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参拾参

 先程と全く同じように背後に村野、お腹に紅龍が刺さっているという状況になった。次はすぐさま紅龍を横に振り切った村野。お腹の半分を横に切り裂かれた神谷はその場に崩れ落ちた。一度リセットされて同じ場所へ復活した神谷を上から突き刺す村野。身動きがとれなくなった神谷の元へ中沢が歩いてきた。


「さて、これが本当のお別れだ。もう話すことはない。じゃあな」


 中沢は刀を振りかぶり、神谷の頭に向けて振り下ろした。が、神谷に当たる寸前で中沢が消えた。それと同時に村野も神谷を刺していた刀を抜いた。


「村野? 桑井?」

「神谷さん、早く私達を斬って」

「どういうことだ?」

「白龍です。中沢の手に行った白龍が何らかの能力を使って中沢の支配を一時的に切ってくれたんです」

「それで桑井が中沢を飛ばしたのか?」

「はい。でもそんなに遠くに飛ばせなかったので直ぐ戻ってくるかと」


 そう言っている間に中沢がこちらに向って走ってきている姿が見えた。まだ中沢の手の中にある白龍が見えて、神谷は「白龍!」と叫びながら手を伸ばした。すると吸い込まれるように白龍が神谷の手に飛んできて、神谷は能力を発動させた。


「いざ参らん!」


 神谷と白龍が光り、村野と桑井を斬った。「ありがとう」と言って消えた2人を見届けると、中沢が直ぐ近くまで辿り着いていた。


「チッ! やはり人の刀は未知で扱いきれんか」

「中沢、よくも俺の仲間を」

「仲間をやったのはおまえ自身だ。俺は何もしていない」

「お前が!! ……もういい」

「何だ? お前の仲間への思いはその程度だったのか」

「違う。お前と言い合うだけ無駄だ。あいつらの敵は俺がとる」


 神谷の雰囲気が一気に変わった。中沢はその変貌にゾッとした。ずっと客観視していた島内が中沢の横へ来た。


「中沢さん。ここは俺にやらせてもらえませんか」

「勝算はあるのか?」

「ありません。でも、俺が戦っているのを見てもらったら神谷の弱点とかパターンが見えてくるんじゃないかと」

「捨て身の覚悟ということか。分かった。頼んだぞ」


 島内が中沢の前に立ち、神谷に向って抜刀した。


「島内、俺は至って冷静だ。お前が考えているほど簡単にいくと思うなよ」

「おお怖い。お手柔らかに頼みますよ」


 神谷に向って突進していく島内。刀を振りかぶったと思ったら既に振り下ろしていた。刀を振るスピードが格段に速い。しかしそんな攻撃をモノとも言わせないほど神谷の冷静さは上回っていた。

 振り下ろした刀を横に避け、刀を上から踏みつけて島内の体勢を前に崩した。前かがみになった島内の顔面を膝蹴りし、刀を離して仰け反る島内を回し蹴りして吹き飛ばした。

 刀を使うどころか、手も使わないで島内の攻撃を避けて刀を手放させた神谷。流石の中沢も手に負えるか分からないという表情をしていた。


「なんだ、この程度か。お前に用はないからさっさと消えてくれ」


 神谷は倒れて置きあがろうとしていた島内に猛スピードで迫り抜刀しながら島内を斬った。島内の体は光り消えた。


「島内との戦いでは何の参考にもならなかった。だが、お前が冷静で尚且つ攻撃力が上がっているというのは理解した」

「そうか。じゃあやるか」

「会話をする気はないんだな。分かった、今度こそ決着をつけよう」


 中沢も刀を抜き、2人とも相手に刀を向けて構えた。誰も見ていない中、戦いの火蓋は切られた。

 どちらも動かず、息を殺してタイミングを伺っていた。動いたら殺される――。そんな空気だった。

 どちらも全く動かず5分ほどが経っていた。誰にも邪魔をされない川辺で刀を構えたまま動かない2人。白龍と中沢の刀は昔の自分達を思い出していた。


「俺たちもよくこうして決闘をしたものだ。お前はいつもボロボロの着物に裸足だったよな」

「そうだったけか? もう覚えとらんよ」

「何をボケた振りしているんだ。龍之進りゅうのしん

「龍之進……。俺の名前か」

「本当に忘れていたのか? ってことは俺のことも覚えとらんか」

「悪いな。本当に昔のことを忘れてしまったんだ」

「俺は秀路ひでじだ。互いに武家の子だったんだがな。何百年も前のことは覚えてないか」


 白龍は徐々に記憶を取り戻し始めていた。中沢と神谷が睨み合って10分が経とうとしていた頃、神谷が動いた。

 構えを外して白龍を鞘に納めた。中沢はまさかの行動に益々警戒を高めた。


「中沢。今の会話を聞いていたか?」

「何の話だ。俺達はもちろん、周りに人も居ない。誰も会話なんてしていないだろ」

「そうか。お前には聞こえなかったか。お前は刀に名前をつけているか?」

「こいつか? ああ。黒斗こくとってつけてるぜ」

「黒斗か。自分の名前を取ったんだな」

「わ、悪いか? そういうお前はどうなんだよ」

「俺も自分の名前から1文字取って白龍って名づけた」

「だったら一緒じゃねえか」

「俺は今、黒斗と白龍の本当の名前を聞いた。お前には聞こえなかった会話の中から」

「刀同士が会話してたとでも言うのか?」

「そうだよ」


 中沢は笑って神谷を「頭がおかしくなったんじゃないのか?」と馬鹿にした。しかし神谷は至って冷静な顔で立っていた。中沢は笑うのを止めて真剣な顔になった。


「何の茶番か知らんが、俺はお前を殺す。それだけだ」


 遂に中沢が動いた。刀を鞘に入れたまま神谷に向って走り出した。抜刀術でもするのかと思って構えたが、鞘に入れたまま殴るように刀を横に振りぬいた。神谷は思わずしゃがんで避けたが、目の前に中沢の左足が踏み込んできた。その足を軸に右足で回し蹴りをする中沢。神谷は腕でガードしたが少し飛ばされた。

 休む間もなく中沢は上からかかと落としをするが、横に転がり避ける神谷。転がり止る踏ん張りを使って身体を起こし、中沢の方へ走り出した。抜刀術で斬りかかるも、中沢も抜刀して刀で受けられた。

 鍔で刀を上に弾かれ、お腹ががら空きになっている神谷に向って横に刀を振ったが、神谷はギリギリのタイミングで後ろに逃げた。

 もう一度横に振ってくる中沢の刀を縦受けし、刀を下に落としてから中沢の首元を目掛けて刀を横に振った。中沢は仰け反るようにそれを交わし、尻餅をつくと同時に神谷の足元を目掛けて刀を振った。

 神谷はジャンプしてそれを避け、着地と同時に刀を中沢の胸元に目掛けて突き刺した。


「うっ!」

「終わりだ!」

「まだ終わらねえ!!!」


 刀が胸に刺さったまま起き上がり、力を発動させた中沢。思いっきり刀を神谷に投げつけた。矢のように飛んできた刀を避け、神谷は後ろの地面に突き刺さった刀を手に取った。中沢はその隙に胸の刀を抜き、神谷に向って構えた。

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