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魔法少女と二代目。  作者: ささかま 02
【ブルー編】なべて茶店はこともなし
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09 答えはいつでも大回り


 何があったかまではわからないが、七海ちゃんの様子がおかしい。

 話しかければ明るく振る舞うものの、ふとした拍子に眉間にシワを寄せていて。うん、一目でわかる程度には何かに悩んでいるらしい。


 どうしたものか、話を聞いてもいいのか?

 一応仲良くなりたいと言ってくれたのだし、年上の友達として何かしらアドバイスをだな。とは言え人生経験とかないぞ、俺。大学卒業して、そのままずっと紬でコーヒー飲みながら過ごしているだけだし。


「何よ、辛気臭い顔して」


 ヨルが呆れた顔で七海ちゃんを見下ろして言った。

 お前、その言い方はないだろう。確かにお前の良いところは、誰にも何にも取り繕わないところだけど、もうちょっと気遣いをさ。

 見たらわかるだろ、いま七海ちゃん何か悩んでるんだよ。


「なんですか、辛気臭いって」

「辛気臭いは辛気臭いよ。アンタがそんな顔してたら、セーイチがそわそわしてうざったいの」


 ダルそうにするヨルと俺を見比べる七海ちゃんに、困ったように頬を掻く。

 そわそわしていた自覚があるので何も言い返せない。結局口に出さず、そわそわしていただけの俺よりも、口火を切ったヨルの方が行動しているしな。ぐうの音も出ねぇよ。


「……すみません、ご心配をおかけして」

「いやいやいや、俺が勝手にそわそわしていただけだからさ。それよりも、どうかしたのか、聞いてもいい?」


 恐る恐る、七海ちゃんに確認を取る。

 女子高生の悩みってセンシティブかつナイーブなものなんだろ? 思わず聞いたが、聞いてもよかったのか?

 少し考えるそぶりをしてから、七海ちゃんが口を開いた。


「なんというか、上手く自分の中で折り合いが付けられなくて」

「折り合い?」

「はい。やらなきゃいけないことがあるし、やろうという気持ちはあるんです。でもそう思えば思うほど、他の人の態度とか手を抜いたような姿が気になって」


 真面目さんだなぁ。

 二人で話している時なんかはしっかり者だし、学校でも委員長とかやっているのかもしれない。紬では、よくヨルにからかわれてしまっているが。


「もちろん、押し付けるのはよくないってわかってるんですよ? きつい言い方になったり、やりすぎたりして友達と嫌な雰囲気になりたくないし」

「なるほど?」

「でもやっぱり私自身、ちゃんとしたいし、相手にもちゃんとしてほしくなっちゃって」


 前にもちゃんとしたいって言ってたもんな。あの時は早く大人になりたい女の子の精一杯の背伸びだと思ったのだが。

 正直、流されるままに生きてきた俺の言葉が、七海ちゃんに届くかどうか。


 特に夢とかやりたいこともなく、平和に波風立てず過ごせるならそれが一番いいと思っているような奴だぞ?

 そんな奴の言葉や考えが、真っ直ぐで正義感に溢れ、しっかりした大人になりたいって思っている思春期の女の子が納得できるような答えを出せるのか?

 答えは間違いなくNOだろう。


「うーん。他人は他人って、割り切っちゃうのが一番楽なんだけど……。それもちょっと難しいんだよね?」

「……頭ではわかってるんですけど」


 まずもってそういうの、世間一般の人はどうやって折り合いをつけているんだろうなぁ。

 俺は……、そもそも家か紬に籠もりっぱなしで人と関わる方が稀なので何とも言えない。


 学生時代はそこまでじゃなかったはずなんだが、いや。似たようなものかも。

 そこまで友達も多い方じゃなかったし、ケンカや面倒ごとからは可能な限り距離を取っておく性格だった。俺の引きこもり気質は、その頃から既に形成されていたのかもしれない。


「バッカねぇ、そんなことで悩んでたの?」

「おい、ヨル。そんな言い方ないだろ」

「バカはバカって言わなきゃわかんないじゃない」


 眉を顰めて肩を落とすヨルを咎める。さすがに言い方が悪いぞ。ヨルにとっては大したことではなくても、七海ちゃんは真剣に悩んでいるんだ。

 煩わしそうに俺を見たヨルは、止まらないし、止まる気はないようだ。


「セーイチも他人は他人って言ってるじゃない。なら、アンタはアンタよ。ナナミ」

「私は私……」

「譲れないものがあるならどんなことがあっても貫き通しなさい。いい女は逃げないものよ」


 え、これってそういう話なの? それでいいのか?

 何も解決していないように思えるんだが。


 そもそも他人と自分の考え方の、折り合いの付け方を相談していたんだろう?

 先に言い出したのは俺だが、落としどころを見付けるどころか、完全に分断する方向に背中を押した気がするんだが?

 あと七海ちゃんも真剣な顔をして「いい女」とか復唱しないでくれ。気になるところは本当にそこなのか? そこでいいのか!?


「いい女になるにはどうしたらいいんですか?」

「まず隣にいい男を置くの」

「いい男」


 なぁ本当に頼むから待ってくれ。話が大幅に違う方向へと舵を切ったぞ。この話にいい女とかいい男とか関係あるのか?

 ヨルの奴、適当なこと言ってないか? 七海ちゃんはすごい真面目なんだから、あんまり適当なこと言って混乱させてやるなよ


 なぁ、これって俺が間違ってるのか!?




何とか答えを出そうとしたら、横から暴論が飛んで来た。

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