Ep.14 登山
テントを片付け、温泉保養地に向かうことに。元の時代とは違い、地殻変動で温泉がかなり高所にあるらしい。
おかげさまで、絶賛登山なう、である。笑えない。
「ハァ……ハァ………ハ…ハァ…」
と、虫の息で山を登る私と、前を歩くルミナス。彼女は久しぶりの温泉で機嫌が良さそうだが、少しは私のことを考えてゆっくり歩いて欲しいものだ。
登山とは不思議なもので、一見簡単そうに見えても、いざ登り始めると苦行になる様だ。
登山前、ルミナスに
「楽だが遠回りな方と、キツいが早く着く方、どっちの登山道が良い?」
と聞かれ、
「もちろん早く着く方!」
と答えた時点で私の命運は決まっていたのかも知れない…
「おい、着いたぞ。」
「ん…おお!」
ルミナスに声をかけられ前を向いてみると、綺麗な朝日と共にキラキラ光る温泉が見えた。湧き口は幾つもあるようで、お湯が溜まっている場所が幾つも見える。
ザ・温泉地 といった感じだった。
大急ぎで荷物を片付けて服を脱ぐ。
バシャーン!と音を立てて、温泉に飛び込んだ。
「あっちゃっちゃっちゃ…!」
「阿呆め。急くんじゃない。」
想像以上に熱い。50度くらいあるのではなかろうか。我が家のお風呂は39度、だったので、50度は熱湯と大差ないのだ。
ルミナスに給水の魔道具で水を出し続けて貰う。つま先からそろりと入り、なんとか肩まで浸かることが出来た。
しかし、温泉とは山より不思議なもので、熱さに慣れるとどんどん気持ち良くなっていく。
朝日を見ながら、
「ふあぁ〜………」
と、2人で感嘆の息を溢した。
10分ほど、雲と山の隙間から上がってくる太陽を見つめて、ぼ〜っとしていただろうか。
「そういえば、クロトは昔、どんな暮らしだったんだ?」
とルミナスが尋ねてきた。
「う〜ん…昔って言っても、ルミナスも生きてたでしょ?」
「今の生活に慣れてしまっているからな。アメリカへ行けば昔と同じ生活が出来るが、私は外に居ることが多いし。」
「そっか。まぁそうは言っても、あんまり覚えてないんだよね…。多分高校生で、家族とか友達とかもいたと思う。多分。」
「ボッチだったのか…」
「居たって!!多分だけど!居たに決まってるもん!」
「フフフ」
「笑うなぁぁぁぁ!!」




