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クロト  作者: 白玉
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20/72

Ep.17 ハイデルベルクへ

翌朝。今日は朝から温泉だ。朝日を見ながらの温泉というのは、なんとも気持ちのいいもので、30分ほど浸かってしまった。


休憩中ということもあり、少しだけ豪華な朝食で、至れり尽くせりなのだった。


「ルミナス、今日は何処に行くの?」

「下山して、ハイデルベルクに向かおうと思っている。その後は…そうだな、北上して、ポーランド、ベラルーシを通ってロシアに向かう。目標はモスクワだ。」

「長い道のりだね…。頑張るしかないか」

「急ぎ足で向かってはいるんだが…アメリカまで1年はかかるだろうな。」


と言いながら荷物を整理しているルミナス。片付けが苦手な私はその様子を眺めていたのだが、上から大きめの鳥が降りてきた。何か紙のようなものを持っている。


「おっと、手紙が来たか」

「手紙?誰とやり取りしてるの?」

「アメリカのギルド本部さ。鳥なら大西洋を渡れる…2、3週間で着く、大事な連絡網だ。」

「それで、何て書いてあるの?」


「ふむ…。どうやら、北京迷宮を攻略したいから、手伝え、との事らしい。道中に通るから来いということなんだろうが、やはりあの男は人使いが荒いな…」

「北京迷宮?ってのは何?」

「以前話した、私が単独攻略しようとして失敗した所だ。SS級のダンジョンボスがいる。」

「うへぇ…そんなところに行かされるの?」

「この書き方だと、クロトも強制参加の様だな」

「えぇ〜…やだなぁ。その男ってのは、誰?」

「S+ランクのバカ男だ。ギルマスに次ぐ強者だが、全く尊敬は出来ない…。ギルマスやもう1人のS+も参加するようで、かなり本気で攻略するつもりみたいだ。」

「そうなんだ。よくわかんないけど、大変そうだね…」

「七面倒な事だ…全く」


そう言いながらも、少し嬉しそうな顔をしているルミナスだった。





登山の大変さを語る時、経験の無い人は登るしんどさを考えるだろう。しかし本当に辛いのは、登りでは無くくだりなのだ。


痛い。とにかく足が痛い。くだりなんて駆け降りるだけじゃん、と思っていた自分を恨む。


「痛いよぉ…待ってよルミナス…」

「本当に貧弱だな。」

「足が痛い!無理!歩けない!!」

「仕方ないな…こっちに来い。おぶってやる。」

「うぅ…」


とルミナスにおぶって貰い、なんとか下山することが出来た。途中、転んで滑落し死にかけたのはご愛嬌だ。


昔は発展していて、高層ビルが立ち並んでいたであろうこの場所も、今は瓦礫の山だ。

そして、スペイン付近と違うのは、とにかく魔物が多い。北進するにつれ、目に見えて魔物の数が増えている。魔人と戦うこともあり、過酷な地なのだと再確認する日々が続いた。


移動中や休憩中に、ルミナスが


「本を読め。生き残るのに情報は必須だ。」


と言うので、歴史や魔物の種類、迷宮などについて書かれた本を大量に読まされた。正直読書は苦手なのだが、何も知らないのはルミナスに迷惑をかけるかもしれない。


日本語版の本があまり無く、私は日本語しか使えないので、大変だった。


本を読み、魔物を倒し、食べて寝て食べて…


5日ほどでハイデルベルクに到着したのだった。

食べて寝て食べて…太りますね。

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