原因と結果がおかしいです
朝。
「おはようございます。あなたはすでに遅刻しているため、これから起床します」
「どうせおかしいだろ」
俺はベッドから起き上がる。
少女が言う。
「現在、あなたは目を覚ました結果として眠りに入ります」
「起きたのに寝るな。二度寝強制すな」
外に出る。
「外出したため、これから家に入ります」
「出たのに戻るな」
一歩踏み出す。
「歩いた結果として、これから足を動かします」
「もう動いてるだろ。全部遅いんだよ」
パン屋。
「このパンは食べ終わった後に購入してください」
「食ってから買うな」
「なお、満足したため、これから味を感じます」
「順番逆すぎるだろ」
俺はパンを手に取る。
「いただきます」
一口食べる。
「満腹になったため、これから空腹になります」
「食ったのに腹減るな」
通り。
兵士が話しかけてくる。
「街は爆発が発生したため、これから火をつけます」
「もう爆発してるだろ」
ドン!!
「今のは爆発音です。よって原因として導火線に火をつけます」
「原因が後から来るな」
少女が説明する。
「この世界では、結果が先に確定し、その後に原因が発生します」
「起きてから理由つけてるだけじゃねえか」
「事故は必ず起きた後に防止されます」
「防止の意味ねえだろ」
広場。
男が倒れている。
「大丈夫か!?」
「はい。回復したため、これから怪我をします」
「治ったあとに怪我するな」
少女が包帯を出す。
「治療が完了したため、これから傷口が開きます」
「逆効果すぎるだろ」
カップル。
男が言う。
「別れました。よってこれから付き合います」
「順番ぐちゃぐちゃだろ」
女も頷く。
「悲しかったため、これから好きになります」
「感情まで逆かよ」
俺は頭を抱えた。
「この世界、何も防げねえじゃねえか」
少女が答える。
「はい。すべては既に発生しています」
「終わってる」
その時。
空からパンが落ちてきた。
ドン!!
「うわっ!」
少女が言う。
「あなたはパンに当たったため、これから回避行動を取ります」
「当たってから避けるな」
俺は避けようとする。
「回避したため、これから命中します」
「避けたのに当たるな。確定ヒットやめろ」
俺は叫ぶ。
「未来変えられないのかよ!」
少女が少し考える。
「変更は可能です」
「マジで!?」
「ただし、変更した結果として元の未来に戻ります」
「どうやっても同じかよ」
ウィンドウが出る。
「ユーザーフィードバック」
「“対策がすべて事後報告になっている”」
「その通りだよ」
「“防止の意味がない”」
「知ってる」
「改善を検討します」
「やめろ」
少女が言う。
「次のアップデートでは、原因と結果の同期が行われます」
「頼むから普通にしてくれ」
「言語アップデート ver.2.5」
早い。
世界が静まる。
少女が言う。
「これで原因と結果は正しい順序になります」
パン屋。
「このパンを購入してから食べてください」
「普通だ……!」
兵士。
「火をつけたため、爆発が発生しました」
「順番合ってる……!」
俺は空を見上げる。
「ついにまともになったな……」
その瞬間。
全てが同時に起きた。
「火をつけて爆発しました」
「食べて購入しました」
「全部同時はダメだろ!」
少女が言う。
「原因と結果が同期されました」
「極端すぎるんだよ!」
街中が混乱する。
「嬉しくて笑って泣きました」
「走って転んで立ち上がりました」
「生まれて死んで生きています」
「情報量が多すぎる!」
俺は空を見上げた。
「この世界、“順番”って概念ないのかよ……」
少女が一言。
「仕様です」
「知ってた!!」
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