Ep.33 北京へ
「ルミナス、イルクーツクの少年の魔人、何だったのかな…。」
「さあな…。空中に浮いていたのは、糸だった。あの時動くな、と言ったが、アイツに狙われる可能性があったのに加えて、大量の不可視の糸が張り巡らされていたんだよ。」
「え…?嘘。全然気づかなかったけど」
「だろうな。魔力が込められていなかった。という事は、あれは全て本物の糸。だが、どうやって不可視に出来るんだ…」
「ルミナスはなんで気づいたの?」
「私は糸に引っかかったからな。一瞬で腕と首が巻き取られたけど、間一髪で抜けられた。」
「なっ…!危なかったじゃん!」
「ああ。あの魔人の気まぐれみたいなものだろう。」
さらに数日、電車に揺られる。
迷宮に向けて、ルミナスとの特訓、短期で習得できる魔法の獲得、魔人の撃退を繰り返す。
シベリアの中心から離れるにつれ、少しずつ魔人の数も強さも低くなっていき、北京に近づいているのが分かった。
SSの魔物が居る、と聞いた北京大迷宮は、数十階層に及ぶらしく、荷物の調整や食糧の用意も怠らないように。
そうして、北京に近いシベリア鉄道の駅、チタに辿り着いた。
「ここからは、北京まで徒歩だ。飛ばしで、1日で行く。飛行機で行くような距離だし、クロトの足では間に合わないから、私が背負っていくからな。魔人はビンに入れ。」
「あっ…はい。」
「分かった。」
ルミナスに担がれ、山の中を走る。魔法の鞄と、新しく覚えた空間魔法に入りきらない分の肉は、悲しいことにチタに置いてきた。私の愛しいお肉ちゃん…
しかしまぁ、ルミナスに
「これも持って走って!」
なんて言えるはずも無いので、諦めるしかないのだ。
以前ベルリンに行った時ほどではないが、かなりのスピードを出している。1日もかからないだろう。
ロシアからも出て、魔物の数も減り、レベルも下がっている。やはり、ロシア一帯の魔物が異常だったのか。
頭が良い魔物ほど推定のランクも上がり、言語を介し見た目が人に近くなれば、魔人と呼ばれるようになる。それ以外は魔獣だ。チタから一体も魔人と出会っていない。
そんなこんなで、夕方。
遂に、北京が見えてきた。
北京到着〜。長かった。
次はギルマス達の方ですね。




