Ep.29 探索と成果
「ふ…ふうぅぅ……」
「やっとモスクワで隠れなくて良くなるな。」
「ホントに、やっとだよ…。どれだけしんどかったと思ってるの。」
と言うのも、モスクワで隠れながらの探索、文字通り死ぬほど大変だったのだ。
ボロボロで今にも崩れそうな下水道や、金属が腐食して倒壊しそうな建物を、コソコソ隠れながら過ごす。汚いネズミや変な虫がたくさん居たり、まともな飲み水が無かったりと、あまりに劣悪な環境だった。
お風呂に入りたいが、残念ながらそんな良い物は無く、仕方ないので体を清潔にする魔法をルミナスにかけてもらった。しかし、気持ちまで綺麗になる事は無い。なんとく不快感を感じ続けていたので、先程水浴びをした。
「でも、魔人も片付いた事だし、大手を振って探索出来るようになるね。」
「見つけたいのは、魔道具と、シベリア鉄道に関する何か。特に、移動手段が欲しい所だな。何千キロも歩くのは流石に骨が折れる。」
「文字通り骨が折れそうだけど。車は無理だろうし、汽車とかがあれば良いけど…。そもそも線路はあるのかな?」
「さあな、探してみるしかない。私もロシアに来たことは無い。簡単な地図はあるが300年前の物だしな。」
「は〜い…」
という事で散策開始。
ルミナスの予測では、
「モスクワは建物が多く残っているな。恐らくここ以降ロシアの都市は皆保存状態が良いだろう。」
「なんで?人間の物は壊すんじゃ無いの?」
「人間の技術を取り入れるためだろうな。崩壊を遅らせる魔法か何かを使って、人工物を保存しておく。ロシア以外の物は全て壊す事で、あたかも魔人は人間の物は目に留めていないと思わせて、実は研究をしている。とか、そんな感じだろう。」
「やばいじゃん…」
「ギルドに報告しないとな…」
と言うことで、建物や街並みはある程度残っている。昔と変わっていないものを目印に、使えそうなものを探し始めた。
5日ほど掛けて町を探索し尽くした。使えそうな魔道具が幾つかと、線路を見つけた。
そして、何とも嬉しいことに、線路を走れるものがあったのだ。魔人は鉄道の研究もしていたようで、見た事が無い見た目の乗り物。ルミナスとガチャガチャやっていると、魔素を流し込む事で動く事がわかった。
「よしよし、何とか動きそうだ。」
「ホント!?やったぁ〜!!」
「流す魔素の量を増やすほど早く走るみたいだ。それにしても、魔素を動力に帰るエンジンなど…大発見だぞ。」
「特許とかあるの?」
「あるぞ。仕組みを解明してギルドに売れば、かなり金を巻き上げられそうだ。」
「魔素の量は?大丈夫なの?」
「うーん…実際どれくらい燃費が良いかは、走ってみないと分からんが。軽く動かしてみた感じだと、数時間ごとに交代で動かせば、魔素を切らさずに走り続けられそうだ。」
「これで楽な移動手段ゲット…!」
「待て待て、線路がどこまで続いているかは分からんぞ。この列車、ある程度は操縦が効くみたいだが、荒地では走れないだろうからな。」
とルミナスに制されつつも、なかなか気分が良い。何と言っても、数千キロを歩かなくても良くなったのだから。
るんるんとスキップしていたら、石に躓いて地面に顔からダイブした。
浮かれすぎも良く無いな。うん。
兎に角。荷物を整え、町はずれに置いておいた魔人ちゃんを回収する。ゴミだらけの列車内を整理して、運転出来るように練習。線路がガタガタのため、まともに乗れなかったので、魔法で僅かに浮かせた。
そして。準備を終わらせていざ、北京へ出発だ。
ヤッター!
長々と徒歩旅を書かずに済みそうです。




