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 多田分析を聞いた神谷は衆人に声をかけた。女性は驚いたように立ち止まり、刀を出してきた。しかし神谷たちに戦う意思が無いと悟ったのか、直ぐに刀を納めた。


「あまり見ない顔。中沢のところに居るわけじゃなさそうね」

「中沢のことを知っているのか?」

「ええ、知っているわよ。軽くつるんでいるから」

「中沢の仲間ってことか?」

「いいえ。仲間でもないわ。だってあの人、現世の人たちを大量に殺そうとしてるじゃない。そんな大それたことをするのは面倒だわ」

「じゃあ現世の人たちを守るこっちの 仲間にならないか?」

「私はチームに入るなんて子供じみたことはしない主義なの。でも情報ぐらいはあげてもいいわよ」

「本当に?」

「その代わり、あなた達の情報ももらってあちらに流すわ。仲介人みたいなもの」

「確かに、あちらの動向が掴めるのは嬉しいが、こちらの情報も流されるのは……」

「どちらも対等であるべきよ。私はどちらの肩も持たない代わりに仲介してあげると言っただけ。嫌ならいいのよ。じゃあね」


 そう言うと女性は立ち去ろうとした。「待って!」と神谷が咄嗟に女性を引き止めた。

 ――俺はリーダーだ。全ての責任は俺がとる。

 神谷は独断で女性に仲介人として動いてもらうことにした。しかし、ガーディアンの人たちもこの決断に賛成してくれると信じていた。


 仲介人として働いてくれる女性は岡島(おかじま)裕子(ゆうこ)。生前 、友人を数人殺害した後に自殺をした殺人鬼だ。自分の能力を一番に理解して、多田でも分析しきれなかった高度な技術を習得していた。かなり体力を使うが、日本中に電波を張り巡らせ、衆人の位置を確認することも出来る。また、超音波に変えて衆人の脳に直接メッセージを送ることも可能だそうだ。


 神谷はガーディアンの拠点を岡島に伝え、メンバーの情報を教えた。拠点を教えたのはあくまで岡島がガーディアンに情報を電波で伝えるため。マーダーに拠点を教えることは無いと約束した。

 マーダーのメンバーは神谷たちが知っている4人に加え、後3人いた。もちろんガーディアンのメンバー情報もあちらに流れる。両チーム共に本格的に行動を起こすようになったのは、それから1ヶ月後の事だった。


 第一次衆人大戦――。


 ガーディアンは仲間を着々と増やし、メンバーは10人になっていた。一方マーダーは1人増えた8人だった。

 神谷の能力で閻魔大王の元へ送り返した森田と、両チームの仲介人である岡島を除いた18人全員がどちらかのチームに所属した形になった。

 岡島からの情報によると、マーダーは北海道で現世人の大量殺人を実行するそうだ。今から1週間以内に実行するとの連絡を受けて、北陸を拠点としていたガーディアンは急いで北海道へ向かった。

 もちろん、ガーディアンが北海道に向けて移動を始めた情報もマーダーに伝わっているだろう。その為、マーダーが待ち伏せする事も視野に入れて、電車を利用する者と飛行機を利用する者に分かれて向かった。


 到着時刻がほぼ同じになるように、電車組は早く出発した。神谷はもちろん電車組だった。満席でも関係なく乗れる衆人の特権を最大限に利用し、最速で着くように乗り継いだ。神谷が死んでから開通した北海道新幹線も利用し、新函館北斗駅に着いた。その頃、飛行機組も函館空港に着いていた。

 目的地はマーダーが計画を実行する予定地である札幌市としていたが、函館で一度降りたのには理由があった。

 マーダーがこちらの動向を知っておきながら黙って計画日まで待っていると思わなかった。待ち伏せが札幌空港や札幌駅の可能性を考えて、手前の函館で一度合流する予定だったのだ。しかし、マーダーはそれ以上に頭が良かった。

 電車を乗り換える為に構内を移動していると、川上が前に立っていた。神谷は眼鏡をつけている為、衆人は赤く光って見える。しかし、他のメンバーはまだ気付いていないようだった。

「全員止まれ」と神谷はチームに指示を出すと、他のメンバーも川上の存在に気付いたのか、全員刀を出して抜刀した。


「よかった。俺は運がいいみたいだ。中沢さん、こっちに神谷が居ましたよ」


 川上の後ろには今にも人を殺しそうなオーラで中沢が立っていた。裏を読んで函館で待ち伏せしていたようだ。そして、神谷が電車好きなのを知ってか知らずか、リーダーの神谷が居るであろう電車組を狙っていたようだった。


「神谷、久しぶりだな。随分この地獄を楽しんでいるようだな」

「それはお互い様だろ。知ってるぜ? この大それた殺人計画の前に数人の現世人を使って殺人を犯していただろ」

「岡島からの情報か?」

「それもあるが、別に岡島からの情報だけで動いているわけじゃない」

「なるほど。とは言っても、お前が率いるガーディアンは今日この場で解散だ」

「どういう意味だ?」

「リーダーが死ねば解散は当然だろ?」


 そう言うと中沢は神谷に向かって斬りかかって来た。

――――早い!

 中沢の想像以上のスピードに、神谷は今にも斬られる寸前だった。中沢の他には川上と高坂と知らぬ顔が1人。能力的に神谷を確実に仕留める為のメンバーだった。高坂は多分、中沢の能力をコピーしているだろうと神谷は判断した。

 半分だけと言っても、消滅する能力の半分だ。どこまで影響があるのか分からないが、斬られないように注意しなければいけない。しかし中沢を相手に他の奴を気にするほどの余裕はない。

 神谷も白龍の力を発動させているが、発動時間は5分と持たない。中沢はどれぐらい刀の力を発動していられるのか。それに今現在、能力を発動しているのかどうかも分からない。

 中沢の攻撃に防戦一方の神谷は白龍に少し身体を預けて人の能力を越えた腕力で中沢を弾いた。


「ほう。刀とのコンビネーションは抜群といったところか」

「どうせあんたも刀と一心同体ぐらいになってるんだろ?」

「言うまでもない」


 神谷は白龍と語り合う内に、刀特有の力が備わっていることを知った。基本的にはその力を人間に与えることはないのだが、稀に心を許した刀が人間に能力を分け与えることがある。刀の力を得た人間は、腕力や脚力など、一時的だが普通の人間以上の身体能力を得ることが出来るのだ。


 中沢は何か納得したかのように攻撃してくるのをやめた。

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