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クロト  作者: 白玉
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Ep.13 行き先

ネックレスの光が収まる。


お腹の痛みが無くなっている。そして、地面を踏む感覚も無くなっていた。

恐る恐る目を開くと、


「うわ!お、お、落ちてるぅ!?」


かなり上空にいた。

死んで天国に来たのかと思って頬をつねってみたが


「痛い」


夢でもなさそうだ。

両手に気絶したルミナスを抱いている。


死ぬ!と思ったが、ルミナスに浮遊魔法を習っていたことを思い出し、ゆるゆると速度を落としながら着地した。


「何が起きたんだろう…」


寝起きの様に、頭がふわふわしている。

ルミナスのカバンから魔道具テントを取り出し、中にルミナスを寝かせる。寝顔が可愛い。


と、そんな事を言っている場合じゃなくて。

外に出て場所を確認してみると、見たことのある場所だった。


迷宮の入り口だ。


私1人で考えても分からないので、ルミナスが起きるのを待つことにする。


回復魔法でルミナスの傷を癒しつつ、血で汚れた服を着せ替える。頭が回らないので、上下ズボンを着せてしまい、腹を抱えて笑った。


ルミナスは、日本人の私から見ればスレンダー美女だが、性格に難ありだ。いつも私に宿題を押し付けてくるし。


そうして、ルミナスが起きるまで、ぼーっとして待つことにしたのだった。









2時間ほどすると、ルミナスが起きた。ぼんやりしながら回復魔法を掛けていたが、精度がイマイチなので、ある程度しか直せない。


「ここは?」

「迷宮の入り口っぽいけど…」


私もだんだん目が覚めていて、何があったか思い出してきた。


「あっー!あの魔人は!?どうなったの?というか、なんで転移が光ってネックレスがワープ…」

「落ち着け。そんなに混乱しなくて良い。順番に説明してやるから、ちょっと待て」


そういうと、ルミナスは着替え直し、私にお茶を淹れてくれた。彼女はお気に入りのコーヒーを飲むらしい。


「まず、魔人だが、迷宮の魔物は迷宮の外に出られないんだ。だから、アイツも出てくることは無い。」

「良かったぁぁぁ…。死ぬかと思ったもん。」

「フフフ、そうだな。それで、ネックレスの件だが…」


とルミナスが説明してくれた。


迷宮に入る前、ルミナスはネックレスの研究をしていた。ネックレスの効果を調べる上で、魔石に空間系の魔法が入っていることに気づいたらしい。そして、彼女が見たことが無い陣だったので、転移の魔法だろうと踏んだ。あの時、ルミナスは魔力をたくさん使って残量が少なかったので、私に発動させた…と。


「って、めちゃくちゃ運ゲーじゃん!何やってんのよ!」

「そうだな…。魔法が発動するかも、どこに転移するのかも、魔力が足りるのかも、そもそも転移の魔法なのかすら分からなかったからな。」

「ちょっとぉ!」


「それに、使用者しか転移できない可能性もあったが、随分と運が良かったな。日頃の行いかな。」

「ふざけたこと言ってる場合じゃないでしょ!!」

「何かしら代償があるかと思ったが、特に無さそうだ。その代わり、一回限りだったみたいだが…」

「え?」


自分の首元を見ると、ネックレスの紐はあったが、付いていた魔石がボロボロになって無くなっていた。


「う、最悪…。キラキラで気に入ってたのに…」

「気にするな。また見つけたらあげるさ。」


フゥゥゥ…とため息をつく。色々あって、疲れすぎた…


そんな私の様子を見ていたルミナスが、思い出した様に言った。


「そういえば、バーデンバーデンは温泉地だったかな。行ってみるか?」

「えっ!温泉があるの!」

「少し寄り道にはなるが、少し休暇を取る意味では良いかもな」

「行こう!絶対行きたい!」

「わかった。準備するとしよう」


こうして、私たちは温泉保養地へ行くことになった。

一旦区切り〜です。

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