Ep.19 ベルリン
私は休憩を取れているが、ルミナスはずっと戦いっぱなしだ。
「空も魔物、地中も魔物。どうにかしてこの場から脱出したいんだが…」
と言いながら、上空から飛来してきたドラゴンを木っ端微塵に切るルミナス。
私も手伝いたいが、C以下の魔物ならいざ知らず、B+になれば一対一でなんとか勝てる程度。ドラゴンなどには到底勝てない。
ルミナス様〜と(心の中で)拝み続ける日々なのだ。
一時凌ぎの結界を張り、休息を取る。
「クロト、怪我は無いか?」
「私は大丈夫だけど…ルミナスは大丈夫?」
「問題無い。雑魚ばかりだったしな」
「ドラゴンは雑魚じゃ無いと思うけど…」
「それより、ここからどう脱出するか、だ。後退して迂回したいが、囲まれてしまっている。魔法で町ごと消し飛ばしても良いが、地形への被害が大きすぎるからな。」
「うーん…」
ズズズ、とスープを啜る。魔物のイノシシの出汁が効いていて美味しい。クルグ・ボアと言うらしい。結界をドンドンと叩く音が聞こえるので、味わうことは出来ないが。
「こうしていても拉致があかんな。よし、強行突破だ。」
「強行突破?ってうわっ!!」
ルミナスがいきなり私を担いで、結界を解いた。
「ちょっと何してるの!?」
「口を閉じていろ。舌を噛むぞ。」
フッ…と、視界が飛んだ。
周りの景色が物凄い勢いで変わっていく。
数秒もたたない内に、大量の瓦礫の山…ベルリンに着いてしまった。
「おっ…うえぇぇぇぇ…」
三半規管がやられて、食べたばかりのスープを吐いてしまう。ルミナスも、珍しく肩で息をしていた。
「なっ…何が…?」
「ダッシュで魔物の群れを通り抜けたんだ…。何体かぶつかって消し飛ばしてしまったが、安全に抜けられたな。」
「何処がなの……ハァ…」
体力を大きく消費したが、なんとか脱出することに成功したのだった。
「むっ……」
「どうしたの?」
「町の方から殺気を感じた。何か居るな」
「えぇ〜…。今死にそうなんだけど、戦うの?」
「いや。相手の場所が分からん。しかし、なかなかの気配だ…」
「うえぇ〜」
そういえば、町についてから数分、全く魔物を見ない。ポツダムと比べると、明らかに異様なのは確かだ。ベルリンの方が北部なのだから、魔物は多い筈なのに…。
「町を離れて移動するのもありだが…受けた喧嘩は買うしか無いだろう。」
「嘘でしょ…。」
そう言うと、ルミナスは私を担いでずんずん町の中心へ進んでいく。
「ちょっと待ってよ。私まだ戦えないよ。」
「本当に貧弱なやつだな…」
そう言って、回復魔法を私にかけると、いくつか食事を出してくれた。
「栄養剤と、活力剤だ。魔力も分けてやる。」
「んー!人使いが荒いんだから…」
渋々全てを受け入れて、戦闘準備をした。
さて、今度はどんなヤバいやつが出てくるのか…
【悲報】ルミナスさん、脳筋だった。




