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地獄の果てまで行ったら現世に戻りました  作者: 真灯出愼
第弐章―神谷龍之進編―
39/42

参拾玖

 閻魔大王と神谷が居た部屋の外には龍之進がいた。子孫が閻魔大王に潰される姿は見なかったものの、音ははっきりと聞こえていた。そして閻魔大王に呼び入れられた。


「龍之進。そこに居るのだろう。入って来い」


 龍之進は恐る恐る部屋に入ると、部屋の中は綺麗だった。ついさっき人を潰したはずなのに、血の後はどこにもなかった。


「閻魔大王、龍二は?」

「たった今消滅したよ。お前も聞いておったのだろ?」

「ええ。でもそんな痕跡がどこにもないので。他の者を潰したときは地が飛び散っていたのに」

「龍之進。魔が差したって言葉を知っておるか?」

「確か、悪魔が入ったかのように一瞬行動を誤るといった意味でしたかね」

「そうだ。衆人の中には根っからの悪人と魔が刺してしまった悪人が居る。たった1度の過ちで短い人生を終えた者も沢山いると言うことだ」


 龍之進は閻魔大王が何を言いたいのか理解した。龍二は後者の魔が刺した悪人で、閻魔大王に潰されて血が飛び散らなかったということは生まれ変わりの道に進むことが出来たということだ。


「では、龍二は再び人間道に?」

「そうなる」


閻魔大王によると、龍二は再び人間として生まれ変わる道に進んだと言う。龍之進は少し安心したような顔をしていた。するとそんな龍之進に閻魔大王が言った。


「龍之進。お前にはまだやらなければいけないことが残っている。人間の姿に戻った分、精一杯働いてもらうぞ」

「俺に生まれ変わる道はないのか?」

「今のところないな。だが、ワシの言う通りに働いておればいずれその道も開かれる」


 龍之進は自分ももう一度生まれ変われると信じ、閻魔大王による任務を受けることにした。

 閻魔大王の元で働くが、獄卒になったわけではない。新設された地獄である現世での秩序を保つのが龍之進の仕事になった。


 現世に向った龍之進。現世は既に2055年になっていた。死後、自分の体で現世に来たのは初めてで、約500年ぶりの日本だった。

 あれから現世で暮らす衆人は常に20人を保っており、能力による現世人への悪影響を及ぼしたものは罰が与えられるというルールが出来ていた。

 現在の長は岡島が担っており、全てにおいてルールの基準となっていた。龍之進が来ることも閻魔大王から聞いていたのか、到着早々会うことが出来た。


「龍之進さんですね? お久しぶりです」

「久しぶりだな。この姿でははじめましてかな?」

「そうですね。以前は刀の姿でしたので違和感を感じます」


 ニコやかに話す岡島は、とても衆人の様には見えなかった。すると、岡島は本を出して龍之進に渡した。龍之進が受け取り開くと、中にはビッシリと文字が埋まっていた。


「これは?」

「今現在ここに居る衆人たちのルールです。数は多いですが、龍之進さんならすぐ覚えれると思いますよ。当たり前の事しか書いていないので」


 龍之進は少し不安に思いながらも読んでみると、確かに当たり前のことばかり記されている。

・現世人を殺してはいけない

・現世人の気持ちを弄んではいけない

・現世の物を壊してはいけない

・衆人同士の殺し合いは再生可能範囲で

・能力はむやみやたらに使わない

 といった内容だ。


「確かにこれぐらいなら大丈夫だろう」

「よかった。では私はこれで失礼します」


 岡島はそう言って立ち去ってしまった。しかし衆人たちがどこに居るか分からないのに、ルールを破ったとか分かるのかという疑問が浮かんだ。岡島に確認しようと後を追いかけたが既に居なくなっていた。

 どうしようか迷っていると目の前を龍二そっくりな現世人が通り過ぎた。


「龍二!?」


 思わず声をかけたが聞こえるはずがない。龍之進は無意識にその男の後を着いていっていた。家の中に入る男に続いて家に入る龍之進。すると、その男の父親らしき男が龍之進の前に立ちはだかった。

 見えているはずはないのだが、明らかに見えているようなそぶりをする。


「何の用ですか?」


 父親らしき男が龍之進に声をかけてきた。見えていることを確信した龍之進は思いきって話してみることにした。


「神谷龍之進と申します。ここに入っていかれた男の子に少し見覚えがありまして着いてきてしまったのです。お邪魔しました」

「待って」

「え?」

「今、神谷龍之進と言いましたか?」

「そうですが」

「私、神谷浩太と申します。もしや息子が龍二さんに見えて?」


 龍之進は何が何だか分からなかった。まず、自分の姿が見えていることにも驚いているのに、名前も知られているし、神谷と名乗っている。更には龍二の名前まで出してきた。

 浩太と名乗る男は龍之進を家に招きいれた。戸惑いが隠せない龍之進は言われるがまま家に上がらせてもらった。

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