Ep.31 キング・ボア
ドドド…と近づいてくる。味方か、敵か。いや、味方なわけ無いけど、強い敵が来て、もし列車が壊れでもしたら大変だ。
「な…何かな…?」
「分からん。そこそこの気配だ。気をつけろよ。」
「うん。」
振動と、魔力量の多さがビリビリと伝わってくる。この列車も、ルミナスが魔力をガンガン流して時速200キロは出ていると思うのだけど…
全貌が見えてきた。魔獣だ。めちゃくちゃデカい猪。体高50メートルはあるだろう…いやいや!
「デカすぎデカすぎ!!」
「マジかこの猪…こんなのに突撃されたら、この列車なんてひとたまりも無いぞ。」
「ルミナス!止めて!」
「うわ…出ましたか、キング・ボア」
「知ってるのかチビ!」
「えっと…あの魔獣は、キング・ボアと言って、タイラーン様という幹部の元ペットです。凶悪すぎて家から追い出されたと噂を聞いていましたが…」
「そんなことはどうでも良い!止める方法を知らないのか!?」
「知ってるわけないでしょ〜…」
「使えないな!餌にでもするか。」
「ヒィィィィィ!許してぇぇぇ!!」
「冗談言ってる場合じゃないでしょ!どうするのあれ!」
「どうするもこうするも、止めるしか無いだろう。」
そういうと、ルミナスはドン!と音を立てて飛んでいった。「飛ぶ」というより、「跳ぶ」と言った方が正しいか。
イノシシ以上の速さで突撃し、渾身の蹴りを入れた……
「痛ったぁぁぁぁぁぁ!!なんて硬さしてるんだこのイノシシ!」
「だ…大丈夫!?」
「物理的に止めたり軌道を逸らすのは無理だ、魔法を使う。クロト、打て!」
「おっけーー!」
あれはヤバい。ルミナスの渾身の蹴りなら、ダイヤモンドくらい砕けそうだし、大型飛行機くらい止められそうなのに、それでビクともしないなんて…
あの調子だと、生半可な物理魔法では効かなさそうなので、とりあえず、私が打てる1番強い魔法を使う。
「フェアニヒト(殲滅)!!」
辺りが一瞬暗くなり、イノシシが若干よろめいて…
止まらなかった。それに、イノシシの近くに居たルミナスが落下している。
「あっ!ルミナス!?」
落ちる寸前で意識を取り戻したみたいだ。良かった…
「おい馬鹿!範囲攻撃魔法使ってどうするんだ!!!私まで心臓が止まりかけたぞ!」
「えっうそ!?ごめん!!」
「ごめんで済むかぁぁぁ!」
しまった…後で謝ろう。それよりもとにかく、イノシシを止めないと。
心臓が止まるで思い出したが、ルミナスに強力な魔法を習ったのを思い出す。名前が確か……
「カーディンファクト!!(心停止)」
デカイノシシの体がビクン!と震え、倒れた。って、また起きあがろうとしてる…しぶとすぎでしょ。
「ごめんルミナス!倒し切れなかった。魔力も無くなったし…逃げよう!」
「いや、これで十分だ。」
ルミナスは飛び上がり、イノシシの首筋目掛けて剣を振りかざした。
ストン!と首が一刀両断され、今度こそイノシシは死んだ。
「わ…キング・ボアを倒してしまうとは…。今度タイラーン様に会った時、何と説明すれば良いんじゃ!」
ズルズルと、ルミナスがキング・ボアの死体を引きずって歩いてくる。
「クロト!パーティだ!!」
嘘でしょ…まさか食べる気!?




