真龍天子
東州の縁。
海面はとても平らかだ。月光が水の上に敷かれ、銀白色の道のよう。
一台の深緑色の魔神武装が浅瀬に立っている。海水はその足首までしかない。機体の輪郭はシルヴィエットの人型武装とは異なり、線はより古く、関節にはある種の発光する紋様があり、内部から透けてくるかのようだ。その胸には一枚の徽記、東州連盟の墨色環紋。
操縦舱の中で、真椒が画面を見ている。
「日初国の皆様。」
彼女の声は外部スピーカーから流れる。とても若く、とても平静だ。
「我々の友人を解放していただけませんか?」
画面のレーダーが一瞬にして点灯する。十数の光点が四方から包囲する。
通信チャンネルに冷硬な声が流れる。
「知られたか。」
そして二言目。
「各小隊。魔神狩猟モード。」
真椒は動かなかった。彼女はただため息をつく。
「まったく。」
十分間。
十分後、海面には破片が浮かんでいた。十数台の日初の魔神狩猟部隊は全て停止した。煙を上げているものもあれば、すでに動かないものもある。破片が月光の下で浮かび、沈黙の墓場のようだ。
東州の魔神武装は日初のものより強い。
これは動かしがたい事実だ。通常科技では、日初の方が半歩先んじているかもしれない。だが魔神の領域では、東州こそが真のプレイヤーだ。
森羅。
真椒は操縦舱から出て、機体の肩の上に立つ。海風が彼女の髪を煽る。彼女は日初本島の方向を見る。
「林秀さん。」
彼女は低く言う。
「もう少しだけ持ちこたえて。」
――
日初。大殿。
林秀は地面に跪いている。
彼は自ら跪いたのではない。彼の肩に力を押し付けているものがあり、大殿全体の重さが彼一人の背骨に集中したかのようだ。彼の膝は石板に打ちつけられ、手は地面を支え、指関節が白くなっている。
彼は顔を上げる。
神女は龍椅に座っている。だがその顔はもう人の顔ではない。
白い龍。鱗が首から頬骨にかけて広がり、額の両側に後ろへ曲がる二本の角が突き出ている。目は四つになり、深紅色で、縦の瞳孔。龍涎が彼女の口元から滴り落ち、地面に落ちて軽い音を立てる。
龍の威圧が大殿全体を満たす。空気は水のように重い。
林秀の額は冷や汗でいっぱいだ。彼の口元にはまだ笑みがある。目は細められている。
「陛下がなぜこれほど暴力的に私をここにお招きしたのか。」
彼の声はとても安定している。背中の服はすでにびしょ濡れだが。
「友好的な交流ならば、あまりに過ぎます。」
神女は答えない。四つの深紅色の目が彼を見る。
そして龍の口が動く。声はそこから流れる。まだ彼女の声だが、より低く、より重く、人間ではない何かの共鳴を帯びている。
「東州。」
彼女は言う。
「お前たちの真龍天子を、私は一度も見たことがない。」
林秀は微笑む。
「陛下は深宮におられます。」
「深宮におられる。」
神女は繰り返す。龍の尾が龍椅の後ろから垂れ、尾先が軽く地面を掃く。
「私のような偽物は本当に笑わせるわね?」
林秀は答えない。彼の頭の中にある画面が閃く。東州皇宮の最も深いところにあるあの部屋。扉は一度も開かれたことがない。彼はあの本当の真龍天子に一度も会ったことがない。だが聞いたことはある。あの者の気配、あの者の存在を。
林秀は心の中で思う。
それこそが真の龍だ。
あのような力を持ちながらも、神性で人の国を統治しようなどと考えたことはない。あの方はずっと深宮にいて、何もしない。何もする必要がない。真の強さは、征伐によって証明する必要がないから。
そして目の前のこれ。
彼女は龍椅に座り、人のものではない顔で、全ての人を呑み込むと言っている。
偽物。
林秀は心の中で言う。
「おや?」
神女の声が突然半度高くなる。四つの目が同時に収縮する。
「ならばその真龍の躯体はきっと今より百倍強靭なのでしょうね哈哈哈哈哈。」
彼女の笑声が大殿に木霊する。龍涎が口元から飛び散り、石板に跳ねる。
「だが。」
笑声が止まる。
「お前たちのあの方は深宮に居ることしかできない。そして私は天下を征伐する。」
林秀は気まずく笑うしかない。彼の命はまだ彼女の手の中にある。彼は何も言えない。口答えできない。ただあの細目の笑顔を維持するしかない。
「相変わらずの細目と微笑みね。」
神女は彼を見る。龍の顔の表情からは喜怒は読めない。
「さようなら。」
彼女は少し首を傾ける。
「連れて行け。このような臣下は真実を語らない。」
二人の神官が影から歩み出て、林秀の腕を抱える。彼の膝はついに地面から離れる。
引き出される時、林秀は振り返って一瞥する。
龍椅の上の白い巨龍は人の形に戻りつつある。鱗が消え、角が縮み、四つの目が二つに閉じる。白髪が垂れ、肩を覆う。
だが彼女の口元の龍涎はまだある。
「はは。」
林秀は笑う。
「陛下に感謝します。」
彼の声はとても軽い。
扉が閉まる。
林秀は長い廊下を引きずられる。彼の腕は抱えられ、爪先が地面に細かい音を描く。
彼の頭の中はまだ考えている。
あの深宮の中の存在。一度も姿を現さない。一度も手を出さない。だが東州の全ての者が知っている。あの方がそこにいることを。怒らずして威あり。何の行動も必要としない。
真の龍。
そしてこの、神性を人の国に無理やり押し付けようとする者。
全く違う。
林秀は目を閉じる。
森羅がもうすぐ来る。真椒がもうすぐ来る。
彼はただ待てばいい。




