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魔法少女と二代目。  作者: ささかま 02
【ブルー編】なべて茶店はこともなし
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11 夏の気配


 もうすぐ夏だと思っていたら一瞬で暑くなった。

 自分は朝夕の家から紬への移動時間だけだが、日中外出が必須の人は大変だろうな。


 そういえば小学生の頃はよく、涼しい午前中に夏休みの宿題をしてしまいなさい、なんていわれたが、最近は朝も暑いのはどうなってるんだ? 暑すぎてセミも鳴いていないんだが。

 少なくともあの頃は酷暑なんて言葉はなかったはずだ。気温が四十度近いってもう異常気象だろ。


 そんな暑い中でも元気よく紬にやって来た七海ちゃんは、そそくさとヨルを引っ張ってカウンターから離れたテーブルに陣取った。

 え? まだ何も注文受けてないが、普通にコーヒー淹れて良いのか? 氷大量に作ってあるのでアイスコーヒーも作れるけど。


 女性だけの話もあるんだろう。急かすことはしないが、とりあえず豆だけ挽いておくとするか。

 コーヒーミルの中に豆をセットし、なんだか楽しそうだなぁ、なんて思いながら豆を挽く。アイスにするなら深入りの豆がいいとか、水で抽出する方法もインターネット上には転がっているが、そこまでこだわっている店ではないので氷で冷やす方法で許してくれ。


 しかし、まぁ。

 以前七海ちゃんはヨルにからかわれるのは苦手と言っていたし、引き離した方がいいのかとも思ってたんだがなぁ。ケンカしているのかと思えば何やら話し込んでいたりもするし、ふと目を離せばまた何かを言い合ったりしていて仲が良いのか悪いのかわからない。


 苦手という割には七海ちゃんもヨルに懐いているし、ヨルも意地悪をしているようで面倒見は良いし。

 やはり同性の方がいいんだろう。……もしかして仲間外れは自分の方だった? 


 一先ず気を取り直して挽いたばかりの粉をサーバーにセットした。粉の量はいつもより気持ち多め。注ぐお湯の量は少なめにする。

 そうして少し時間をかけて抽出したコーヒーサーバーを持ったままキッチンに移動する。作業台にサーバーを置いて冷凍庫を開け、事前に用意しておいた氷をサーバーの中に大量投入する。


 中身を溢れさせないようにサーバーを揺すりコーヒーの熱を取っていく。その片手間に、ふと思い至って冷蔵庫の扉を開ける。りんごがそこにいた。

 夏りんごと呼ばれる部類のりんごで、この時期から収穫されるんだとか。午前中に店に来た田中さんが、親戚に貰ったので良ければと分けてくれたのだ。


 サッと水で表面を洗いナイフでカットして皿の上に乗せる。

 基本的に果物とか、一人では食べないので、七海ちゃんやヨルがいてくれるのは有り難い。


 一切れ、口の中に放り込んだ。シャリシャリとした食感がする。よくりんごの味で甘酸っぱいと表現されることがあるが、甘いはわかるけど、「酸っぱい」の部分がよくわからないんだよな。

 こういうのをバカ舌っていうんだろうか。いいもの貰ったって違いがわからないので、申し訳ないんだよな。


 グラスをキッチン内の棚から三つ取り出して氷を入れる。そこにコーヒーを注ぎ、ミルクピッチャーを用意する。トレイにグラスとりんごの皿を乗せカウンターに移動した。

 カウンターにはさっきまでヨルが飲んでいた空のグラスが放置されている。あとで片付けるか。


 自分の分のコーヒーをカウンターに残し、入れ替えにこの前買って来たガムシロップをトレイの上に乗せ、テーブル席へ。

 ずっと店内にいるせいか、最近付け始めた冷房は余り温度を下げていないのだが、女性陣は問題ないだろうか。


「はい、これ。外、暑かったでしょ」

「あ、すみません静一さん。注文もせずに」

「いつも来てくれるから、サービスね。ヨルもいるだろ?」


 テーブルにグラスに入れたアイスコーヒーとりんごの皿を置く。

 二人が囲むテーブルの上にはカタログがあった。なんというか、随分と肌面積の多い女性が並んでいる。


「丁度良かった。その子が海に行くのよ。セーイチ、アンタ水着選んであげなさい」

「え、俺が?」

「ちょ、ちょっとヨルさん!」


 何の話だと、改めてカタログに視線を落とし直すと色とりどりの水着を着た女性が並んでいる。俺に女の子の水着の良し悪しがわかるとお思いで?

 思わず二人を見ると、わたわたとする七海ちゃんと、それを見てカラカラ笑うヨルがいて、なんだかいたたまれなくなって視線を逸らした。


「センスもなさそうな唐変木だけど、意見の一つとして聞いてあげるわよ?」

「どういう意味だよそれ」

「そのままの意味よ。アンタ服なんて着れれば何でもいいタイプでしょ?」

「何言い出すんですかヨルさん! 確かに静一さんはいつも同じような恰好ですけど、ちゃんと清潔感はあるし、変な格好とかはしてないじゃないですか!」


 あの、七海さん。それはヨルの言っていることを同意しているのと変わらないんですが?

 え、俺ってそんな風に思われてたの? 確かにおしゃれとか興味ないし、いつもワイシャツとスラックスで変わり映えのない格好しているの自覚はあるけれども。


 ワイワイと、俺を他所に盛り上がりだした女性陣に思わず頬を掻く。

 これ、やっぱ俺だけ仲間外れにされてね?



女性陣のわちゃわちゃに巻き込まれる男

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