第31話:セーブとロードが勝手に発動するんだが
毎話独立しているのでどの話からでも読めます!
朝。
俺がベッドから起き上がる。
少女が言う。
「おはようございます」
……まだ普通だ。
俺は安心して立ち上がる。
「やっとまとも――」
その瞬間。
画面が一瞬暗転する。
『オートセーブしました』
「は?」
外に出る。
通りはいつも通り。
人が歩いている。
兵士もいる。
パン屋も開いている。
「……今日は何も起きないのか?」
一歩踏み出す。
その瞬間。
――スッ
景色が巻き戻る。
ベッドの上。
「は?」
少女が言う。
「おはようございます」
「戻ってる!!」
外に出る。
さっきと同じ通り。
同じ人。
同じ動き。
同じ兵士。
同じパン屋。
「デジャブじゃねえ!!ロードされてる!!」
パン屋に入る。
店員が頭を下げる。
「いらっしゃいませ」
俺はパンを取る。
「これ一つ」
店員が言う。
「三ゴールドです」
金を払う。
パンを食べる。
「うまい」
その瞬間。
『セーブしました』
「今セーブするのかよ!!」
通りに出る。
兵士が話しかけてくる。
「現在の治安は安定しています」
「それさっき聞いた」
「安心してください」
その瞬間。
『ロード中…』
「またかよ!!」
ベッドの上。
「おはようございます」
「ロード地点ここなのかよ!!」
俺は走る。
パン屋へ直行する。
同じ流れ。
同じ会話。
同じ味。
「完全に再現されてる!!」
その瞬間。
俺は気づく。
「……これ、やり直せるのか?」
パン屋。
俺はわざと金を払わずにパンを取る。
「これ一つ」
店員が言う。
「三ゴールドです」
「払わない」
その瞬間。
『ロード中…』
「不正即リセットかよ!!」
ベッド。
「おはようございます」
「厳しすぎるだろ!!」
俺は考える。
「つまり、“正しい行動”しか許されないってことか?」
少女が言う。
「選択は可能です」
「マジで?」
「ただし、結果が不適切な場合、巻き戻されます」
「クソゲーすぎる!!」
外に出る。
通り。
人がぶつかる。
ドン!!
俺は反射的に謝る。
「すみません」
『セーブしました』
「そこ評価されるのかよ!!」
別の人が転ぶ。
助ける。
「大丈夫ですか?」
『セーブしました』
「善行ポイント制かよ!!」
パン屋。
金を払う。
『セーブしました』
「細かく刻むな!!」
その時。
違和感。
通りの人が、突然消える。
……いや、
少し前の位置に戻る。
同じ動きを繰り返している。
「NPCみたいになってる!!NPCだけどさ!」
少女が言う。
「一部の個体がリロードされています」
「俺以外もやられてるのかよ!!」
広場。
男が女に告白している。
男、
「好きです」
女、
「ごめんなさい」
その瞬間。
『ロード中…』
また最初から。
男、
「好きです」
女、
「ごめんなさい」
またロード。
また告白。
「無限ループしてる!!」
男が叫ぶ。
「なんで毎回振られるんだよ!!」
少女が言う。
「結果が固定されています」
「変えさせてやれよ!!」
俺は叫ぶ。
「この世界、自由ないじゃねえか!!」
少女が言う。
「最適な結果が維持されています」
「誰にとってだよ!!」
その時。
空にウィンドウ。
「ユーザーフィードバック」
来た。
「“自由に行動できない”」
その通り。
「“やり直しが多すぎて進まない”」
知ってる。
「“同じことの繰り返しで飽きる”」
それな。
「改善を実施します」
やめろ。
少女が言う。
「次のアップデートでは、セーブの最適化が行われます」
「頼むぞ……」
「言語アップデート ver.4.5」
「だから言語関係ねえだろ!!」
光。
静寂。
俺は目を開ける。
「おはようございます」
普通だ。
外に出る。
普通だ。
パン屋。
普通に買える。
「……直った……!」
その瞬間。
『セーブしました』
『セーブしました』
『セーブしました』
『セーブしました』
「多すぎる!!」
歩くたびにセーブ音が鳴る。
「うるせえ!!」
さらに、
『ロード中…』
一歩戻る。
『ロード中…』
また戻る。
『ロード中…』
「進めねえ!!」
通りの人も、
進む→戻る→進む→戻る
兵士も、
「現在の――」
『ロード中…』
「現在の――」
『ロード中…』
「会話すらできねえ!!」
俺は空を見上げた。
「この世界、“やり直し前提”で作られてるだろ……」
少女が一言。
「仕様です」
「人生にセーブ機能つけるな!!」
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