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クロト  作者: 白玉
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Ep.24 ワルシャワ

よく考えてみれば。別に北京に着いたらゴール、では無いのだ。

ルミナスに聞けば、なんと北京からワシントンD.C.まで15000キロ。気絶してしまった。


26000キロ、完全な直線距離は無理だろうから、28000キロ近くになるだろう。地球の4分の3近くも徒歩で移動するなど、現代人…いや、古代人の感覚としては考えられない。


「ホント、この世界の人は脳筋ばっかりなのかな?」

「私だって、28000キロを移動したくは無いとも。北京からワシントンD.C.に、何かしらの移動手段があればいいんだが…」


などと作戦会議をしつつ、歩く。

こうやって文句を言いつつも、私が落ちたところからベルリンまで、2300キロも歩かされていることを知って驚いた。

ただ、これの10倍以上…


現在はドイツとポーランドの国境辺り。ドイツの中心部から外れて、森や山が多くなってきた。

そういえば、ただ28000キロ歩くだけじゃなくて、登山もしなきゃ行けないのか…

そんな私の思いを汲んだのか、


「おいチビの魔人。シベリアを隠れて移動できるものは無いのか?」

「うーん……無いと思うんですけど、新しく作られてたら分からないです。」

「知らないのか」

「知らない、というか、知らされないです…私は下っ端なので。」

魔人ちゃん、下っ端なのか…。結構強い方だと思ったのに。

「そういえば、魔王って言ってるけど、どのくらい強いの?ルミナスより強い?」

「…」

「A級の魔人では、魔王の実力は測りかねるだろう。私が説明してやろう。」

「え!?ルミナスは魔王に会った事あるの!?」

「無い。が、魔王配下の幹部と戦ったことはあるから、推測は出来る。」

「そ…そうなんだ…」


「私が10人いても100人いても勝てないだろうな。上位の幹部以上は格、次元が違う。魔法一つで町を消し飛ばすSランクの魔人がゴミに見えるほど、あれは何か別の生命体なんだと思ったよ。」

「Sランクがゴミって、インフレし過ぎでしょ」


「…いんふれ?」

「魔王強すぎってこと。」

「そうだ。クロトが魔王に出会したら、祈るしか無いな。」

「はぁ…やってらんないなぁもう」


こんな世界に落ちたことを、いるのかいないのかわからない神を恨みつつ、ポーランドに入国したのだった。




ワルシャワ。地理の勉強で名前は知っているが、何があるのかは分からない。


「ルミナス。ワルシャワって何があるの?」

「知らんな…。私はポーランドに行ったことはなかったからな。今は瓦礫しか無いと思うが。」

「魔人ちゃん、何か知ってる?」

「知らないですね…。強い魔人がいる、みたいな話も聞いたことが無いです。」

「つまらん町だな。着いたら少し長めの休憩を取って、すぐ出るか。」


「んー。なんで魔人は町を破壊しちゃうのかな…。便利なものは残しておけばいいのに。」

「何故でしょうか。私が生まれた時にはもう建物は壊れていたので、分かりません…。」

「まぁおそらく、魔王の作戦だろうな。人類が対抗する術を無くす、対抗する気を無くす、技術を後退させる…。色々効果はあるだろう。」

「なるほど…」


でもだからって、壊さなくてもいいよね…。本音は私が観光したいだけなんだけど。


ベルリンを出て3週間、魔物の妨害を受けつつ、ワルシャワに到着したのだった。

魔物も居るにはいるが、少しずつ数が減っていて、質が高い。


ドイツではC並の敵が多かったが、ここではB超えが平然と出てくる。

おかげで気が抜けない。


「テントよ結界は、S−以上の攻撃を複数回受ける事は出来ない。A程度でも時間を掛ければ破壊出来るぞ。」

とルミナスに脅され、あまり眠れなかった…


のだが、なんと魔人ちゃんが、魔物が来たら教えてくれる、というのだ。

ルミナスは信用していない様だったが、まぁS−級が来れば私でも気配で分かる。

なんとも有難い事だった。


魔物の質が上がっている分、肉が美味しくなっていて、食事のレベルが大幅に上がったのも、疲れずに済んだポイントの一つだ。


そして何と言っても、ルミナスの料理が美味い。

顔も良いし、家事も出来るし…これは言い奥さんになるな…と言うと、頭をポコっと叩かれた。


そんな感じで、ワルシャワでの滞在は、あっさり終わったのだった。

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