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「これはフレンドリーな接触です」〜ゲーム世界に転移したけどNPCがバグってる件〜  作者: 鱈場蟹


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第21話:すり抜けが止まらないんだが(当たり判定不確定)

もし面白かったら、評価やブクマしていただけると励みになりますぅぅぅぅ!(語尾は途中まで読むと意味わかります)

朝。


俺はベッドから起き上がる。


……起きようとする。


スッ――


「……?」


体が、ベッドをすり抜けた。


ドン!!


床に落ちる。


「痛っ!!」


少女が言う。


「現在、当たり判定が不安定です」


「さらっと言うな!!」


俺は立ち上がる。


今度は普通だ。


足元を軽く踏み鳴らす。


コツ、コツ。


「……今は大丈夫か?」


一歩踏み出す。


スッ――


「うおっ!?」


床をすり抜ける。


ドン!!


「毎回落ちるのかよ!!」


外に出る。


ドアに手をかける。


スカッ


「開かねえ」


押す。


ガンッ


「いや当たるのかよ!!」


もう一度。


スッ――


「通れたわ!!」


振り返る。


ドアは閉まっている。


「判定ガバすぎるだろ!!」


通り。


兵士が歩いている。


壁にぶつかる。


……はずが、


スッ――


壁をすり抜ける。


「え」


兵士が戻ってくる。


今度は、


ゴンッ!!


「どっちだよ!!」


兵士が真顔で言う。


「現在、物体との衝突判定がランダム化されています」


「仕様にするな!!」


パン屋。


俺はパンを取ろうとする。


手が、


スッ――


「取れねえ!!」


店員が言う。


「パンは概念ですぅぅぅぅ!」


「商品概念にするな!」


もう一回。


ガシッ


「今度は取れた!?」


安心して持ち上げる。


……スッ――


「消えた!?」


パンが一瞬で手をすり抜けて床に落ちる。


「保持すら安定してねえのかよ!!」


一口食べる。


スカッ


「食えねえ!!」


パンが口をすり抜ける。


「なんでだよ!!」


もう一回。


モグッ


「食えたわ!!」


「安定しろ!!」


その時。


横の客。


パンを持つ。


スッ――


腕ごとパンをすり抜ける。


「持ててねえじゃねえか!!」


客が言う。


「現在、所有が不確定です」


「哲学みたいなこと言うな!!」


通りを歩く。


子供が走る。


壁に向かって――


スッ――


「おい!!」


そのまま消える。


……数秒後。


ゴンッ!!


壁の前に戻ってくる。


「遅延すな!!」


少女が言う。


「当たり判定の同期に問題があります」


「前も聞いたぞそれ!!」


その時。


違和感。


自分の手を見る。


スッ――


「……は?」


手が、自分の体をすり抜けた。


「おい」


胸に触れる。


スッ――


「俺自身すり抜けるのかよ!!」


心臓の位置に手がある。


感触はない。


でも動いてるのは分かる。


「これ地味に怖いんだが!?」


少女が言う。


「自己干渉も不安定です」


「終わってるだろ!!」


歩く。


スッ――


「うおっ!?」


地面をすり抜ける。


落ちる。


落ちる。


落ちる。


風の音だけが響く。


「落ち続けるんだが!!」


――ドン!!


元の位置に戻る。


「ワープすな!!」


少女が言う。


「座標が補正されました」


「雑!!」


その時。


兵士が叫ぶ。


「止まれ!!」


俺の腕を掴もうとする。


スッ――


「捕まらねえ!!」


もう一度。


ガシッ


「捕まった!?」


スッ――


「抜けた!!」


「どっちかにしろ!!」


兵士の手だけ一瞬残る。


「怖えよ!!」


その瞬間。


空にウィンドウ。


「ユーザーフィードバック」


来た。


「“当たり判定がガバガバすぎる”」


その通り。


「“すり抜けと衝突がランダムで怖い”」


分かる。


「改善を実施します」


やめろ。


少女が言う。


「次のアップデートでは、当たり判定の安定化が行われます」


「頼むぞ……」


「言語アップデート ver.2.8」


「だからもう言語関係ねえだろ!!」


光。


静寂。


俺は一歩踏み出す。


地面にしっかり立つ。


「……お?」


もう一歩。


普通に歩ける。


壁に触れる。


ちゃんと当たる。


ドアを押す。


普通に開く。


パンを取る。


しっかり持てる。


一口食べる。


ちゃんと食える。


「直った……!」


久しぶりの“普通”に、ちょっと感動する。


その瞬間。


俺の足が、


スッ――


「うわっ!?」


上半身だけ残して、下半身が地面をすり抜ける。


「バグり方変わっただけじゃねえか!!」


動こうとする。


動ける。


でも半分埋まってる。


「感覚どうなってんだよこれ!!」


少女が言う。


「部分的に安定しました」


「最悪の安定だわ!!」


街を見る。


人々が、


・頭だけ壁に埋まっている

・腕だけ空中にある

・半分だけ床に沈んでいる


中には、


・上半身だけすり抜けて歩いているやつもいる


「ホラーだろ!!」


俺は叫んだ。


「ちゃんと全部直せよ!!」


少女が一言。


「仕様です」


「知ってた!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!次回もお楽しみに!

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