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魔法少女と二代目。  作者: ささかま 02
【ブルー編】なべて茶店はこともなし
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08 わからないことだらけ

七海視点


 正直、魔法少女が何なのかよくわかっていない。


 ある日突然プリズムトリニティの一人として、街を襲うバイデントという怪物と戦ってくださいって言われて、流されるままに魔法少女になってしまった。

 わかっていないまま戦うのもあまりよくはないと思うんだけど、それはそれとして街を壊されるのは困るので今日も今日とて魔法の剣でバイデントをズババーンと、やっつけているわけですよ。


「やったね! 二人とも」

「お怪我はありませんか?」

「うん、大丈夫。お疲れ様」


 ピンクとイエローに返事をして、握っていた剣を下ろす。

 私だって、もっとこう、不思議な力で戦うのを想像していたわ。魔法少女っていうのは結構物理攻撃もするもので、いつも私は魔法の剣を使って戦っている。


 皆それぞれ武器を持っていて、ピンクの弓、イエローの杖、私の剣。

 ……なんか私だけ好戦的過ぎない? 青く透き通っていて薄い刃の中には液体のような何かが波打っていて綺麗。だとしても、スプラッシュエッジって名前を叫ぶのはなんだかちょっと恥ずかしい。


 まぁ、静一さんのいる街を守るためなので頑張るんだけど。

 そんなことを考えながら、バイデントも倒したし解散しようとしたところに声が降って来た。


「ふーん、アンタたちがプリズムトリニティなんだ?」


 声のした方を追って視線を上げれば、建物の上に腰かけた女の人がいる。

 黒い髪に金色の目、どこか人ではないと察せさせる存在がこちらを値踏みするように見下ろしていた。


 世間一般には、私たちは魔法少女と呼ばれている。人のいるところで名乗ったことはないし、そもそもこの街の住人はどういうわけか避難に慣れていてバイデントが現れるとそそくさと避難してしまうから取り残された人に会うことの方が少ない。

 だから、私たちを「プリズムトリニティ」と認識しているこの人は、バイデントの仲間、だと思う。


「ジャマしているのがアンタたちみたいなのとはねぇ」

「何よ、やるの?」

「いいえ? やめとくわ。見に来ただけだし、そういうのはカロンとP5がやるでしょ」


 女の人が肩を落として息を吐く。

 意味がわからない。バイデントは美空町のどこかにあるイノセントジュエルっていう物を探すために街を壊しているってチュチュが言っていた。にも関わらず女は戦うつもりがないと言う。


 なんで?

 バイデントがイノセントジュエルを探している理由もよくわからないのに、よく街を壊しに来る怪物と子供ではなく、突然現れた知らない女は戦うつもりがないと言う。


「ねぇ、アンタたち。イノセントジュエルがどこにあるか知らない?」


 女が言った。

 そもそもイノセントジュエルって何? チュチュは奇跡を起こす力を持っていると言っていた。……でも、そんなに簡単に奇跡なんて起こせるもの?

 でもそう言うってことは、まだバイデントはイノセントジュエルを見付けられてないのよね?


「知っていても教えるわけないでしょ?」

「それ、ほぼ答えみたいなのもよ。ま、いいわ。こっちでも、もうちょっと探してみるから」


 ……探すだけ、とはいかないのよね? 他のバイデント同様、「探す」の中に「街を壊す」が入っていると考えてもいいんだよね。

 だとしたら、させるわけにはいかない。


 最初こそ巻き込まれた形だったけど、美空町には静一さんがいて、紬がある。静一さんのいる街を壊そうとしている怪物たちを野放しにはできない。

 それを、バイデントの仲間だっていうのに戦おうともしない不真面目そうな女なんかに壊させたりしない!


「私は破壊の使者の一人、ニクス。よろしくしなくていいわよ? むやみに戦うつもりもないから」

「あなたもバイデントなんでしょ?」

「そうよ? でもあのガキンチョたちとは違って、私は調査担当なの」


 ニクスと名乗る女はけらりと笑った。

 話が通じるのか通じないのかわかったものじゃない。まだまだわからないことだらけだけど、ただなんとなく、この人が無性に嫌な感じの奴なのはわかったわ。


「それじゃあね~」


 なんて軽い口調で女が黒い空間の中に消える。

 あの空間は多分、バイデントたちの世界、プルートに繋がっているんだと思う。あの力のせいで、ある日突然バイデントが現れるので、どうしても私たちが後手に回ってしまう。なんだかどんどんもやもやしてくる。


「行っちゃった」

「戦わなくていいのは有り難いんですが、不思議な方でしたね」

「……ああ、もう!」


 何なのあの人、何なのあの人!

 バイデントの仲間なら、ちゃんとしてよ!


「ブルー?」

「おかしくない!? 魔法少女はバイデントと戦っていて、あの女もバイデントなのよね!?」

「多分、そうだと思う……」

「だったら! 戦うために出てきたんじゃないの!?」

「まぁまぁ。おかげで戦わずに済みましたし」

「そうだけど、そうなんだけど!」


 悪い奴なら、ちゃんと悪い奴らしくして! 不真面目だし、なんか軽いし、バイデントや破壊の使者たちの目的もわかんないままだし、そもそもイノセントジュエルがどこにあるのかも誰にもわかってないし。

 私はちゃんとしたいのに、わからないことだらけで頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃうし!


 誰も傷付かなくていいならそれがもちろん一番なんだけど!

 このもやもやを、どこにどうぶつければいいのよ!




静一の前では基本お淑やかに振舞いたいものの、性格の根っこがオラオラ攻めてくる系の魔法少女


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