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クロト  作者: 白玉
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Ep.26 準備と出発

ロシア、の中でも、シベリア。


それは、魔王が居座り、強力な魔人が数多くいる魔境だ。

そんなシベリアに入るに当たって、ルミナスからいくつかの注意を受けた。


これまでとは違い、なるべく戦闘は避ける事。魔力を抑え、隠れながら進む事。安全を最優先に進む旨を伝えられ、国境付近で装備を整える。

最初にルミナスに貰った服に加え、ドラゴンの歯を削ったナイフや、無駄に硬い亀の魔物から作った簡易的な鎧のような物を装備する。


ルミナスが魔道具バッグに入れて持ってきたアイテム、魔力回復薬や体力回復薬を持ち、準備満タンだ!


ポコッ


とルミナスに頭を叩かれた。


「何『準備満タンだ!』みたいな顔してるんだ。シベリアに入る前に、簡単に死なない様に特訓する。」

「ええ〜!!早く行こうよぉ…」

「ダメだ。今のお前の実力では、足手纏いにこそならなくても、戦力としては期待できない。もし戦闘になった時、逃げ切れない可能性もあるしな。」

「しょ…しょんにゃあ……」


最近、私は成長の伸びを感じなくなっていた。

剣術がA−、魔法がA程度になってから、伸びないのだ。特に魔法に関しては、持てる魔力をちびちび増やすことしかできないので、これ以上成長出来なさそうなのだ。


剣は手が痛くなるので普通に嫌だし。


「特に剣術だ!あのチビ魔人に攻撃も出来ない様では、シベリアで生き抜くのは厳しいだろう。」


などと言われ、1週間ほど剣術を習い続けた。

泡を吹いて倒れるほど練習した…


「うーん…。まぁ、Aにするとしよう。及第点だ。」

「いよっしゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」


と言う事で、シベリア突入前に剣、魔法共にAまで上げることが出来たのだった。






改めて、準備満タン。シベリアに突入した。


とは言っても、いきなり雰囲気が変わるわけでもなく、ベラルーシと変わった様子は無い。

ただ、奥に進むほど目に見えて魔物が減っている、と言うのは分かった。


そして、出てくる魔物の質が高い。


B+やA−級の強い魔物がポンポン出てくる。ただこれまでとは違い、私ではなくルミナスが倒していた。

接敵した瞬間、瞬きすら与えぬ間で首を切り落とし、それでも生きていたら魔法で跡形もなく消す。


仲間を呼ばれるのを防ぐため、らしい。慎重過ぎると思ったが、確かに魔王達の監視射程内だと思えば、このくらいの対策は当たり前なのかもしれない。


魔人ちゃんが言うに、


「モスクワには、幹部様が1人、将軍が2人、常駐しています。戦うなら、気をつけてください…」


とのこと。


「どうする?戦うの?」

「出来れば避けたいが…。シベリア鉄道の出発点として、モスクワは探索したい。隠れながら探索できれば上々だが、無理そうなら戦おう。チビ魔人、幹部の強さは?」

「えっと…人間の基準だと、S級の幹部様が交代で受け持ちだった筈です。」

「ふむ。私とクロトが2人で戦えば行けそうか?油断は出来ないが…」


これは、一悶着ありそうな予感がする。





数週間かけてモスクワ近郊に辿り着いた。

これからの作戦を練ることにする。


「モスクワでの目的は、シベリア鉄道の始発点として、線路や車両が残っているか、もし残っていれば使えるかの確認。余裕があれば、シベリアでの移動に使えそうなものを探す。他の地域と違って、ある程度建物が残っているから、まだ300年前の物が残っているかもしれない。」

「おっけー。私たちは別行動?」

「いや、一緒に行動しよう。まだ相手の索敵範囲には入っていなさそうだが、もう少し近づけば見つかるかもしれない。魔力を隠して町に入る。」

「分かった。一応、準備を整えていこうか。」


「それと、そのチビ魔人は一旦ここに置いていけ。裏切られては敵わん。」


と言う事で、準備開始だ。荷物の整え直し、機動力優先の装備、町の地図を持ってきて、探索経路の確認や、逃げ道の確認など。


ルミナスが魔人の小瓶に追加で封印を重ねがけして、絶対に動かない様にする。


「それじゃあ、行こうか。」


数日間に渡る、モスクワ市内のサバイバルの開始だ。

少し区切り

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