アルマとの面会
ルミナス達がモスクワを探索している時、ワシントンD.C.では。
先程、ルミナス君から1月置きの手紙が届いた。内容は、いつも通りの状況報告、発見した「クロト」という少女について、北京迷宮についての情報交換などだ。ただ、昔と違うのは、自分についての内容を書く様になったこと。
こんな事があった、これが好きになった、など、任務以外の出来事も書いてくれる。
私は彼女の一面が見れて嬉しい。
ヨーロッパに遠征に行くまで、彼女は堅い殻の中に閉じこもった様だった。悪い意味で周りの目を気にしない。
奪われた憎しみや恨みを、魔族を狩る力に向けるのではなく、嘆きと絶望で喰い潰すような。
だが、クロトという少女と出会ったという報告があって半年以上経ち、手紙からでも彼女の中の何かを克服したことが分かる。
本当に、成長したn…
「ギルドマスター!手紙ばっかり読んでないで、仕事してください!溜まってるんですよ。」
「ちょっと、今凄く良い感動的な所だったのに、止めないでよ」
「訳わかんないこと言ってないで、手動かして」
「はいよ…」
まぁとにかく、成長が感じられて嬉しい。
北京迷宮に詳しい彼女に、以前の会議の事を伝えると、呆れた様な返事が返ってきた。
「迷宮攻略に全員で乗り込もうとするバカなんて、何処に居るんでしょうね。アルマさんの意見も悪くは無いですが、弱い者が死んでいくのは見逃せません。3、4人のS−以上が先行隊として進み、後から20人以上のパーティで分けて入っていくのが得策ではないですかね?無論、何かしらの危険があれば即撤退ですが。」
だと。
彼女は本当にオルカ君が嫌いだな…。
あの猪突猛進さも、私の若い頃を見ている様で微笑ましくはあるのだが。
「ギルドマスター、アルマ様がお呼びです。」
「分かった。すぐ行こう。」
「ごめんねぇギルマスちゃん。忙しいのに呼び出しちゃって。」
と言いながら、魔法でこぽこぽと紅茶を淹れてくれる。
「いやいや、大丈夫さ。ちょうど休もうと思っていた所なんでね。それで、要件は?」
「要件、と言うほどでもないのだけれど、実は私も個人的にルミナスちゃんと文通をしていてね。ルミナスちゃんの弟子みたいな子、クロトちゃんに魔法を教えたいのよね〜。」
「君自身がか!?今までほとんど弟子も取った事が無いのに…」
「そうよね…。私が教えたのって、貴方とルミナスちゃん、リノちゃんくらいかな?」
「ジンくんもだな。」
「その4人くらいよね。でも、クロトちゃんはその4人に並ぶくらい、魔法の才がある…気がするのよ。」
「気がするって、手紙で聞いただけだろう?」
「魔女のカン、ってやつよ」
「分かった…。ルミナス君に聞いておこう。要件はそれだけか?」
「こんだけよ。邪魔したわね!ばいば〜い」
そう言うと、アルマ君はフッ…と消えた。また新しい魔法だろうか。
彼女の才能にはつくづく驚かされる。先日も、実験と称して山を消し飛ばし、処理が大変だった。
こちらの仕事を増やす才能も随一の様だ。
全く、自分の弟子を他にやれなどといえば、ルミナス君はどれほど怒るだろうか…
また忙しくなりそうだ。
私の主な仕事は、国へのギルドの活動報告だ。この地域でこう言う事があった。これを見つけた。どの魔物をどのくらい倒したか、など。
それに加えて、ギルド内で起きた事、例えば、クロト君がギルドメンバーになった、アルマ君が山を消し飛ばした、ギルド内で喧嘩が起き、仲裁に入った職員が怪我をした…
個人のメンバーの意見への対応や、ギルドの改善もある。仕事が多過ぎるのだ。
今は私、リノ君、ジン君の3人で重要な事務を回している、というか、回させられている。
以前はルミナス君も事務を担当してくれていたのだが、彼女が抜けるとこうも立ち行かなくなるのか…
最近はグリーンランドへの魔物の動きが活発になっているせいで、事務の担当が出来る者まで遠征に出てしまっている。人手が足りない…
おかげでここ数日睡眠が取れていない。頭の中を大量の書類が駆け回っている…。正直魔人討伐よりしんどい。
そんな中、ジン君がある提案をしてきた。
「ギルドマスター。職員だけでなく、一般向けにギルドの事務員の募集をしてみてはどうでしょうか。重要な物だけ我々が処理して比較的機密性の低いものは事務員に回せば、負担が減ると思うのですが。」
「昔、公募にかけた人間が魔人のなりすましだった事があってね〜。信用できる者を選別するのが難しいんだよね。ジン君の意見も悪くは無いんだけどさ。」
「アルマさんにも手伝いを依頼してみるというのは?報酬も用意すれば、手伝って貰えると思いますが。」
「アルマ君に頼もうものなら、ギルド予算の数割が飛ぶよ。というか、怖くて頼めないし…」
「アルマさんにガンガン話しかけられるのって、ルミナスさんとオルカさんくらいじゃ無いですかね。ただ、オルカさんが話しかけてもアルマさんキレるだけだろうし」
「はあああぁ〜…。ルミナス君帰ってきてくれ…!!」




