大朝祭典空港
国際空港。出発ロビー。
礼白はチェックインカウンターの前に立ち、手にパスポートを握っている。後ろには尊爵と皇女。
尊爵は柱にもたれかかり、サングラスを頭の上に押し上げ、口元に皮肉な笑みのような弧度を浮かべている。今日は濃い灰色のカジュアルジャケットを着て、中は白いシャツ、襟元のボタンを二つ外している。通りかかる人が皆彼を見ており、数人の若い女性がすでに何度もスマホで盗撮している。
皇女は礼白の右手に立っている。銀灰色のショートヘア、浅い青色のワンピース、手にはアイスバーを持っている。彼女は一口かじり、無表情で噛んでいる。
礼白はうつむいて彼女を一瞥する。
彼女は確かに低い。女皇よりも半頭低い。頭頂はおそらく自分の胸の位置までしかない。
皇女は彼の視線に気づき、顔を上げる。浅い灰色の目には何の感情もない。
「何見てる。」
「別に。」
礼白は視線を戻す。
皇女はアイスバーを左手に持ち替え、右手で礼白の腕を組む。
礼白は一瞬止まる。
「ボディーガード。」
皇女は言う。口調は平坦だ。
「密着型の。」
「アイスバーを食べるボディーガードか。」
「文句ある。」
礼白は口を閉じる。
尊爵が隣で嗤う。
礼白は振り返って彼を見る。
尊爵は自分を見ており、表情はとても微妙だ。「お前は鈍すぎる」と「まあいい、俺には関係ない」が混ざった複雑な色。
「どうした。」
礼白が問う。
尊爵は肩をすくめる。
「別に。首相様。」
彼はサングラスを下ろし、目を隠す。
「行こう。飛行機が離陸する。」
――
機内。ファーストクラス。
礼白は窓側。皇女は彼の隣に座り、アイスバーはすでに食べ終わり、ウェットティッシュで指を拭いている。尊爵は向かいに座り、脚を組み、航空雑誌をめくっている。
礼白はスマホを取り出す。シルヴィエット国製で、機能はこの世界のどんな電子製品よりも優れている。彼は暗号化メールを一通開く。
女皇は見送りに来なかった。
正確には、女皇は昨夜から彼を無視している。彼が二通のメッセージを送っても、既読無視。電話は出たが、終始「うん」「はい」「分かった」しか言わなかった。
礼白は今もその理由が分からない。
出発前、彼はリリムに聞いた。
リリムは長く沈黙し、そして言った。「首相様。女皇陛下のフルネームはシルヴィエット希芽です。」
「知っている。」
「普段、何と呼んでいますか。」
「女皇。あるいは陛下。」
「……」
リリムはそれ以上続けなかった。
礼白もそれ以上聞かなかった。
今、彼は飛行機に座り、隣にはアイスバーを食べる皇女、向かいには雑誌を読む尊爵。彼は別の角度から聞くことにした。
「尊爵。」
「ん。」
「女皇陛下は最近機嫌が良くない。理由を知っているか。」
尊爵の頁をめくる手が一瞬止まる。
彼は顔を上げない。
「知らない。」
「お前は俺を見てもいない。」
尊爵は一頁めくる。
「首相様。あることは、他人には助けられない。」
彼は雑誌を閉じ、ついに顔を上げる。サングラスはまだかけており、眼差しは分からない。
「考えてみろ。十六歳の少女だ。お前は毎日彼女を何と呼んでいる。」
礼白は眉をひそめる。
「女皇と呼んでいる。」
「そうだ。」
尊爵はうなずく。
「女皇。」
彼は雑誌を机の上に置く。
「彼女の名前は何だ。」
礼白は口を開きかける。
シルヴィエット希芽。
彼は確かにこの名前を呼んだことがない。一度も。
尊爵は再び雑誌を取り上げ、次の頁をめくる。
「到着した。これ以上は言わない。」
礼白は背もたれに寄りかかり、窓の外の雲を見る。
彼は少しだけ分かった気がした。ほんの少しだけ。
――
着陸。
日初の国の空気はシルヴィエットより湿って暑い。ターミナルビルは新しいが、電子スクリーンの解像度は高くなく、流れる情報が時折飛ぶ。礼白は一瞥し、スマホをポケットに戻す。ここの科学技術水準は、おおよそ地球の八十年代中期相当。シルヴィエットとは少なくとも一世代差がある。
「首相様。こちらです。」
皇女はまだ彼の腕を組んでいる。彼女のもう一方の手には新しく買ったアイスバー。飛行機を降りてから今まで、すでに三本食べている。
礼白はアイスバーがどこから来たのか聞かなかった。
空港の外は広い大通り。両側には現代的な高層ビル。ガラスカーテンウォール、鋼鉄の骨組み。風格は礼白の記憶にある日本にとても似ている。街の歩行者は足早に往来し、服装も八十年代末の東京の街頭に近い。
電話ボックスがある。カセットテープウォークマンの広告がある。四角くてまだ薄くなっていないテレビのショーウィンドウがある。
礼白はこれらすべてを見る。
「似ている。」
彼は低く言う。
「何に。」
皇女が顔を上げて彼を見る。
「別に。昔見た場所に。」
皇女は追及しない。彼女はアイスバーを一口かじり、歩き続ける。
尊爵は後ろに従い、両手をポケットに入れている。彼の目光は街道の両側を掃き、いくつかの制高点で片刻止まる。
「狙撃手はいない。」
彼は低く言う。
「魔法師もいない。少なくとも表面的には。」
礼白はうなずく。
「ここは我々の地盤ではない。注意すればいい。」
――
およそ二十分歩いた。
現代の高層ビルが次第に低くなる。街道が狭くなる。路面の材質がセメントから石板に変わる。両側の建築に木造、瓦屋根、紙提灯が現れ始める。
そして一片のネオン。
灯牌が軒から垂れ下がる。赤、青、黄、紫。字は日初の文字で、曲がりくねり、まるで生きているよう。光が石板路に映り、ちょうど降った雨に潤され、一片一片と広がる。
遠くに太鼓の音。とても鈍いが、リズムは重い。
空気に焼き魚の匂い。甘酒の匂い。ある種の焚香の匂い。
礼白は足を止める。
「これが祭典か。」
皇女はアイスバーの棒を道端のゴミ箱に捨てる。
「うん。」
彼女はそれらのネオン灯牌を見上げる。
「擬古建築。ネオン灯。矛盾したものが一緒に置かれている。」
「でも綺麗だ。」
礼白は言う。
皇女は彼を一瞥する。
「正直なのね。」
「首相はいつもいつも演じる必要はない。」
皇女は何も答えない。彼女は彼の腕を組み、一歩前に進む。
尊爵が後ろに従う。彼は灯りを見ていない。彼の目光は街道の突き当たりに落ちている。そこには巨大な、黒い、頂上が見えない建築がある。すべてのネオンの光はそこに至ると消える。
「終点。」
尊爵が言う。
「祭典はあの中だ。」
礼白はその黒い建築を見る。
「大朝祭典。」
彼はこの四文字を口にする。
ネオンが彼の後ろで瞬く。人声が耳元で起伏する。
そして彼はその光の中へ歩いていった。




