第39話:時制が全部バラバラなんだが
朝。
俺が目を覚ます。
少女が言う。
「おはようございました」
「終わってる!!朝が過去形!!」
来たな。
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俺はベッドから起き上がる。
「よく寝たな……」
少女、
「あなたはこれから寝ていました」
「未来と過去混ぜるな!!」
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外に出る。
通り。
人が話している。
男、
「今からパンを買っていました」
「もう買ってるのかこれからなのかどっちだ!!」
女、
「さっきあなたと話しています」
「現在形で過去語るな!!」
別のやつ、
「昨日、爆発が起きます」
ドン!!
「予言が現在進行形で当たるな!!」
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パン屋。
店員が頭を下げる。
「いらっしゃっていました」
「来店完了扱いすな!!」
俺はパンを取る。
「これ一つ」
店員、
「三ゴールドでした」
「もう払ったことにするな!!」
俺、
「払ってないけど」
店員、
「今から支払っていました」
「未来完了形バグってる!!」
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一口食べる。
「うまい」
店員、
「その評価は先ほどいただきます」
「時間巻き戻すな!!」
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通り。
兵士が来る。
「現在の治安は安定していました」
ドン!!
遠くで爆発。
「過去に逃げるな!!」
兵士、
「これから安全になります」
「信用できねえ!!」
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少女が説明する。
「今回のアップデートでは、時間表現の柔軟性が向上しています」
「柔軟すぎて崩壊してるだろ!!」
「過去・現在・未来を自由に行き来できます」
「会話でやるな!!」
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広場。
男が女に告白している。
男、
「あなたのことを好きになります」
「予約すな!!」
女、
「私はあなたを好きでした」
「もう終わってる!!」
男、
「では、好きになっていました」
「どの時点だよ!!」
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その時。
子供が転ぶ。
ドン!!
子供、
「今、転びました!」
大人、
「先ほど痛がっています」
「観測遅れてる!!」
さらに別の大人、
「これから泣きます」
子供、
「うわあああ!!」
「未来予測当たるな!!」
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俺は頭を抱える。
「時間の流れぐちゃぐちゃすぎるだろ!!」
少女が言う。
「はい、時間はぐちゃぐちゃでした」
「もう過去扱いすな!!」
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その時。
パン屋の店員が走ってくる。
「大変でした!!」
俺、
「何があった!?」
店員、
「建物が崩壊します!!」
ドン!!
「予告してから起きるな!!」
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周囲がさらに混乱する。
「逃げていました!!」
「これから逃げます!!」
「今逃げています!!」
「どれが正解だよ!!」
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俺は叫ぶ。
「ちゃんと“今”で喋れ!!」
少女が言う。
「今、今で喋っていました」
「過去にするな!!」
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その瞬間。
空にウィンドウ。
「ユーザーフィードバック」
来た。
「“時間軸が分からない”」
その通り。
「“未来と過去が混ざって混乱する”」
知ってる。
「“会話のタイミングがズレる”」
それな。
「改善を実施しました」
「したのかよ!!」
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少女が言う。
「次のアップデートでは、時制の統一が行われました」
「頼むぞ……」
「言語アップデート ver.5.3」
光。
静寂。
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少女が言う。
「おはようございます」
普通だ。
俺は安心する。
「やっと戻ったか……」
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通り。
人が話している。
「今パンを買っています」
「よし正常」
兵士、
「現在の治安は安定しています」
「完璧だ」
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その瞬間。
全員が一斉に言う。
「今、過去です」
「今、未来です」
「今、ずっと今です」
「概念壊すな!!」
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さらに、
「今今今今今今今今今」
「現在連打すな!!」
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俺は空を見上げた。
「この世界、“ちょうどいい時間感覚”って概念ないのかよ……」
少女が一言。
「今、仕様です」
「雑に現在使うな!!」
次回もお楽しみに!




