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「これはフレンドリーな接触です」〜ゲーム世界に転移したけどNPCの会話がバグってる件〜  作者: 鱈場蟹


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18/18

内容は普通、だが言い回しが中二病すぎる

朝。


「おはようございます」


少女が言う。


普通だ。


……と思った瞬間。


「我は夜の帳を打ち破り、暁の光をその瞳に宿した存在――すなわち、起床した」


「普通に言え」


外に出る。


通りの人が挨拶してくる。


「今日もまた、天より降り注ぐ光が我らを祝福している」


「晴れてるだけだろ」


パン屋。


店員がゆっくりと手を広げる。


「見よ、この偉大なる大地の恵みを、灼熱の業火にて鍛え上げし結晶――」


「パンだろ」


「いかにも。外殻は硬質なる守りを持ち、内には柔らかき慈愛を秘めている」


「だからパンだろ」



俺はパンを手に取る。


「これ一つ」


店員が頷く。


「その選択、運命に導かれし必然……対価は三の黄金」


「3ゴールドな」


「支払いを確認。契約は成立した」


急に普通。


通り。


兵士が近づいてくる。


「我らはこの地の秩序を守護する者。混沌を打ち払い、静寂を維持する使命を帯びている」


「つまり?」


「治安は安定しています」


最初から言え。


少女が言う。


「今回のアップデートにより、表現の荘厳化が行われました」


「言い方だけ強くするな」


「平凡な事象に深みを与えることが目的です」


「深みで誤魔化すな」


広場。


男が女に話しかけている。


「我が心は、貴様という存在に囚われている」


「重い」


女が少し困りながら答える。


「えっと……どういう意味ですか?」


男は力強く言う。


「好きです」


「最初から言え」


その時。


パン屋の店員が走ってくる。


「大変です!我らが誇る至高の結晶が、制御を離れ――」


「パンがどうした」


「焦げました」


「それだけかよ」


少女が空を見上げる。


「見てください。蒼穹を切り裂きし影が――」


俺も見る。


「鳥だな」


「はい。鳥です」


雰囲気だけ出すな。


その時、ウィンドウ。


「ユーザーフィードバック」


来た。


「“言ってることは分かるが疲れる”」


それな。


「“もっと普通に話してほしい”」


ほんとそれ。


「改善を検討します」


やめろ。


少女が言う。


「次のアップデートでは、表現のスペシャル簡略化が予定されています」


「ただの簡略化な」


俺は空を見上げた。


「この世界、普通に喋るだけでいいのに……」


少女が静かに言う。


「それは、容易でありながら最も困難な行為です」


「深いこと言ってる風やめろ」


少女が一言。


「パンは、パンです」


「それでいいんだよ!!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!次回もお楽しみに!もし面白かったら、評価やブクマしていただけると励みになります!

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― 新着の感想 ―
おんなじことが繰り返されてるだけなのに全く飽きない!! 今日も楽しませてもらってます✌
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