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クロト  作者: 白玉
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18/72

Ep.15 温泉

「じゃあさじゃあさ、ルミナスの昔話も教えてよ!沢山生きてきたんでしょ。」

「昔話と言っても、大事なことは大体伝えたと思うが。」

「私が300年前に居なくなってから、今まで、とかさ」

「そうだな…」


ルミナスは給水魔道具から水を掬って飲んだ。


「暗い話は無しでお願いね」

「うむ。それなら、今の文化の話でもしようか。」

「文化、か。お願いします。」


「人魔の戦いが始まってから、ユーラシア大陸が魔族に占領されて、食料危機が起こった。いくら狩られて人口が少ないとはいえ、アメリカに集まった数を足せば10億にはなる。当然アメリカやカナダにそれだけの人口を賄う食料があるはずもなく、解決策が出ずに悩んでいた。」

「サラッと流したけど、10億人なの!?70億人以上死んだって…。暗い話は無しって言ったのに」


「すまんな。ちなみに、今は6億人ほどに減少している。で、足りなくなった食料を、魔物を狩ることで得るようになったんだ。狩猟採集の時代に逆戻りというわけだ。」

「旅の途中で、変なイノシシの肉とか食べてたのは、そういうことだったの…」

「魔物の肉は、多少加工すれば普通の肉と変わりない。野菜も同様に取ることが出来る。魚だってそうだ。魔物の種類は数万と居るからな。」

「うへぇ…。家とかは?」


「最初の数年は鉄製の高層建築が多かった。だが、アメリカ大陸にある資材の量は限られているからな。今は石や木製の低い建造物ばかりだ。昔に建てられた建物も、資材の足しにする為に解体されているものが多い。アメリカで100mを超えているものは、ギルド本部のみ。次に高いのが自由の女神像だ。」 

「マジかぁ。自由の女神像は残ってるんだね。」


少し落ち込みつつも、人類が必死に生きようとしているのが分かり、少しホッとした。


「う…もっと明るい話をしようよ!何か楽しいこと、無いの?」

「楽しい事と言ってもな…」


「娯楽は!?漫画とか、アニメとか!」

「漫画はあるぞ。カナダは木があるから、紙は安く作れるんだ。アニメは、最近また作られ始めたが、これまでは魔物との争いでそこまでの余裕は無かったからな。」

「えぇ〜…」


「あとは、競馬や競艇なんかだな。」

「ギャンブルじゃんか!!」

「あれは怖いぞ…。私もやったことがあるが、ふと気づいた時には1万ドルが溶けてどいた。」

「1万ドル…150万円!?うわぁ、ルミナスやってるねぇ…」

「どうせ金は腐るほどあるんだ。少しくらいいいだろう。」

「少しじゃないでしょ…」


バシャっとルミナスにお湯をかけると、やったな?と言ってかけ返してくる。


「ガフッ…というか、そんなお金、どこから出してるのさ…まさか、怪しい仕事に手をつけてるんじゃ無いよね?」

「そんなわけがないだろう。というか、お前は何かにつけて私が悪事を働いているような言い方をするな…」

「そのキツめの性格のせいだね。もうちょっと優しくしてくれてもいいのに。」

「キツくは無い!クロトが怠惰な所為だろうが…。文句が言いたいなら、自分の着替えは自分で畳んでから言うんだな。」

「うっ…」


いつの間に取り出したのか、お盆の上に乗せてお酒を楽しんでいる。焼酎だろうか、日本酒だろうか。


「あ、お酒呑んでる。」

「酒は百薬の長と言うだろう。飲めば飲むほどいいんだよ。」

「ルミナスって、見た目によらず酒豪だよね…。そんなにお酒ばっかり飲んでると、健康に悪いよ!肌荒れするよ。」

「酒で肌荒れなんてしないし、私は体が変質して300年、1度も病気になったことは無い。」

「ずるいなぁ〜。」


と、そろそろのぼせてきた。


「先に上がるよ…熱いし。」

「分かった。果実を絞ったやつを冷やしておいたから、飲むといい。」

「え!?マジ?ルミナス様ありがと〜!」

「調子のいいやつめ…」


なんて会話をして、一足先に風呂から上がったのだった。

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