー以外の、参加する全員が参加する食事会がある。


当然10万人全てを一つの会場に入れる事は出来ないので、10個ほどの会場に分け、内1つはS−以上の者のみでの食事会、飲み会だ。


なんとも高級そうな和食屋、「匠」という、世界最高峰の店……正直慣れない。


また予約時間に遅れ、アルマ君と大喧嘩になっては洒落にならないので、オルカ君を迎えに行ってから店に着く。30分前くらいに着いたが、貸し切りになっていたようで、スッと入る事が出来た。




座敷に座っていたのは、ヴィザール君のみ。かと思ったが、床で寝ている者がいる。自由だ…


「おうおう、無口のヴィザールじゃねーか。」


「…」


「む…無視…」


オルカ君がヴィザール君に突っかかっていたが、さらっと流されていた。


店員さんに案内されて、1番上方の席に座らせてもらう。すると、ヴィザール君が話しかけてきた。


「お前は、自分が10万の命を率いる事が出来る人間だと思っているのか?」

「そうだな…」

「聞き方を変えよう。この作戦に10万も連れていくべきだと思うか?」

「……それは、日本から北京までの状況による。魔人が太平洋に出ようとしている事を踏まえて、日本や中国沿岸部には魔物が多いから、精鋭数名では、体力が持たないだろあという算段だ。」

「本当か?飛空艇を開発出来るほどの技術力と、街や山を消し飛ばすような化け物が居て、突破出来ないのか?」

「……」


ヴィザール君の考えはもっともだ。だが、現在人間が使える魔法の中で、魔力量や気力を増やすすべはない。魔道具はほとんど国が保管している。多くの犠牲を出すかもしれないが、北京迷宮を攻略するにはこうするしか…


「おうおう、集まっとるのぉ!」

「みたいやね」

「おいしそうなにおいがするの〜」

「こらティアちゃん、走らない」

「間に合ったか。」

「みたいですね。良かった〜」


ジン君以外で来ていなかった幹部の皆が来た。先に会計を済ませていたジン君も来て、全員が席に着く。


「ん?なんだこのチビ。」

「ちびじゃないもん!」

「まぁ紹介は後で。とりあえず、食べようか!それじゃあ…」


『パン!』


と手を合わせて、料理を口に運び始めた。


「それで、このガキは誰だよ?あと、ずっと寝てるこいつ」

「口が悪いぞ。その娘は、ティアちゃんだ。魔素で変質した血でも、かなり特殊な一族で…。幼いように見えるが、というかまだ7歳だが、S−だぞ。」

「そうだよ!ティアもう7さい!」

「ふ〜ん。こっちは?」

「シュネー君だ。彼女はもS−。事情があって、基本寝ているから…彼女には、焉麒の副官をしてもらう。」

「副官?聞いてないぞ。」


「えっと、私から説明しますね。今回、ギルマス、アルマさん、オルカさん以外の4人。つまり、ヴィザールさん、カミュさん、ジンさんの4人に副官をつける事になっています。」

「自己紹介をどうぞ。」


ティアちゃんが、バッ!と立ち上がる。


「ティアです!がんばります!」


可愛い。というか、健気で純粋な感じが伝わる。


「ありがとうね。じゃあ次は…」


「俺やで〜。こんな可愛い自己紹介の後に話すのキツいなぁ。自己紹介やっけ。シャルや。よろしく頼むわ。」

「ありがとう。次はシュネー君だけど…」

「グゥ………グゥ………」

「………」

「……無理そうだな。」


「あとは、私ですね。リノです。今回の作戦の飛空艇開発も担当させて貰いました。それで、今紹介した4人が副官を担当するんですが…」


「ヴィザール君にはシャル君、カミュ君にはティアちゃん、ジン君にはリノ君、焉麒にはシュネー君だ。」

「なんじゃい。わしがこの寝てるガキの世話をせねばならんのか。」

「シュネー君は戦闘能力が無い。焉麒は頭使え無いだろ。手伝って貰え。」

「ガハハハハ!そう言われては敵わんな!」


「副官に兵を預けてもいいし、秘密兵器として置いておいてもいいし、切り口として突撃させてもいい。副官の使い方は隊長次第だ。」

「ひぇ〜こわいなぁ。ヴィザール君に突撃させられてまう〜」

「なんで俺らには副官が着いてないんだ?」

「S+以上の隊長に副官は要らないだろうな、と」

「あらオルカ、ビビってるの?」

「うるせぇ。」

「何か疑問があれば、食後に私かリノさんの所に来てください。」


「…それじゃあ、冷める前に食べようか!」


そうして、幾つか決定事項を話しつつ、前夜祭は静かに終わったのだった…

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