表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/42

弐拾参

 ガーディアンが去った後、新宿駅のホームに取り残されたマーダーと新衆人10人が今後どう動くべきか考えていた。すると、3人の新衆人がガーディアンが去っていった方向に向って走っていった。中沢はあの3人がガーディアンに入るのだろうと察していた。

 残った7人の新衆人は迷っていた。どちらかに属さないといけないと思っていたからだ。すると、遅れて岡島が入ってきた。


「みんな、ここに集まっていたのね。随分探したわ」

「岡島か。何をしにきたんだ?」

「急に新宿に飛ばされたから、何かあるのかと思って色々探ってたの。そういえばさっき外でガーディアンの集団を見かけたわ。見ない顔3人が“ガーディアンに入れてくれ”的なことを言っていたけど」

「やっぱりガーディアンに入ったか」

「そっちの集団は?」

「今来たばかりの衆人だよ」

「ああ、あなた達がそうなの。私は岡島。マーダーにもガーディアンにも所属していないの。能力を使って両チームの仲介人的な役割をしているわ。あなた達も無理にチームに属さなくていいのよ。じゃあね」


 そう言って岡島は去っていった。新衆人たちは何か吹っ切れたような顔をして各々動き始めた。6人が中沢の前に来た。マーダーに入りたいと志願しに来たのだ。もちろん中沢は快諾した。そして1人だけそのまま駅のホームを出て行った。


「俺、もっと自分に素直になりたいんです。誰でも良い。この刀で殺したい。こんな理由じゃ入れてもらえませんか?」

「理由なんて必要ない。ただ、マーダーに入るからには一応チームワークを気にしてもらうぞ」

「ありがとうございます。お役に立てるように暴れますよ」


 そう言ったのは20代後半の「沢村さわむらなお」という男。生前は親の引いたレールの上を歩む生活に嫌気がさして、両親を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄した経歴を持つ。


 マーダーに入ったのは男性4人、女性2人だ。現世に送られてきたという事は、地獄では異端児扱いされる程の強者だが、どの人もそんなに癖のある感じには見えなかった。 獄卒や閻魔大王には分からないだろうが、現世に飛ばされた衆人たちは気付いていた。現世では無意識に“生前と同じように過ごさなくてはいけない”という苦悩があり、その苦悩は地獄にいる苦悩とは全く別物であるという事に。

 それは現世に飛ばされて与えられる能力のせいでもあった。衆人同士だけなら地獄と変わりないが、現世人に影響する能力である為に気にせざるを得なくなる。それ故に現世人を巻き込む、巻き込まないという意見が分かれるのである。生前の自分の性格が戻って来るのだ。


 中沢は新衆人の6人の能力開花を待った。そして、ガーディアンの新衆人と同じ頃に能力開花をしていた。 大阪で次の計画を実行する為、各自で能力の扱いと刀の扱いの特訓を重ねていた。


「中沢」

「岡島か。どうした?」

「ガーディアンの新衆人3人は能力の開花後、刀とのコミュニケーションも重ねて随分強くなっているわよ。ガーディアンはマーダーより少ないけど、戦闘力でいったらガーディアンの方が上じゃないかしら」

「刀か。やはり己の能力だけじゃ勝てないかな。情報ありがとう」

「マーダーはいつ計画を実行するの?」

「今日から1週間後だ。大阪で仕掛ける。そう伝えておけ。あと、この1週間で急激に強くなってみせるさ。覚悟しておけと伝えるんだな」

「分かったわ」

 電波での交信は途絶えた。ガーディアンも動くであろうこの1週間で、新旧メンバーが集まって特訓を始めた。この特訓が後の計画でガーディアンを苦しめる事になるのであった。


「みんな聞いてくれ。今日から1週間、みっちり特訓をしてもらう。今は俺以外、刀の能力を使える奴はいない。だからこの1週間で刀の能力をもらい、自在に操れるようになってもらう」

「刀の能力?」

「ああ。刀とお喋りだけで仲良くなるのは終わりだ。しっかり使いこなせ」


 マーダーのメンバーの目の色が変わった。やる気満々といった空気になったマーダーは、ガーディアンがどこまで強かろうと関係ないぐらいの殺気を醸し出す程のものだった。

 その頃、岡島からマーダーの計画が伝えられていた。神谷は全員を集めてマーダーの計画を伝えた。


「マーダーが大阪で計画を実行するとの情報が入った。今回は現世人の犯罪者を使って日本にテロを仕掛けるそうだ。これは事が起きてからでは遅い。早めにこの事を現世の警察に気付かさなければ手遅れになる」

「でもどうやって?」

「信じてもらうのは難しいだろうが、現世人に乗り移って伝えるしかないだろ」

「私の出番ね。それなら任せて」

「あとは事が起きる前にマーダーを止めるしかないか……」


 神谷は悩んでいた。村野が乗り移って計画を伝えても、警察が信じるとは思えない。結局は事が起きるまで待つしかないと思っていた。 計画実行までの1週間、マーダー11人の内7人が刀の能力をもらう事に成功していた。しかも、その7人全員が同じ能力だった。

 中沢は刀の能力についてかなり研究していた。ただ刀の機嫌を取るだけのコミュニケーションであれば、刀がどんな能力にしようか勝手に決める。

 しかし、言う事を聞かせるようにコミュニケーションを取れば“こんな能力を使いたい”とリクエストすれば、多少は無理をしてでも刀が言う事を聞いてくれるのだ。

 マーダー7人が得た刀の能力は「衆人、現世人共に斬った人を操る」というものだった。

 この事はガーディアンはまだ知らず、第二の衆人大戦が開幕する事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ