Ep.21 戦闘のコツ
〜ルミナス視点〜
正直私から見ても、クロトはよくやっている方だと思う。うだうだ言いながらも、剣術や魔法の練習を疎かにしているのは見たことが無いし、実際練習を始めたころに比べて遥かに強くなっている。
だが、どうしても彼女には足りない物がある。
戦闘経験だ。特に、自分より格上の相手に勝つ方法を、クロトは知らない。
余裕のある勝利か、圧倒的な敗北しか経験していないからこその油断。
こうやって、自分より1つか2つ上のランクとの戦いは、良い刺激になるだろう。
クロトの剣術はB程度。魔法はA -にもなる。
この世界に落ちて半年も経っていないのにそこまで成長しているのは、その勤勉さか、適応力か。
クロト自身もAの相手への危機感を感じているだろうが、自分で打開策を見つける事が出来るか…
少し、昔の自分を思い出したのだった。
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ルミナスの様に強力な剣技を持っていない以上、決め手になるのは魔法だろう。
相手には防御魔法しか見せておらず、剣術のみで戦っているから、不意打ちの魔法は効くはずだ。
あとは、魔法を発動する余裕ができればいいのだけど…
サッと後ろに下がって、煙幕の魔法を発動する。
一旦視界を閉ざした上で、数種類の防御魔法を重ねがけして準備完了だ。
「こんな事なら、ちゃんと魔法の本読んどくんだった…」
ルミナスから渡された魔法の教科書の中に、「詠唱短縮」と「詠唱破棄」があった。
詠唱破棄は一度に消費する魔力が多すぎるので、私には使えないが、詠唱短縮は便利だし消費魔力も少ないのだ。
魔法というのは、決められた図形と意味を含む文字列で完成する。
空中に図形を描き、文字を書き込む、もしくは詠唱することで発動する。
空中に図形を描くのは、図形の暗記をしなければならない。詠唱文も同様だ。
この時、詠唱破棄を使えば図形を思い浮かべるだけで魔法が使えるし、詠唱短縮は詠唱時間を何倍にも短くできる。
強い魔法使いには必須の能力だ。欠点は、覚えるのが面倒なだけ。
とりあえず、詠唱する魔法は範囲攻撃の氷結魔法。一撃で倒すのは無理そうなので、足止め用の大技だ。消費する魔力が勿体無いが、仕方ない。
「スターク・フリーゼン!」
10秒くらいの詠唱と共に、前方半径20mを凍り付かせる魔法。
ルミナスに良く言われたのだ。
「観察しろ。止まるな。止まった時が、お前が死ぬ時だ。」
なんてスパルタなんだろうと思っていたが、今なら理解出来る。
簡単に言えば、状況判断は怠るな、ということだろう。戦闘時は、常に状況が動き続ける。全ての事象に素早く反応して、対応していくことが生き延びる術だ、と。
「ぐっ…なんじゃ!?足が凍って動かん…!」
一気に後ろに回り込み、思いっきり剣を振りかざした。




