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拾伍

  矢島の光を避けながら山根の攻撃を受けては斬り返しの攻防を1時間ほど繰り返していた。互いに傷をつけれないほど、力は互角だった。しかし、神谷はまだ白龍の力を借りていなかった。

 矢島が攻撃の手を止めて何かを見つめている。山根は変わらず斬りかかって来る。山根の刀を受けながら矢島の視線の先を見ると、村野が立っていた。矢島は村野に向って光を放ち、村野の胸を射抜いた。すると、村野が持っていた刀が赤く染まった。血を吸わせないと赤くならないはずだが、村野が何もしていないのに刀は赤くなった。

 神谷は嫌な予感がしたが、山根の攻撃で手が離せない。仕方なく白龍の力を借りて山根を吹き飛ばした。

 急に強くなった神谷に驚いた様子の山根は、吹き飛ばされて尻餅をついたまま動かなかった。それを見て神谷は村野の方へ駆け寄った。


「村野、殺意はマーダーだけに向けろよ。分かってるよな?」

「神谷さん、大丈夫ですよ。多分、あの光の影響で紅龍が反応しちゃっただけです。私には何の影響もないですから」

「それならいいんだけど。でもあまりあの光を受けすぎるなよ。殺意を引き出す力なんだ」

「それは厄介ですね。それじゃあ、さっさと閻魔大王の元に送り返さないと」

「そうだな。手伝ってくれるか?」

「もちろんです」


 通り魔事件を起こした男はどこかへ行ってしまい、再び何か計画を実行する可能性が高かったが、今は出来るだけマーダーの数を減らすことに専念すると決めた。

 矢島の光で一時的に赤くなっていた紅龍は、銀色の刀身に戻っていた。村野は自分の血を紅龍に与え、再び赤く染めた。神谷は白龍に“行くぞ”とだけ伝え、斬りかかって来ると思った矢島と山根は刀を構えた。


『いざ参らん!』


 神谷と山根が同時に合言葉を叫び能力を発動した。山根がその場で刀を横に振り切ると、刀は先ほどまでとは比べ物にならないほど巨大化した。長さ10m、幅30cmほどの刀身を身体全体で横に回転しながら振り回している。意識的だろうか、現世人が多く集まっている場所に回転したまま移動している。

 現世人には山根が見えない為、魂を抜き取る刀が近づいているなんて気付くはずもない。神谷が刀を振り回している山根を斬ろうとタイミングを計るが、全く近づけない状況だった。


 山根の刀がそろそろ現世人に当たという距離まで来た。巨大な刃の先が現世人に当たると思ったその時、現世人は刀が見えていたかのように避けた。そのまま周囲の人の手を引っ張って山根から離れていく。神谷が不思議に思っていると、現世人の中から村野が出てきた。そう、危ない位置にいる現世人に村野が乗り移って移動させていたのだ。

 しかしその方法もいつまで通用するか分からない為、神谷は山根が振り回している刀を止めようと白龍と共に回転する刃の中に飛び込んだ。

 10mもの刀を、たった1mほどの刀で止めれば普通は折れるだろう。しかし白龍は頑丈だった。山根の力と遠心力に踏ん張りきれず、神谷は吹き飛んだ。空中を舞っていると矢島がここぞとばかりに光を放ってきた。光は神谷の胸を貫いたが、白龍が光を吸収して何とか逃れた。

 しかしこれだけで終わらず、矢島はその光を現世人が集まる方向へ放った。光を浴びた人々は突然走り出したり、人を殴ったり、叫びだしたりと、我を失っている様子だった。


「矢島、何をした!?」

「この光は現世の人たちにも有効なんだよ。我々衆人と同じく、殺意が芽生える。いや、人は皆どこかに殺意を持っている。その殺意の芽にちょっと水を与えてあげたのさ」

「くそっ! 厄介な能力ばかり持ちやがって」


 神谷は村野に「ここは俺がやるから他のガーディアンの情報を集めて来い」と指示した。村野は戸惑いながらもその場を立ち去った。


「いいのか? どう見てもお前達の方が不利な戦いなのに、戦力を落とすなんて」

「確かに今はこちらが不利だ。しかし、俺はまだ力を使っていない」

「そうだな。お前の全力を見せてもらいたいものだ。偽善者集団のリーダーさんよ」

「俺が全力で戦わないのには理由がある。近くに仲間が居ると巻込んでしまう可能性があるからだ」

「よくもこの状況でそんな大口が叩けるな。俺が山根と組んでいる意味が分かるか?」

「さあな」

「能力のコンビネーションが最強なんだよ!」


 矢島がそう叫ぶと、現世人に向けて回転していた山根が刀を急に縮めて神谷の方向に切先を向けた。そして刀が巨大化ではなく、伸びだした。神谷との距離は15mほどあったが、1秒もしない間に神谷のお腹を貫いた。神谷は山根の発動していた能力の影響で微動だに出来ず、矢島が動けない神谷に向けて光を放ち続けた。白龍では対応しきれないほどの殺意が神谷の中に溢れ出し、動けるようになった頃には殺人鬼の目に変わっていた。


「どうだ? 今すぐにでも人を殺したいだろ?」

「黙れ」


 神谷は人間とは思えないほどの速さで矢島を切り裂いた。矢島は一瞬過ぎて何が起きたか分からないまま消滅し、2度と現世に戻ってくることは無かった。それを見た山根は恐怖の顔になり、神谷から距離を取った。しかし殺人鬼と化した神谷は能力を全開にして山根に襲い掛かった。スピードも力も何もかも桁違いに強くなった神谷は一瞬で山根も消し去った。


「ははははは! 見事だ。傑作だよ神谷」


 中沢がどこからともなく現れた。矢島たちとの攻防をずっと見ていたようだ。

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